【防災士が解説】新年度こそ家族会議|連絡手段・集合場所・役割分担を見直す春の防災ミーティング術

新年度は、家族の生活動線が変わるタイミングです。通学路、通勤ルート、習い事、帰宅時間が変わると、災害時に「いつもの前提」が崩れます。だからこそ春は、防災の家族会議を“更新”するベストシーズンです。この記事では、長く続く形での防災ミーティング術を、最小の手間で実行できる形にまとめます。


■① 春は「家族がバラバラになる条件」が増える

新年度は、次の変化が同時に起きます。
・登校・出勤時間が変わる
・通学路や通勤ルートが変わる
・放課後や習い事の場所が変わる
・連絡先(担任・職場・緊急連絡網)が更新される
災害は、この“更新漏れ”を突いてきます。


■② 家族会議は「30分で終わる設計」にする

長時間の会議は続きません。春の防災ミーティングは30分で十分です。
・前半10分:現状の生活動線を共有
・中盤10分:連絡手段と集合場所を決める
・後半10分:役割分担と持ち物を確認
毎年、春に30分だけ。これが一番強い仕組みになります。


■③ 連絡手段は「平常時の手段+非常時の手段」をセットにする

災害時は、電話がつながりにくいことがあります。連絡は二段構えが基本です。
・平常時:家族グループのメッセージ(既に使っているもの)
・非常時:災害用伝言ダイヤル/災害用伝言板の使い方を確認
さらに「誰に連絡するか」も決めます。親族や友人など、家族の外に1人“中継役”を置くと連絡が通りやすくなります。


■④ 集合場所は「近い場所」と「遠い場所」の2つを決める

集合場所は1つだと、行けない時に迷います。必ず2つ決めます。
・第1集合:自宅近く(徒歩で行ける安全な場所)
・第2集合:地区の避難所など(広域で使える場所)
ポイントは「地震」「豪雨」「火災」で危険が変わることです。家の近くでも、川沿い・崖沿い・ブロック塀の多い道は避けるなど、ルートもセットで決めます。


■⑤ 役割分担は「誰が何を持つか」を3つだけ決める

役割分担は細かくすると続きません。3つだけ決めます。
1)情報担当:気象・避難情報を確認し家族に共有
2)持ち出し担当:玄関近くの持ち出し袋を持つ
3)見守り担当:子どもや高齢者、ペットの安全を優先
「重い装備を全部持つ」より、「迷わず動ける」方が大事です。


■⑥ 子どもには「ルールを3つ」だけ伝える

子どもに多くを教えると混乱します。伝えるのは3つで十分です。
・危ない場所(川・崖・ブロック塀・工事現場)に近づかない
・迷ったら大人がいる場所へ(学校・交番・お店など)
・家族と連絡が取れないときは、決めた集合場所へ向かう
紙に書いて冷蔵庫や玄関に貼ると、家族全員で共有しやすくなります。


■⑦ 防災士から見た「実際に多かった失敗」

家族会議で多い失敗は、意外とシンプルです。
・集合場所を決めたのに、家族が覚えていない
・学校や職場の連絡先が古いまま
・スマホが使えない前提が抜けている
・役割分担が曖昧で、持ち出しが遅れる
失敗の原因は「決めたつもり」で終わることです。決めたら、短いメモにして可視化するだけで改善します。


■⑧ 被災地経験から痛感した「決めてある家族は混乱が少ない」

被災地派遣では、家族が離ればなれになった状態で安否確認ができず、不安が増幅していく場面を数多く見ました。LOとして現地で調整に入ったときも、「集合場所」「連絡手段」「役割分担」が決まっている家庭ほど、初動が早く、支援情報にも落ち着いてアクセスできていました。元消防職員としても、混乱の渦中で迷いが少ないことが、結果的に安全につながると実感しています。防災は物より先に、家族の“行動の約束”が効きます。


■まとめ|春の30分家族会議で「迷い」を減らす

新年度は生活動線が変わり、災害時の前提が崩れやすい季節です。家族会議は30分で終わる形にし、連絡手段は二段構え、集合場所は2つ、役割分担は3つに絞る。子どもにはルールを3つだけ伝え、紙に書いて可視化する。これだけで、災害時の迷いは大きく減らせます。

結論:
春の防災は「家族の約束を更新すること」が最短で効く。連絡・集合・役割を30分で決め、紙に残せば、いざという時に迷わず動けます。
防災士として、備えの差は“行動の迷い”に表れると感じます。新年度の節目に、淡々と更新しておくのが一番確実です。

出典:https://www.bousai.go.jp/

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