災害対応や危機広報の話になると、「非常時だから寝る暇がなくても仕方ない」と思われがちです。
ただ結論からいうと、災害広報は“気合いと根性で回す”と危険です。
東京都の新しい報道課長として紹介された内藤貴子さんは、コロナ禍の広報や職域接種対応の時期を振り返り、ほぼ毎日2時間睡眠で、朝5時まで職場にいた日には床で仮眠を取ってから記者レクに向かったと語っています。
この話は「頑張った美談」で終わらせるより、危機対応が長期化した時に、組織はどう持ちこたえるかを考える材料として見る方が大事です。
■① 最初の結論
災害広報は「非常時だから寝なくても回す」で考えると危険。 助かるのは、睡眠を削らなくても続く体制づくりです。
危機対応で本当に大事なのは、1日だけ気合いで乗り切ることではありません。
数日、数週間、必要なら数か月続けても、判断が鈍らないことです。
■② なぜ広報がそんなに重いのか
災害時や感染症対応では、広報はただ発表文を出すだけではありません。
- 何を先に伝えるか決める
- 関係部署の情報を整理する
- メディア対応を行う
- 誤解や混乱を減らす
- 住民が行動できる形に直す
つまり広報は、
情報を出す仕事であると同時に、
混乱を減らす仕事でもあります。
元消防職員として言うと、現場で人を動かすのは車両や装備だけではなく、
正しい情報が、正しい順番で届くことです。
■③ 何が危ないのか
ここで危ないのは、次の考え方です。
- 非常時だから徹夜で当然
- 広報は最後に何とかすればいい
- 情報を出す人が倒れても代わりがいる
- 現場だけ強ければ十分
被災地派遣やLOでも感じましたが、
危機対応で先に崩れやすいのは、
人の体力より判断力です。
寝不足が続くと、
- 優先順位を誤る
- 伝える順番を間違える
- 説明が雑になる
- 現場とのずれが広がる
ということが起きやすくなります。
■④ この話をどう防災に生かすか
今回の話から学ぶべきなのは、
「すごい人が頑張った」ことだけではありません。
本当に大事なのは、
- 危機時に情報が集中する
- 長期戦になると人がもたない
- 広報や連絡調整も災害対応の中核である
- 組織は“英雄前提”では続かない
ということです。
防災士として見ると、
これから必要なのは、
- 当番の複線化
- 引き継ぎしやすい記録
- 夜間対応の分散
- 判断を属人化しない仕組み
です。
■⑤ 現場感覚として一番伝えたいこと
防災士として一番伝えたいのは、
危機対応は「頑張れる人」より「倒れにくい体制」の方が強い
ということです。
現場でも同じですが、
一人の頑張りで回る組織は、一見強そうで実は脆いです。
本当に強いのは、
- 交代できる
- 記録が残る
- 情報共有できる
- 睡眠を削りすぎない
こういう仕組みがある組織です。
■⑥ まとめ
今回のテーマで大事なのは、
災害広報は“気合いで回る”と思うと危険。 睡眠を削らない体制づくりが助かる。
この判断です。
非常時には、頑張る人が必要です。
でも、それ以上に必要なのは、
頑張り続けなくても回る仕組みです。
防災は、設備や備蓄だけではありません。
情報を伝える人が、最後まで判断できること。
それも立派な防災力だと思います。
出典:Yahoo!ニュース(産経新聞)「コロナ禍『睡眠は毎日2時間』それも床で 東京都の報道課長に就任した内藤貴子さん」

コメント