「近代消防」昭和42年2月号の連載「赤色灯」第42回(その1)には、秋の叙勲をめぐる短い文章の中に、当時の社会観と消防の価値観が濃く残っています。
叙勲という話題は古く見えても、「誰が評価されるのか」「地味な仕事は報われるのか」「現場の努力はどう残るのか」という問いは、今でも消防・防災の現場で繰り返し出てくるテーマです。この記事では、アーカイブ本文から読み取れるポイントを、現代の視点で整理します。
■① この記事で扱うアーカイブの要点
本文の中心は「秋の叙勲」を見逃したことへの言及から始まり、叙勲に見える“傾向”を観察しています。
特に印象的なのは、目立つ功労だけでなく、地味な仕事に長く携わってきた人が栄誉を受けることを「良い傾向」として捉えている点です。これは、消防という仕事の本質に近い視点です。
■② 「目立たぬ存在」が評価される意味
消防・防災の成果は、ニュースに出る派手な場面だけでは決まりません。
普段の点検、訓練、予防、地域対応、雑務、記録、引き継ぎ──こうした積み重ねが事故と被害を減らします。
アーカイブが語る「地味な仕事に長く携わった人の栄誉」は、現場の本当の価値がどこにあるかを示しています。評価は“瞬間の武勇”だけではなく、“継続した積み上げ”にも向けられるべきだ、というメッセージとして読めます。
■③ 叙勲と“社会の見方”のギャップ
本文には、叙勲が時に政治的な人気取りに見える、という辛口の視点もあります。
ここは当時の空気も含みますが、今に通じるのは「制度や表彰が、現場感覚とズレることがある」という点です。
現場は「安全・確実・迅速」で動き、結果は数字や事故ゼロだけでは測れません。だからこそ、評価制度と現場の努力の間にギャップが生まれやすい。アーカイブは、その違和感を隠さず書いています。
■④ 「年齢が若返った」という記述が示すもの
本文では、叙勲を受ける人の年齢が若返っている、という話も出てきます。
これは、組織の評価の仕組みが変わったのか、推薦や選考の考え方が変わったのか、時代背景も含む話です。
現代でも同じで、評価が若手に届くこと自体は良い面があります。一方で、評価が“形式化”すると、現場の納得感を失いやすい。だから必要なのは、表彰そのものより「何を評価するのか」が現場に伝わる運用です。
■⑤ 「階級ごとに一人」に感じる作為性
本文は、階級ごとに一人ずつ選ばれているように見える、と指摘しています。
これは、選考が「公平」に見える反面、現場の実感としては「割り当て」に感じる可能性がある、ということです。
消防組織は階級や役割が明確な分、評価も階層構造の影響を受けやすい。だからこそ、現場が納得する評価は「見える基準」と「積み上げの記録」が鍵になります。
■⑥ 今の時代に活かすなら「記録と継承」が価値になる
叙勲や表彰は、受けた本人の栄誉で終わると、次に残りません。
現代で活かすなら、次の形に落とすのが強いです。
・何が良い行動だったのか(判断、連携、安全管理)
・どんな継続が地域を守ったのか(予防、教育、訓練)
・誰でも再現できる形にする(手順、指差呼称、点検ルーチン)
“称える”を“継ぐ”に変えたとき、組織は強くなります。
■⑦(一次情報)被災地派遣で痛感した「報われる人」は派手な人ではない
被災地派遣やLOとして現場に入った経験では、目立つ人より「地味に崩れない人」が最後に現場を支えました。
避難所の名簿整理、物資の受け渡し、情報の一本化、住民の小さな不安の聞き取り、連携先への確認──こうした仕事はニュースになりませんが、混乱を確実に減らします。
だから、アーカイブが語る「地味な仕事に長く携わった人が栄誉を受けた」という視点は、今でも現場の実感に合っています。消防の強さは、派手さより継続です。
■⑧ 今のあなたに返すメッセージ|評価より先に“積み上げ”を残す
表彰や評価は、結果としてついてくるものです。狙って取るより、残すべきは日々の積み上げです。
・安全を優先する
・確実にやり切る
・記録を残す
・引き継げる形にする
この習慣は、評価のためだけでなく、次の現場で誰かを助けます。
■まとめ|昭和42年の短文が今も刺さるのは「地味な積み上げの価値」を書いているから
「近代消防」昭和42年2月号のアーカイブは、叙勲を題材にしながら、消防という仕事の価値観──地味な仕事の継続、現場の努力、評価のあり方──を言葉に残しています。
時代は変わっても、災害対応の本質は「崩れない基本」と「積み上げ」です。古い文章を読む意味は、懐古ではなく、今の自分の軸を整えることにあります。
結論:
消防の強さは、派手な功績より“地味な積み上げ”に宿る。だからこそ、続けてきた人が報われる流れは今も大切です。
元消防職員として災害対応の現場を経験してきた実感でも、最後に現場を守るのは、目立たない仕事を崩さず続けられる人でした。その価値観を、次の世代に継ぐことが防災力になります。
出典:http://ff-inc.co.jp/wpmailmaga/sekisyoku_no42_a

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