【防災士が解説】新年度の新人はリスク評価をどうやるべきか|最初に外さない進め方の判断基準

新しく防災担当になった時、
「リスク評価と言われても、何をどう並べればいいのか分からない」
「地震、洪水、停電、感染症、人手不足…全部危険に見える」
「結局は経験がないと評価できないのでは」
と迷う人は少なくありません。

結論から言えば、新年度の新人がリスク評価をやる時に最も大切なのは、“危なそうなものを感覚で並べること”ではなく、“拠点に来るリスク”と“業務を止めるリスク”を分けて整理することです。
内閣府の事業継続ガイドラインは、事業影響度分析と並行して、優先的に対応すべき発生事象を把握するために、リスクの分析・評価を行うとしています。
また、国土地理院のハザードマップポータルサイトでは、住所や現在地から、洪水・土砂災害・高潮・津波などの災害リスクを重ねて確認できます。

防災士として率直に言えば、新人がリスク評価で一番失敗しやすいのは、
「地震が危ない」「水害が怖い」で止まること
です。
元消防職員として現場や被災地派遣、LO対応を経験して強く感じるのは、災害時に本当に困るのは災害名そのものより、
何が止まり、誰が困り、どこで判断が詰まるか
です。
だから新人のリスク評価は、評論ではなく、行動につながる整理として進める方が現実的です。

■① まず最初に分けるべきは「立地リスク」と「業務停止リスク」

新人が最初にやるべきなのは、リスクを一つの箱に入れないことです。

たとえば、
・地震
・洪水
・土砂災害
・高潮
は、拠点の立地や地域条件に左右されるリスクです。

一方で、
・停電
・通信断
・人員参集不能
・サーバ停止
・委託先停止
は、災害の結果として起こる業務停止リスクです。

防災士として言えば、ここを分けないと、
「地震対策をやれば大丈夫」
のような雑な整理になりやすいです。
元消防職員としても、現場で本当に困るのは地震そのものより、
停電した、連絡できない、人が来ない
といった二次的な停止です。

■② 最初に確認するのは「自拠点に来る災害」

リスク評価の出発点は、
自分の職場や施設に、どの災害が来る可能性があるか
を見ることです。

国土地理院のハザードマップポータルサイトでは、住所検索で
・洪水
・土砂災害
・高潮
・津波
などを重ねて確認できます。

新人のリスク評価では、まず
・川に近いか
・海に近いか
・崖や斜面が近いか
・低地か高台か
を整理すると進めやすいです。

防災士として率直に言えば、リスク評価で大切なのは、
全国共通の危険
ではなく
自拠点に直結する危険
を見ることです。
元消防職員としても、立地条件を見ないリスク評価はかなり弱いです。

■③ 次に見るべきは「その災害で何が止まるか」

災害名が分かったら、次に見るのは
業務停止の引き金
です。

たとえば、
・地震 → 停電、設備損傷、エレベーター停止、出勤不能
・洪水 → 浸水、機械停止、1階倉庫使用不能、車両移動不可
・土砂災害 → 接道遮断、孤立、避難困難
・台風 → 通信障害、物流停止、窓ガラス破損
という流れです。

内閣府の事業継続ガイドラインも、リスク分析・評価では、優先的に対応すべき発生事象の種類や被害水準を選ぶことが必要としています。
つまり、リスク評価は災害名を挙げるだけでなく、
その災害で何が止まるか
まで落とし込む必要があります。

防災士として言えば、リスク評価で本当に役立つのは、
災害一覧
より
停止要因一覧
です。

■④ 新人は「発生確率」より「影響の大きさ」から見る方がいい

リスク評価というと、
「どの災害が何%で起きるか」
を先に考えたくなります。
もちろん大切です。
でも新人の最初の実務では、
起きた時にどれだけ困るか
から見る方が整理しやすいです。

たとえば、
・年に一度レベルでも業務影響が小さいもの
・頻度は低くても、一度起きると事業継続が止まるもの
では、優先順位が違います。

防災士として率直に言えば、新人のうちは確率論を細かく回すより、
止まると致命的なもの
を先に拾う方が現実的です。
元消防職員としても、災害対応で怖いのは「まれ」より、
起きたら詰む
です。

■⑤ リスクは「人・物・情報・拠点」で見ると漏れにくい

新人がリスク評価をする時に使いやすいのが、
人・物・情報・拠点
の4分類です。

・職員の参集不能
・けが人発生
・要員不足
・指揮命令者不在

・備蓄不足
・燃料不足
・設備破損
・資機材故障

情報

・通信断
・サーバ停止
・連絡網不備
・情報共有停滞

拠点

・建物被災
・浸水
・停電
・断水
・立入不能

防災士として言えば、この4分類で見るだけでかなり整理しやすいです。
元消防職員としても、災害対応で本当に止まるのは、だいたいこの4つのどこかです。

■⑥ リスク評価表は「5列」で十分

新人が最初に作るリスク評価表は、複雑にしすぎない方がいいです。
最初は次の5列でかなり実務的です。

・リスク名
・想定される被害
・止まる業務
・現在の対策
・不足している対策

たとえば、

  • 洪水
     想定被害:1階浸水
     止まる業務:窓口、倉庫出庫
     現在の対策:土のう、上階保管
     不足:重要物品の移設基準

のように書きます。

防災士として率直に言えば、新人のリスク評価表で一番大切なのは、
見た目の立派さ
ではなく
次の対策につながること
です。

■⑦ 最初から点数化しなくてもいい

リスク評価というと、
点数をつけないといけないと思いがちです。
もちろん、慣れてきたら
発生可能性×影響度
のような整理は有効です。

ただ、新人の最初の段階では、
・高
・中
・低
の3段階でも十分です。

防災士として言えば、点数化は便利ですが、
根拠が曖昧な細かい点数
はかえって混乱します。
元消防職員としても、最初は
優先順位が見えること
の方が重要です。

■⑧ 最後は必ず「対策につなぐ」

リスク評価で最も大事なのは、
評価して終わらないこと
です。

たとえば、
・連絡網更新
・備蓄の分散配置
・重要機器の上階移設
・代行順位の明確化
・安否確認訓練
など、具体的な対策へつなげます。

内閣府の事業継続ガイドラインでも、リスク分析・評価の後には、事業継続戦略やその実現のための対策検討へ進む流れが示されています。
つまり、リスク評価は単独作業ではなく、
対策を決める前工程
です。

防災士として率直に言えば、評価だけで満足すると意味が薄いです。
元消防職員としても、災害時に助かるのは
評価した人
ではなく
直した人
です。

■⑨ まとめ

新年度の新人がリスク評価をやる時に最も大切なのは、“危なそうなものを感覚で並べること”ではなく、“拠点に来るリスク”と“業務を止めるリスク”を分けて整理することです。
内閣府の事業継続ガイドラインは、事業影響度分析と並行して、優先的に対応すべき発生事象を把握するために、リスクの分析・評価を行うとしています。
また、国土地理院のハザードマップポータルサイトでは、住所や現在地から、洪水・土砂災害・高潮・津波などの災害リスクを重ねて確認できます。

防災士として強く言えるのは、新人のリスク評価で一番大切なのは
全部を詳しく語ること
ではなく、
対策の優先順位が見えること
だということです。
迷ったら、
・立地リスクを見る
・業務停止リスクへ落とす
・人・物・情報・拠点で整理する
・対策へつなぐ
この順番で進めるのが一番現実的です。

出典:内閣府「事業継続ガイドライン」

参考:国土地理院「ハザードマップポータルサイト」

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