昭和42年の消防雑誌「近代消防」に掲載されたコラムには、「自分でやれ」という印象的な言葉が残されています。記事では、東京・西新井で発生した電車の追突事故を例に、事故が続く社会の状況と、人の安全意識について語られています。
半世紀以上前の記事ですが、この言葉は今の防災にも通じる重要な考え方を含んでいます。災害や事故の現場では、最終的に命を守るのは「その場にいる人の行動」だからです。
■① 昭和の事故記事が伝えたかったこと
昭和42年の記事では、東京・西新井で発生した電車追突事故が紹介されています。
死者6人、重軽傷者20人以上という痛ましい事故でした。
当時の文章には、次のような問いが含まれています。
「なぜ事故がこんなに続くのか」
この問いは、現代にもそのまま当てはまります。
交通事故、火災、自然災害…。社会は進歩しても、事故そのものがなくなることはありません。
■② 消防の現場で感じる「事故の共通点」
消防や救助の現場では、多くの事故に共通点があります。
- 想定していなかった
- 大丈夫だと思った
- 少しだけ油断した
こうした小さな判断の積み重ねが、大きな事故につながります。
これは交通事故でも、火災でも、災害でも同じです。
■③ 「自分でやれ」という言葉の意味
昭和の消防記事が伝えたかった「自分でやれ」という言葉は、決して冷たい意味ではありません。
これは
「まず自分の安全は自分で守る」
という考え方です。
消防や救助はもちろん全力で活動します。しかし、どんなに優れた組織でも、事故や災害の瞬間にその場にいるとは限りません。
だからこそ、防災では「自助」という考え方が基本になります。
■④ 災害現場で本当に起きること
被災地派遣(LO)として現場に入ると、必ず感じることがあります。
それは
最初の数分、数十分は自分で行動するしかない
という現実です。
地震の直後
- 消防はまだ到着していない
- 救急も来ていない
- 情報も混乱している
その時に命を守るのは、その場の人の判断です。
■⑤ 昭和から変わらない防災の原則
防災には有名な三つの考え方があります。
- 自助(自分で守る)
- 共助(地域で助ける)
- 公助(行政が助ける)
昭和の消防記事が語っていた「自分でやれ」という言葉は、この中の自助にあたります。
災害が大きいほど、公助はすぐに届きません。
■⑥ 現場経験から感じる「助かった人の共通点」
元消防職員として多くの事故や災害に関わる中で、助かった人には共通点があります。
それは
- 危険を予測していた
- とっさに動けた
- 周囲に声をかけた
つまり、「自分で動けた人」です。
逆に、危険を想像していなかった人ほど、行動が遅れやすい傾向があります。
■⑦ 今の時代だからこそ必要な防災意識
現代は便利になりました。
- スマートフォン
- GPS
- 災害情報アプリ
- 高度な消防体制
しかし、便利さが増えるほど「誰かが助けてくれる」という意識も強くなりがちです。
昭和の消防記事が残した言葉は、今の時代だからこそ重要です。
■⑧ 今日からできる「自助」の備え
難しいことをする必要はありません。
まずは次の3つから始めてください。
- 家具の固定
- 家族の安否確認方法
- 非常持出袋
防災の基本はシンプルです。
「想像する」
「備える」
「行動する」
この三つです。
■まとめ
昭和42年の消防雑誌に掲載された「自分でやれ」という言葉は、今も変わらない防災の原則を示しています。事故や災害の瞬間に、最初に命を守るのは自分自身です。
結論:防災の基本は「自助」です。自分で備え、自分で判断する力が、命を守る最大の防災になります。
出典
近代消防(昭和42年3月号)「赤色灯 第43回」

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