【防災士が解説】従業員向け防災アプリを企業に導入するなら何を先に決める?入れて終わりにしない判断基準

企業で従業員向け防災アプリを導入する時、よくある失敗は「安否確認アプリを入れたから備えはできた」と考えてしまうことです。ですが、災害時に本当に必要なのは、アプリの存在そのものではなく、誰が、どのタイミングで、どの情報を、どう返すかが社内で決まっていることです。

中小企業庁の「中小企業BCP策定運用指針」では、安否確認の方法として、緊急連絡網の整備に加え、なるべく多くの方法を確保することが望ましいとされ、電話輻輳時でも利用できるNTT災害伝言ダイヤル171や携帯電話の災害用伝言板サービスの活用も示されています。つまり、企業の防災アプリ導入で大切なのは、アプリ一本に頼ることではなく、安否確認手段を複線化した上で、その中心にアプリをどう置くかを決めることです。 oai_citation:0‡中小企業庁

また、内閣府の事業継続ガイドラインは、企業の事業継続の取組はBCPを含むBCMとして、策定だけでなく見直し・改善まで進めることを求めています。つまり、防災アプリも「導入」で完了ではなく、事業継続の運用手段として訓練・更新・見直しまで回せるかが重要です。 oai_citation:1‡防災ポータル

つまり、従業員向け防災アプリの企業導入で大切なのは、「便利そうな機能が多いか」ではなく、安否確認・指示伝達・出社判断・代替連絡手段まで、災害時に本当に回せる運用設計になっているかです。この記事では、その現実的な判断基準を整理して解説します。

■① まず結論として、防災アプリ導入で最優先にすべきことは何か

結論から言うと、最優先にすべきことは、アプリの機能比較より先に「何のために使うか」を決めることです。

企業が防災アプリを入れる理由は、だいたい次のどれかです。

安否確認をしたい
出社可否を確認したい
災害時の連絡を一斉配信したい
拠点ごとの被災状況を把握したい
平時から防災情報を共有したい

ここが曖昧なまま導入すると、「機能は多いが使われない」状態になりやすいです。元消防職員として感じるのは、災害時に止まりやすいのはアプリ不足より、目的が曖昧で社内運用が定まっていないことです。私なら、企業導入では
まず安否確認か指示伝達かを決める
次に利用対象を決める
最後に代替手段まで決める
この順で考えます。

■② まず何を確認したいのかを絞るべき理由

理由は、安否確認と業務連絡は似て見えて中身が違うからです。

中小企業庁の安否確認資料でも、従業員とその家族の安否確認、緊急連絡網、災害伝言ダイヤルや災害用伝言板など、複数手段での安否確認体制を整えることが望ましいとされています。つまり、安否確認は「情報を流す」ことより「返ってくること」が重要です。 oai_citation:2‡中小企業庁

一方で、業務連絡は「出社せず自宅待機」「この拠点へ集合」「この顧客へ連絡」など、指示の一斉伝達が中心になります。私は、防災アプリ導入では、安否確認用と指示連絡用を同じ画面で回すのか、分けるのかを最初に決めた方が現実的だと考えます。

■③ 導入時に一番見落としやすいのは何か

一番見落としやすいのは、全従業員が同じ条件でアプリを使えるわけではないことです。

たとえば、
私用スマホを持たない社員がいる
工場や現場で端末を持ち込めない社員がいる
高齢層や非IT職種でアプリ操作に慣れていない人がいる
夜勤・シフト勤務で通知確認タイミングがずれる
といった条件です。

中小企業庁の指針でも、緊急連絡先カードの配布や常時携帯、複数の安否確認手段の確保が示されているのは、一つの手段で全員を拾えない前提だからです。 oai_citation:3‡中小企業庁

私なら、防災アプリ導入前に「全社員が同じように使えるか」ではなく、使えない人が何人いて、その代替手段は何かを確認します。

■④ アプリに入れておきたい最低限の機能は何か

最低限ほしいのは、次の4つです。

① 一斉配信
② 安否確認の返答機能
③ 既読・未回答の確認
④ 代替連絡先や拠点情報の参照

これは、災害時の最初の数時間に必要な情報がほぼこの4つに集約されるからです。内閣府の事業継続ガイドラインが重視するBCMの考え方でも、重要なのは“使う場面で機能すること”であり、導入して終わりではありません。 oai_citation:4‡防災ポータル

私は、機能が多いことより、初動で迷わず押せる機能が前に出ていることの方が大事だと考えます。

■⑤ それでもアプリ一本に頼らない方がいいのはなぜか

ここはかなり大事です。災害時は通信障害や端末電池切れ、通知不達が起こりうるからです。

中小企業庁の安否確認資料は、緊急連絡網に加えてNTT災害伝言ダイヤル171や携帯電話の災害用伝言板の活用を示しており、「なるべく多くの方法を確保すること」が望ましいとしています。つまり、防災アプリを入れるなら、同時にバックアップ手段も明示しておく方が現実的です。 oai_citation:5‡中小企業庁

私なら、企業導入では
第一手段:防災アプリ
第二手段:メール・SMS
第三手段:171や災害用伝言板
のように、最低でも二重三重にします。その方が初動で止まりにくいです。

■⑥ 導入後に社内で決めるべき運用ルールは何か

導入後は、誰が配信するか、誰が集計するか、何分以内に返答を求めるかを決める必要があります。

たとえば、
総務が一斉配信
各部門長が未回答者確認
30分以内に一次回答
家族安否は別項目で確認
といった形です。

中小企業庁のBCP関係資料は、緊急時の連絡手段や安否確認ルールの決定、代行者育成などを事前対策として位置づけています。つまり、アプリ導入はIT導入ではなく、ルール整備でもあります。 oai_citation:6‡中小企業庁

元消防職員としても、災害時に止まるのは機器より「誰が集計するのか」が曖昧な時でした。私なら、アプリの画面設定より先に、運用フロー図を作ります。

■⑦ 防災アプリを“入れて終わり”にしないにはどうすればいいか

一番大事なのは、小さくても訓練することです。

たとえば、
抜き打ちで安否確認配信をする
月1回だけ既読確認を試す
年1回は夜間想定で送る
といった形です。

内閣府の事業継続ガイドラインが示す通り、事業継続の取組は見直し・改善を含めて回す必要があります。つまり、防災アプリもBCPやBCMの一部として、使って直すことが前提です。 oai_citation:7‡防災ポータル

私は、「導入済み」より「一度でも試した」の方がはるかに価値が高いと考えます。

■⑧ どんな企業が特に導入を急いだ方がいいのか

特に優先度が高いのは、次のような企業です。

複数拠点がある
夜勤やシフト勤務がある
現場社員と本社社員が分かれている
在宅勤務や直行直帰が多い
安否確認を電話連絡だけに頼っている

こうした会社は、災害時に誰がどこにいるかが見えにくくなりやすいです。私は、拠点数や人数より、所在把握の難しさで優先順位を決めた方が現実的だと考えます。

■⑨ 迷った時の判断基準

迷ったら、次の順番で考えてください。

「このアプリで最初に確認したい情報は何か」
「全従業員が同じ条件で使えるか」
「アプリ以外の代替連絡手段を持てているか」
「導入後に訓練して改善できる運用になっているか」

この4つが整理できれば、従業員向け防災アプリの企業導入としてはかなり現実的です。防災では、「便利な機能が多いこと」より「災害時に本当に返事が返ってくること」の方が大切です。

■⑩ まとめ

従業員向け防災アプリの企業導入で大切なのは、安否確認・一斉指示・既読管理・代替連絡手段を含めて、災害時に本当に回る運用として設計することです。中小企業庁の資料では、安否確認手段は緊急連絡網だけでなく、NTT災害伝言ダイヤル171や携帯電話の災害用伝言板などを含めて複数確保することが望ましいとされており、内閣府の事業継続ガイドラインも、事業継続の取組はBCP策定後の見直し・改善まで含めて進めることを求めています。 oai_citation:8‡中小企業庁

私なら、防災アプリ導入で一番大事なのは「アプリを入れること」ではなく「そのアプリで、誰の安否を、何分で、どう回収するかを決めること」だと伝えます。現場では、多機能なアプリより、返答が集まる運用の方が強いです。だからこそ、まずは目的を絞る、次に複線化する、最後に訓練する。この順番で整えるのがおすすめです。

出典:https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_a/bcpgl_08_12.html(中小企業庁「資料12 安否確認の方法」)

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