停電すると、明かりも暖房も調理も不便になり、「火を使ってしのいでいいのか」と迷いやすくなります。ですが、この判断はかなり大事です。停電時は暗さや寒さより先に、火災と一酸化炭素中毒の危険を考えなければいけません。経済産業省は、災害時の製品事故として、携帯発電機を屋内で使って一酸化炭素中毒に至った事故や、カセットこんろ・カセットボンベの不適切使用による事故に注意を呼びかけています。特に携帯発電機は、屋内や換気の悪い場所では絶対に使用しないと明示されています。 oai_citation:0‡経済産業省
つまり、停電中に火を使っていいかの判断は、「困っているから使う」ではなく、どこで、何を、どう使うかが安全条件を満たしているかで決まります。元消防職員として感じるのは、停電時に一番危ないのは「火そのもの」だけではなく、「いつもと違う状況で雑に火を使うこと」です。私は、停電中の火気判断では、まず屋内か屋外か、次に換気と周囲の可燃物、最後に代替手段があるか、この順で考えるのが現実的だと考えます。
■① まず結論として、停電中に火を使っていいのはどんな時か
結論から言うと、安全条件を満たした時だけ限定的に使うのが基本です。
停電したからといって、すぐにろうそく、発電機、炭火、カセットこんろを使うのは危険です。特に経済産業省は、携帯発電機について屋内使用を絶対にしないよう示しています。また、東京消防庁はカセットこんろで炭起こしをすると、炭火の放射熱でボンベが高温になり破裂・爆発するおそれがあるため、カセットこんろでの炭起こしは絶対に行わないよう注意しています。 oai_citation:1‡経済産業省
私は、停電時に火を使う判断では、「使えるか」より「今この条件で安全に使い続けられるか」を先に見ます。
■② まず絶対に避けるべき火の使い方は何か
絶対に避けたいのは、屋内で排ガスや煙が出る機器を使うことです。
携帯発電機はもちろん、炭火、練炭、七輪などを室内や閉め切った場所で使うのは危険です。経済産業省は、携帯発電機の排ガスによる一酸化炭素中毒事故を紹介し、物置、倉庫、自動車内、テント内を含め、屋内や換気が悪い場所では絶対に使用しないよう示しています。屋外でも、排ガスが屋内へ入らないよう風向きに注意が必要です。 oai_citation:2‡経済産業省
被災地派遣でも、停電時は「寒いから」「明かりがほしいから」で危険な火気使用に走りやすいと感じました。私は、煙や排ガスが出る火は、停電中ほど慎重に見るべきだと考えます。
■③ カセットこんろは使っていいのか
カセットこんろは、正しく使えば停電時の調理手段になり得ますが、使い方を間違えると危険です。
特に東京消防庁は、カセットこんろで炭起こしをする行為を明確に危険としており、炭火の熱でボンベが加熱されることで破裂・爆発のおそれがあるとしています。また、経済産業省も経年劣化したカセットこんろやカセットボンベの事故に注意を促しています。 oai_citation:3‡東京都交通局辞書
私は、カセットこんろは「停電中だから何でも使える道具」ではなく、「平常時以上にルールを守って使う道具」だと考えます。特に炭起こし、ボンベの近くに熱源を置くこと、大きすぎる鍋の使用などは避ける方が安全です。
■④ ろうそくは使っていいのか
ろうそくは、使えなくはないが、できれば主役にしない方が安全です。
停電時の明かりとして思い浮かびやすいですが、地震の余震、子どもやペットの接触、カーテンや紙類への着火など、火災リスクが高いです。東京消防庁は火災事例の中で、日常の有炎火源が火災原因になることを繰り返し示しており、停電時の不安定な環境ではなおさら注意が必要です。 oai_citation:4‡東京都交通局辞書
元消防職員としても、停電中は「小さな火だから大丈夫」という油断が一番危ないと感じます。私は、明かりはまず懐中電灯やランタン型ライトを優先し、ろうそくは最後の選択肢にする方が現実的だと考えます。
■⑤ 停電中に火を使ってよいか判断する時の基準は何か
判断基準は、次の4つです。
① 換気が確保できるか
② 周囲に燃えやすい物がないか
③ その場を離れず管理できるか
④ 火を使わない代替手段がないか
経済産業省の注意喚起は、一酸化炭素中毒や火災事故を防ぐため、製品の使用条件を守ることを重視しています。つまり、「今すぐ必要か」だけでなく、「今この条件で安全に管理できるか」が判断の中心です。 oai_citation:5‡経済産業省
私は、停電中の火気判断では「使いたい理由」より「事故が起きる条件がそろっていないか」を先に見るべきだと考えます。
■⑥ 特に夜の停電で注意したいことは何か
夜の停電では、火を使うことで明かりと熱が得られる反面、周囲の危険が見えにくいのが問題です。
暗い中では、カーテン、衣類、紙類、家具の位置関係を見誤りやすくなります。さらに、家族が寝ている、疲れている、余震があるといった条件が重なると、火の管理が雑になりやすいです。私は、夜の停電では「火を使って何とかする」より「まずLEDライトで視界を確保する」方を優先した方が安全だと考えます。
■⑦ 子どもや高齢者がいる家庭ではどう考えるべきか
子どもや高齢者がいる家庭では、火を使う判断をさらに厳しくする方が現実的です。
子どもは予測できない動きをしやすく、高齢者は転倒や着衣着火のリスクが高まることがあります。停電中は普段より家の中が不安定なので、「少しの時間だけ」「近くにいるから大丈夫」が通用しにくいです。私は、家族構成を考えると、停電時ほど火を使わない選択肢を優先した方が安全だと感じます。
■⑧ 迷った時はどう判断すべきか
迷ったら、次の順番で考えてください。
「屋内で排ガスや煙が出る火ではないか」
「換気、可燃物、見守りの条件がそろっているか」
「ろうそくより安全な明かりがないか」
「カセットこんろを本来用途から外れて使っていないか」
この4つが整理できれば、停電中に火を使ってよいかの判断としてはかなり現実的です。防災では、「不便をすぐ解消すること」より「二次災害を起こさないこと」の方が大切です。
■⑨ まとめ
停電中に火を使っていいかの判断で大切なのは、困っているから使うのではなく、換気、周囲の可燃物、管理できる状況、代替手段の有無を見て、安全条件を満たした時だけ限定的に使うことです。経済産業省は、携帯発電機の屋内使用による一酸化炭素中毒事故を示し、屋内や換気が悪い場所での使用を絶対にしないよう呼びかけています。東京消防庁も、カセットこんろでの炭起こしはボンベ破裂や爆発のおそれがあるため絶対に行わないよう注意しています。 oai_citation:6‡経済産業省
私なら、停電中に火を使うか迷った時は「使えるか」ではなく「事故を起こさずに使い切れるか」で判断します。被災地でも、助かったのは不便を我慢できた家庭より、危ない使い方を避けられた家庭でした。だからこそ、まずは火を使わない手段を優先し、それでも必要なら安全条件を一つずつ確認する。この順番で整えるのがおすすめです。
出典:https://www.meti.go.jp/press/2023/02/20240229001/20240229001-1-2.pdf(経済産業省「災害時に使用する製品で気を付けるポイント」)

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