突然のめまい、ふらつき、失神。高齢者に多いと思われがちですが、年齢に関係なく起こることがあります。その原因の一つが「房室ブロック」です。心臓の電気信号がうまく伝わらず、脈が極端に遅くなる状態で、重症例では意識消失や心停止につながることもあります。ここでは、房室ブロックの基本と、救急・防災の視点で押さえるべきポイントを整理します。
■① 房室ブロックとは何か
心臓は電気信号で規則正しく拍動しています。
・洞結節(スタート地点)
・心房
・房室結節
・心室
という流れで電気が伝わります。房室ブロックは、この「心房→心室」へ電気が伝わる途中で遅れたり、途切れたりする状態です。結果として脈が遅くなり(徐脈)、全身への血流が不足します。
■② 程度によって危険度が違う
房室ブロックには段階があります。
・Ⅰ度:伝わるが遅い(自覚症状なしが多い)
・Ⅱ度:一部が途切れる(ふらつき、失神の可能性)
・Ⅲ度(完全房室ブロック):まったく伝わらない(重篤)
特にⅢ度は、突然の失神や心停止につながるため緊急性が高い状態です。
■③ こんな症状は要注意
次の症状があれば注意が必要です。
・脈が極端に遅い(40回/分以下など)
・突然の失神
・めまい、ふらつき
・強い倦怠感
・息切れ
「疲れかな」と放置されがちですが、徐脈が背景にある場合があります。
■④ 治療の基本(ペースメーカー)
重度の房室ブロックでは、ペースメーカー治療が基本です。ペースメーカーは心臓に電気刺激を送り、規則的な拍動を保ちます。救急現場では、症状と脈拍を見て重症度を判断し、速やかに医療機関へ搬送します。
■⑤ 被災地派遣(LO)で感じた“避難生活と徐脈リスク”
被災地派遣(LO)では、避難生活中に体調を崩す高齢者が多くいました。脱水、疲労、持病の悪化が重なると、心疾患の症状が表に出やすくなります。避難所では「ただの体調不良」に見える症状の中に、重大な不整脈が隠れていることがあります。だからこそ、脈拍を測る、症状を軽く見ない、早めに医療へつなぐことが重要です。
■⑥ 災害時の対応(医療情報を“紙で”持つ)
災害時は、
・お薬手帳
・既往歴
・かかりつけ医
・ペースメーカーの有無
を紙で持っておくことが有効です。通信障害が起きると、電子情報が見られないこともあります。情報があるだけで、救急や医療側の判断が速くなります。
■⑦ 周囲ができること(失神を見たら)
失神を目撃した場合は、
・反応と呼吸を確認
・呼吸がなければ119番+胸骨圧迫
・呼吸があれば横向きにして様子を見る
意識が戻っても、必ず医療機関で評価を受けることが重要です。
■⑧ 今日できる最小の備え
・脈拍を自分で測る習慣を持つ
・持病や服薬を紙でまとめる
・家族と「倒れたら119番」の共有
大きな備えより、迷いを減らす情報整理が効きます。
■まとめ|房室ブロックは“脈が遅い”だけでは済まない。失神の背景にある危険なサイン
房室ブロックは、心房から心室への電気伝導が障害され、徐脈や失神を引き起こす状態です。重症例では命に関わるため、症状を軽く見ないことが重要です。災害時や避難生活では体調悪化が起きやすく、医療情報の紙保管や早めの受診が救命につながります。
結論:
「脈が遅い」「失神した」は要注意サイン。迷ったら医療へつなぐ判断が命を守ります。
元消防職員として、現場では“様子見”が遅れにつながる場面を見てきました。判断を軽くする準備が、結果を左右します。
出典:https://www.j-circ.or.jp/

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