【防災士が解説】住宅ローンと災害リスク|団信と火災保険の関係を整理して「二重の不安」を減らす

住宅ローンを組んでいると、災害の不安は二重になります。
「家が壊れたら住めない」だけでなく、「住めなくてもローンは残る」が現実だからです。
団信(団体信用生命保険)と火災保険(+地震保険)は、どちらも“万が一”に備える仕組みですが、守る対象がまったく違います。ここを混同すると、必要な備えが抜けたり、逆に保険料だけ重くなったりします。防災士として、判断が軽くなるように整理します。


■① 結論から|団信は「人」を守り、火災保険は「家」を守る

最初に役割を分けると、理解が一気に進みます。

・団信:ローン契約者に万が一があったとき、ローン残高を清算する仕組み(主に死亡・高度障害)
・火災保険:火災・風災・水災などで家が損傷したときの修理・再建を支える仕組み
・地震保険:地震・噴火・津波による損害を支える仕組み(火災保険とは別枠)

つまり、団信は「働けない・亡くなる」リスクに強く、災害で家が壊れるリスクには直接効きません。


■② よくある誤解|団信に入っているから災害も安心?

誤解されがちですが、団信は原則として「災害で家が壊れた」だけでは動きません。

・家が全壊しても、契約者が無事ならローンは残る
・住めない期間があっても、返済は続く
・仮住まい費用が追加で発生することがある

災害時に一番つらいのは、「生活費+ローン+修繕費」が同時に来ることです。
団信はここを直接カバーしない、という前提が重要です。


■③ 火災保険が効きやすい災害|風災・水災は契約で差が出る

災害で火災保険が活躍しやすいのは、風災・水災の領域です。

・台風で屋根が飛ぶ、窓が割れる(風災)
・豪雨で床上浸水、土砂流入(水災)
・給排水の事故で水ぬれ(自然災害ではないが実務で多い)

ただし、水災は外している契約もあります。
住宅ローンがある家ほど、「水災が付いているか」は優先確認ポイントです。


■④ 地震は別枠|ローンがあるなら“住めない期間”まで想定する

地震・噴火・津波による損害は、原則として火災保険では補償されません。
守るには地震保険が必要です。

ここで考えるべきは「壊れるかどうか」だけではなく、「住めない期間」です。

・修理業者の順番待ち
・部材不足
・避難や仮住まいの長期化
・家財の買い直し

ローンが残る状態で住めない期間が長いと、家計のダメージは想像以上になります。
地震保険は、再建のスタート資金として“行動の自由度”を確保する役割があります。


■⑤ 二重の不安の正体|「ローンが残るのに家が使えない」状態

住宅ローン×災害で一番怖いのは、この状態です。

・家が半壊〜大規模修繕が必要
・生活導線が崩れる(風呂・トイレ・キッチンが使えない)
・仮住まいが必要
・それでもローン返済は続く

ここを減らす備えは、道具よりも「仕組み」です。
保険の設計と、手元資金(生活防衛資金)の厚みが効きます。


■⑥ やらなくていい備え|保険だけで全部を埋めようとすること

災害の不安をゼロにしたくなると、保険を盛り過ぎて家計が苦しくなりがちです。

・全部入りにして固定費が増え、貯蓄ができない
・免責や条件を理解せず、いざという時に想定外
・団信と保険の役割が混ざって、必要なところが抜ける

防災の本質は「続く形」です。
保険も、家計が回る範囲で設計する方が強いです。


■⑦ 今日できる最小行動|証券とローン情報を並べて“3点チェック”

今日できる最小行動は、紙1枚で終わります。

1)団信がカバーする範囲(死亡・高度障害など)を確認
2)火災保険の水災の有無を確認
3)地震保険を付けているか確認(建物・家財のどちらかも見る)

この3点だけで、「何が守られていて、何が守られていないか」が見えます。


■⑧ 現場で見た「仕組みがある家は崩れにくい」|生活再建は段取りで差が出る

被災地派遣・LOとして支援に入った現場では、同じ被害でも生活の立ち上がりに差が出ました。
差を作っていたのは、気合いではなく“仕組み”でした。

・保険の範囲が把握できている
・必要書類や写真の段取りがある
・仮住まいの判断が早い
・家族内の役割分担ができている

元消防職員として災害現場に立った感覚でも、最初の判断が早いほど被害が拡大しにくいです。
団信と火災保険の役割を分けて理解するだけで、判断は軽くなります。


■まとめ|団信=人、火災保険=家、地震保険=地震。役割を分けると不安が減る

団信は「人の万が一」でローンを守る仕組みで、災害で家が壊れるリスクには直接効きません。
災害で家を守るのは火災保険(風災・水災など)で、地震は地震保険が別枠です。
住宅ローンがあるほど、「住めない期間」と「ローンが残る現実」を前提に、保険と手元資金の設計で二重の不安を減らすことが大切です。

結論:
団信と火災保険は守る対象が違う。役割を分けて確認すると、住宅ローン×災害の“二重の不安”は整理できる。

被災地で感じたのは、災害後に強い家ほど「制度と段取り」を味方にしているということでした。団信と火災保険を一度並べて見直すだけで、いざという時の迷いが減り、次の一手が早くなります。


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