延長コードに延長コード。
コンセントに複数のタップ。
いわゆる「タコ足配線」は、便利だからこそ広がっています。
しかし現場経験から断言します。タコ足配線は火災の入口です。
なぜ危険なのか、防災の視点で整理します。
■① 電気は“目に見えない熱”を生む
電気は流れるだけで熱を生みます。
これを「ジュール熱」といいます。
本来、コンセントやコードは「想定された電流量」までしか安全ではありません。
そこに複数の家電を集中させると、配線内部で発熱が進みます。
見た目は変わらなくても、内部では温度が上がり続けていることがあります。
■② 許容量オーバーが火災の原因
延長コードには必ず「定格容量」があります。
例えば、
・1500Wまで
・合計〇アンペアまで
と表示されています。
電子レンジ(約1000W)
電気ポット(約1000W)
ヒーター(1200W以上)
これらを同時使用すれば、簡単にオーバーします。
私は消防職員時代、コンセント周辺から出火した住宅火災を何件も見てきました。
多くが“過負荷”でした。
■③ 接触不良がスパークを生む
タコ足配線は、
・差し込みが甘くなる
・ぐらつく
・ほこりが溜まる
といった状態を生みやすいです。
この接触不良が「トラッキング現象」を引き起こします。
コンセントとプラグの隙間に溜まったホコリが湿気を含み、
放電→発火する現象です。
特に家具の裏は要注意です。
■④ 発熱は“静かに進行”する
電気火災は突然爆発するわけではありません。
・焦げ臭い
・コードが熱い
・変色している
こうしたサインを経て発火します。
しかし多くの家庭では、
家具の裏やテレビ台の奥を確認しません。
能登半島地震の派遣時も、
停電復旧後の通電火災が問題になりました。
電気は便利ですが、復旧直後が最も危険です。
■⑤ 古い延長コードはさらに危険
長年使用しているコードは、
・内部断線
・被覆劣化
・圧迫損傷
が進んでいます。
タコ足配線+老朽化=火災リスク増大です。
元消防職員として強く伝えたいのは、
コードは消耗品だということです。
■⑥ 冬場は特にリスクが高い
ヒーター
こたつ
電気毛布
消費電力の高い家電が増える季節は、
タコ足配線による火災が増えます。
乾燥しているため、
一度発火すると延焼が早いのも特徴です。
■⑦ 避難時の通電火災にも注意
地震後に一時避難し、
停電復旧で自動的に電気が戻る。
その瞬間、
倒れたヒーターや損傷したコードが通電し、火災になるケースがあります。
これを防ぐために重要なのが、
・ブレーカーを落とす
・感震ブレーカーを設置する
という対策です。
私は被災地派遣で、
通電火災の二次被害を目の当たりにしました。
■⑧ 正しい対策は「分散」と「確認」
・消費電力の高い家電は単独使用
・延長コードは容量を確認
・ホコリを定期的に掃除
・古いコードは交換
シンプルですが、これが最も効果的です。
■まとめ|タコ足配線は静かな火種
タコ足配線は、
すぐに火を吹くわけではありません。
しかし確実にリスクを高めます。
結論:
タコ足配線は“見えない過負荷”を生み、火災の原因になる。
元消防職員として伝えたいのは、
火災は特別な出来事ではなく、日常の積み重ねから生まれるということです。
今日、コンセント周りを一度見直してください。
それだけで、家族を守る確率は確実に上がります。
出典:総務省消防庁「住宅火災の原因と対策」(電気火災関連資料)

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