忙しい朝、ゴミ出しで近所の人に会う。
たった数分の出来事なのに、なぜかどっと疲れる。
「今は話しかけないでほしい」
「立ち話になると予定が狂う」
「すっぴんを見られたくない」
実はこの“朝の数分ストレス”は、心の余裕を削る小さな負担です。
防災の現場に立ってきた立場から言えば、こうした小さなストレスの積み重ねは、いざという時の判断力にも影響します。
今日は、ゴミ出しという日常行動を防災の視点で整理します。
■① 朝はすでに“臨戦態勢”
出勤前
子どもの登園・登校前
家事が集中する時間帯
朝は多くの人が分刻みで動いています。
この状態は、心理的にはすでに緊張状態です。
そこに予想外の立ち話が入ると、心はさらに消耗します。
災害時も同じです。
余裕がない状態で想定外が入ると、人は冷静さを失います。
■② 立ち話は“時間”より“コントロール不能感”が負担
数分の会話そのものよりも、
「いつ終わるかわからない」
「断りづらい」
というコントロール不能感がストレスになります。
被災地派遣で感じたのも同じでした。
情報が整理されず、終わりが見えない状況は人を疲弊させます。
人は“見通し”があると落ち着きます。
■③ すっぴん問題は“無防備感”
ゴミ出しは「外出」と認識していない人が多いです。
・メイクしていない
・部屋着
・寝癖
その状態で人と会うと、無防備感が生まれます。
これは防災でも重要な視点です。
無防備な状態は不安を増幅させます。
“整っていない自分”を見られる不安は、想像以上に心を消耗させます。
■④ 小走りモードは“自己防衛”
・早朝に出す
・人がいない時間を狙う
・急いでいるアピールをする
これらは決して冷たい行動ではありません。
心理的な安全距離を保つための自然な工夫です。
私は元消防職員として、ストレス下では“余計な接触を減らす”ことが有効だと感じてきました。
エネルギーは有限です。
■⑤ 日常のストレス耐性は防災力に直結する
小さなストレスが積み重なると、
・イライラしやすくなる
・判断が雑になる
・他者への配慮が減る
災害時に問題になるのは、実はこうした“心の摩耗”です。
ゴミ出しの数分でさえ負担になるなら、
長期避難ではさらに影響が出ます。
■⑥ 「会いたくない」は悪ではない
近所づきあいが苦手な人もいます。
それは性格の問題ではなく、エネルギー配分の問題です。
被災地支援で感じたのは、
全員が社交的である必要はないということ。
無理に関わらなくても、
必要な時に協力できれば十分です。
■⑦ ただし“最低限のつながり”は命を守る
一方で、防災の観点から言えば、
完全に孤立するのも危険です。
・顔と名前が一致する
・最低限の挨拶ができる
このレベルのつながりは、災害時の安否確認で大きな力になります。
能登半島地震の対応でも、
普段挨拶している関係性が、情報共有をスムーズにしました。
“深い付き合い”ではなく、“緩い接点”が鍵です。
■⑧ 心を守る工夫は立派な防災行動
・時間帯をずらす
・短時間で切り上げる
・無理に会話を広げない
これは逃げではありません。
心を守る戦略です。
防災は物資だけでなく、心のエネルギー管理も含みます。
■まとめ|朝の数分ストレスを軽くする
ゴミ出しで近所に会いたくない。
それはわがままではありません。
結論:
自分の心を守る行動は、防災力を保つための大切な選択である。
元消防職員・防災士として伝えたいのは、
心の余裕がある人ほど、いざという時に周囲を支えられるということです。
無理をしない。
必要以上に背負わない。
朝の数分を軽くすることも、立派な“心の防災”です。
出典:Yahoo!ニュース「ゴミ出しで『ご近所さんに会いたくない人』実は結構多い!?朝の“たった数分”がストレスになる理由」(2026年2月17日)

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