春の引っ越しは、防災の前提が丸ごと変わるタイミングです。土地勘がない状態で災害が起きると、「どこが危ないか」「どこへ逃げるか」「何を基準に判断するか」が分からず、初動が遅れます。だからこそ、引っ越し直後にやるべき防災は、備蓄より先に“地図”と“避難先”の整備です。この記事では、転居先で迷わないためのハザードマップ確認と避難所リストの作り方を、最小手間で実行できる形にまとめます。
■① 引っ越し直後は「危険が見えない」のが最大リスク
新しい土地では、次が分からない状態になりやすいです。
・川の増水しやすさ
・崖や谷の位置
・冠水しやすい道路
・過去の浸水や土砂の履歴
「知らない」は罪ではありませんが、災害時には判断の遅れになります。
■② ハザードマップは“1枚だけ”見ればいい
最初から全部を見ると疲れます。まずは次の1つに絞ります。
・その地域で一番起こりやすい災害(多くは大雨・洪水・土砂)
次に余裕があれば、地震・津波・火山など地域特性に合わせて追加します。最初の目的は「自宅が危険側か安全側か」を判断することです。
■③ 「自宅・職場(学校)・駅」の3点を線で結ぶ
地図は点ではなく線で見ます。
・自宅
・職場/学校
・最寄り駅やよく使う施設
この3点を結ぶルート上に、
・川
・崖
・アンダーパス
・古いブロック塀
がないかを確認します。災害は通勤・通学中に起きることがあります。
■④ 避難所は「公式+近い+安全」の順で絞る
避難所は数が多く、迷いやすいです。選ぶ基準は3つです。
1)自治体が指定する避難所(公式)
2)徒歩で行ける(近い)
3)ハザード上で危険が少ない(安全)
そして必ず「第1候補」「第2候補」を決めます。1つだと行けない時に詰みます。
■⑤ 避難所リストは“スマホと紙”の二段構えで作る
最短で作る避難所リストは、これだけでOKです。
・避難所名
・住所
・徒歩ルート(危険箇所を避ける)
・電話番号(あれば)
スマホに保存し、紙でも冷蔵庫や玄関に貼る。停電や通信障害でも見られる形にしておくと強いです。
■⑥ 引っ越し後の最初の休日に「歩いて確認」する
地図だけでは分からないことがあります。
・夜道の暗さ
・道の幅
・用水路の危険
・階段や柵の状態
家族で避難所まで一度歩くと、災害時の心理的ハードルが下がり、迷いが減ります。
■⑦ 防災士から見た“誤解されがちポイント”
引っ越し防災で多い誤解は次の通りです。
・「避難所は近いほど良い」→ 危険区域内なら逆効果
・「ハザードマップは大げさ」→ 実際は最悪ケース想定で判断に使う
・「水害は自分には関係ない」→ 低地や道路冠水で詰むことがある
地図は怖がるためではなく、迷いを減らす道具です。
■⑧ 被災地経験で痛感した「土地勘の差が初動を分ける」
被災地派遣では、土地勘がある住民は「どこが危ないか」「どの道が通れるか」を早く判断できていました。LOとして調整に入る中でも、避難先が決まっている世帯ほど落ち着きがありました。元消防職員としても、救助要請の多くは“判断が遅れて危険側に残った”ケースと重なります。引っ越し直後こそ、地図と避難先を決めるだけで安全側に寄せられます。
■まとめ|転居直後は「地図と避難先」を先に整える
春の引っ越しは、防災の前提が変わるタイミングです。まずは地域で起こりやすい災害のハザードマップを1枚確認し、自宅・職場(学校)・駅を線で結んで危険箇所を把握する。避難所は第1・第2候補を決め、スマホと紙でリスト化する。休日に一度歩いて確認するだけで、災害時の迷いは大きく減ります。
結論:
引っ越し防災の最優先は「ハザードマップ確認と避難所リスト作成」。地図で前提を更新すれば、土地勘がなくても迷わず動けます。
防災士として、備えは物より“判断の準備”が先だと感じます。転居後の最初の1時間で、家族の安全度は確実に上がります。
出典:https://www.bousai.go.jp/

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