「脱“福祉”型モデル」とは、障がい福祉サービスの利用者を“一般雇用”へ切り替えることで、本人の収入向上と自立を目指す考え方です。
同時に、行政側の社会保障費を抑え、官民連携で支える仕組みでもあります。
一見すると“福祉政策”の話ですが、防災の視点から見ると、これは地域の「耐災害力(生活・心・判断・収入が壊れにくい力)」を底上げする施策でもあります。
■① まず結論:一般雇用への転換は「生活を守る備え」になる
災害が起きた時に真っ先に揺らぐのは、住まい・仕事・収入です。
平時から「収入が安定する」「社会とのつながりが増える」「支援が途切れにくい」状態を作ることは、被災後の立て直しを速くします。
一般雇用への転換は、単に働き方を変えるだけではなく、生活基盤そのものを強くする“備え”です。
■② 「脱“福祉”型モデル」の骨格(画像の内容を整理)
画像の要点は次の3つです。
1) 一般雇用への転換
障がい福祉サービスから一般雇用へ切り替えることで、収入向上を実現する。
2) 社会保障費の削減
“脱福祉”により、行政の社会保障費をゼロにする試み(少なくとも削減を狙う考え方)。
3) 官民連携の支援
日本財団と福岡県の助成なども活用し、社会福祉法人(共生の里)が運営する。
ここで大事なのは、「本人の自立」だけを求めるのではなく、官民が仕組みとして支える点です。
■③ 防災的に効くポイント①:収入は“命を守る装備”になる
災害時は、想像以上に“お金がいる”場面が増えます。
- 予備の電池、充電、移動
- 体調管理(薬、マスク、衛生)
- 一時宿泊、交通費
- 生活再建の初動(必要物の買い足し)
収入があるほど、選択肢が増え、判断が軽くなります。
これは「防災グッズ」よりも根本の備えです。
■④ 防災的に効くポイント②:「所属先」がある人ほど孤立しにくい
災害後の長期避難で一番きついのは、“孤立”です。
避難所でも仮設でも、「誰かが自分の存在を把握している」ことが、支援につながります。
一般雇用により、職場・同僚・産業医・労務の窓口など、平時からつながりが増えると、いざという時の“見守り網”が厚くなります。
■⑤ 現場で見たこと:支援は「制度」より「つながり」で届くことがある
私は災害対応で現場に入ったとき、支援情報が届く人と届かない人の差を何度も見ました。
紙の制度は存在していても、本人が申請できない・情報にたどり着けない・相談先が分からない、という壁が現実にあります。
そのとき、助けになるのは「近くの大人」「声をかけてくれる人」「所属先の連絡網」です。
一般雇用は、この“つながり”を日常の中で増やす効果があります。
■⑥ 行政にとっての意味:社会保障費を減らすだけが目的ではない
社会保障費の削減は、財政の話として重要です。
ただ、防災の観点ではもう一段あります。
災害は、行政のマンパワーも予算も一気に消耗します。
平時から「支援を必要とする人が、より自立して暮らせる状態」を増やすことは、災害時の支援集中を緩和し、全体として救える人数を増やす方向に働きます。
■⑦ 官民連携が強い理由:災害時は“官だけ”では回らない
災害対応は、行政だけで完結しません。
物資、輸送、雇用、住まい、福祉、医療、地域団体…。全部が横につながって初めて回ります。
今回のように、官(県)×民(日本財団など)×福祉法人の運営がセットになっているモデルは、平時から連携の回路を作る、という意味でも価値があります。
■⑧ 今日できる最小行動:家族・職場で「支援の連絡先」を1つ決める
このモデルの話を“遠い政策”で終わらせないために、今日できる最小行動を1つだけ。
- 家族・本人・職場の誰でもいいので、「困ったときに最初に相談する窓口」を1つ決める
(会社の担当、支援機関、相談支援専門員、自治体窓口など)
災害時は、最初の一歩が遅れるほど不利になります。
連絡先が“1個決まっている”だけで、判断が速くなります。
まとめ
結論:一般雇用への転換は、障がい者の収入と自立を高めるだけでなく、地域全体の「耐災害力」を底上げします。
【防災士としての現場感覚】災害時に最後まで人を守るのは、制度そのものより“生活基盤(収入・つながり・相談先)”です。平時の仕組みづくりは、静かな防災です。
出典:福岡県(スライド資料「脱“福祉”型モデルの実現」)

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