伊藤淳史さんがNHKスペシャル「富士山大噴火 迫る“灰色の悪夢”」の取材会で、「遠い未来ではないのでは」と話していたように、富士山噴火は“いつかの話”として流してよいテーマではありません。富士山の噴火というと、溶岩や火砕流の映像を思い浮かべやすいですが、首都圏を含む広い範囲で現実的に大きな影響が出やすいのは、むしろ火山灰です。
内閣府の「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」でも、富士山の大規模噴火では広い範囲に火山灰が降るおそれがあり、できる限り自宅などで生活を継続すること、そのために日頃から十分な備蓄をしておくことが極めて重要だと示されています。つまり、富士山噴火への備えは“特別な人だけの防災”ではなく、首都圏やその周辺で暮らす人にとってかなり現実的な生活防衛の話です。
元消防職員・防災士として感じるのは、大きな災害ほど「まだ起きていないから大丈夫」と考えやすいことです。ですが、本当に大事なのは、起きてから慌てるのではなく、生活が止まりやすいポイントを先に押さえておくことです。富士山噴火では、火そのものより、火山灰による交通のまひ、物流の停滞、停電や断水、屋外活動の制限がじわじわ効いてきます。だから、富士山噴火は“遠い未来の話”ではなく、“火山灰が降る前提で今から備えるべき災害”と考えたほうが現実的です。
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■① 富士山噴火で最初に意識したいのは“火山灰”です
富士山噴火と聞くと、どうしても山の近くの被害だけを想像しがちです。ですが、広い範囲で暮らす人にとって、まず意識したいのは火山灰です。火山灰は雪や砂ぼこりとは違い、細かくて広範囲に降り、交通、電力、水、呼吸器、生活物資に影響を与えます。
元消防職員として感じるのは、こうした災害では「どこが爆発するか」より「何が止まるか」を先に見たほうが役立つということです。火山灰は、目立たなくても生活をかなり止めやすいです。
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■② 富士山噴火は“首都圏に関係あるのか”で考えるべきです
富士山の近くに住んでいない人ほど、「自分には関係ない」と感じやすいと思います。ですが、広域降灰対策ガイドラインは、まさに首都圏など遠隔地域への影響を前提に作られています。つまり、問題は“富士山の近くかどうか”だけではありません。
元消防職員・防災士として感じるのは、大規模災害では“現場から少し離れた地域”ほど油断しやすいことです。ですが実際には、物流や交通が止まると、離れた地域の暮らしにもかなり影響が出ます。
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■③ 備えとして一番大切なのは“自宅でしのぐ前提”です
内閣府のガイドラインでは、広域降灰時には、できる限り降灰域内にとどまって自宅などで生活を継続することが基本とされています。これはかなり大事な考え方です。つまり、富士山噴火への備えは“すぐ逃げる準備”より、“しばらく家でしのぐ準備”のほうが現実的な場面が多いということです。
元消防職員として感じるのは、災害時に本当に強いのは“避難先の情報”だけでなく、“自宅でどれだけ粘れるか”です。水、食料、簡易トイレ、マスク、充電手段などの備えは、まさにそこにつながります。
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■④ 火山灰は“少し積もるだけ”でも生活を乱します
火山灰は何十センチも積もらなければ大丈夫、と思う人もいます。ですが実際には、少量でも交通、視界、機械、空調、洗濯物、呼吸への影響が出ます。車の運転、鉄道、物流、屋外作業などがじわじわ止まりやすくなります。
元消防職員・防災士として感じるのは、火山灰の怖さは“派手に壊すこと”より“生活を静かに不便にしていくこと”にあります。だから、軽く見ないほうがよいです。
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■⑤ 悩みを少し軽くするなら“全部を完璧にやらなくてよい”です
富士山噴火の備えと聞くと、大げさに感じたり、何から始めればいいか分からなくなったりすると思います。ですが、最初から全部完璧にそろえる必要はありません。
まずは、
- 飲料水
- 食べ慣れた食料
- モバイルバッテリー
- 懐中電灯
- マスク
- 簡易トイレ
このあたりを少し意識するだけでもかなり違います。
元消防職員として感じるのは、防災で強い人は“知識が全部ある人”ではなく、“基本を先に押さえている人”です。富士山噴火も同じです。
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■⑥ 車の備えも意外と大事です
火山灰が降ると、公共交通が乱れたり、道路事情が悪くなったりする可能性があります。だから車を使う人は、ガソリンを減らしすぎないこと、車内にも最低限の備えを置くことが役立ちます。ただし、灰が積もる状況で無理に移動しようとすると、かえって危険になることもあります。
元消防職員・防災士として感じるのは、車は便利ですが、“何でも車で解決する”と考えないほうが安全です。移動手段としても、一時待機場所としても使えるようにしておく、くらいの考え方が現実的です。
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■⑦ 家族で“どう連絡を取るか”を決めておくとかなり違います
今回の取材会では、スマホの予備バッテリーや懐中電灯を家族分そろえたという話も出ていました。これはとても現実的です。富士山噴火に限らず、大規模災害では連絡手段と明かりがかなり大事になります。
元消防職員として感じるのは、災害時に家族の不安を大きくするのは、“物がないこと”だけでなく、“連絡が取れないこと”です。だから、バッテリーやライトはかなり効果の高い備えです。
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■⑧ 最後は“遠い話にしないこと”が一番の備えです
伊藤淳史さんや原日出子さんが話していたように、番組をきっかけに「これは遠い未来ではないかもしれない」と感じること自体に大きな意味があります。災害は、意識の外に置いている間は備えが進みにくいからです。
元消防職員・防災士として感じるのは、防災で一番大切なのは“恐怖を大きくすること”ではなく、“当事者意識を少し持つこと”です。富士山噴火も、まずはそこからで十分です。
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■まとめ|富士山噴火は“火山灰が降る前提で今から備えるべき災害”です
富士山噴火は、山の近くの特別な災害ではなく、火山灰を通じて首都圏や広い地域の生活に影響し得る災害です。内閣府のガイドラインでも、広域降灰時にはできる限り自宅などで生活を継続すること、そのために日頃から備蓄しておくことが極めて重要だと示されています。
結論:
富士山噴火は、“遠い未来の話”ではなく、“火山灰が降る前提で今から備えるべき災害”と考えます。
元消防職員・防災士として感じるのは、大きな災害ほど「まだ先」と思いやすいですが、本当に強いのは、少しでも先に意識している人です。だからこそ、今回のような番組や話題をきっかけに、今の暮らしに落とし込んだ備えを始めることが大切だと思います。

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