【防災士が解説】災害時ドローン活用の現実解|雨でも避難誘導・捜索ができる理由と注意点

災害が起きた直後、いちばん苦しいのは「状況が分からない時間」です。道路が寸断され、沿岸部に近づけず、電話もつながりにくい。被害把握が遅れるほど、避難・救助の判断は難しくなります。
その空白を埋める道具として、いま現実的に効いてくるのがドローンです。鹿児島県姶良市で行われた実証実験では、雨の中でも飛行し、上空から映像・赤外線・スピーカーで避難誘導や要救助者の確認ができることが示されました。ここでは「何ができるのか」「どう使うべきか」を8つに整理します。


■① まず結論:ドローンは“最短で現場を見る目”になる

災害直後は、車両も人員も「行けない・近づけない」ことが多いです。
ドローンは、道路状況に左右されにくく、最短で被害エリア上空に到達できます。上空からの映像で浸水・土砂・倒壊・通行不能箇所を確認できれば、次の判断(避難指示、救助ルート、資機材投入)が一段速くなります。


■② 実証実験のポイント:雨でも飛べて、声が届く

姶良市の実証実験では、カメラ・赤外線カメラ・大音量スピーカーを搭載した機体を使用し、雨の中でも運用できることが確認されました。
特に重要なのは、上空からの呼びかけが要救助者に届くこと。雨音がある環境でも、スピーカー音声が聞き取れ、応答確認(手を振る等)につながっていました。


■③ “目”の強み:映像+赤外線で要救助者を探せる

可視カメラは被害の全体像、赤外線は人の存在の手掛かりを与えます。
浸水や停電で夜間になった場合、地上からの目視では限界が出ます。赤外線は万能ではありませんが、捜索範囲の当たりを付けられるだけでも、救助の初動が変わります。


■④ “口”の強み:避難誘導と意思疎通ができる

スピーカー搭載は、単なる状況確認から一歩進んで「誘導」に使えるのが強みです。
姶良市の想定では、沿岸部で津波が迫る状況を上空から確認しつつ、遠隔地(市役所)から呼びかけを行い、意思疎通できることが示されました。障がい者施設近くに要救助者がいる想定では、文字(SOS)や掲示でやり取りし、必要人数を伝える運用も確認されています。


■⑤ “ルート”の強み:遠隔操作+飛行ルート設定で継続監視

ドローンは遠隔操作に加え、飛行ルートを設定できる機体が増えています。
これは「一度見て終わり」ではなく、沿岸部・河川・避難路などを計画的に巡回し、状況変化を追えるという意味です。津波や河川氾濫は時間とともに危険域が変わるため、継続監視は避難判断の精度に直結します。


■⑥ 現場の実感:被害把握が遅れると“判断”が一気に難しくなる

被災地派遣で感じたのは、情報が少ないほど人は動けなくなるという現実です。
道路がどこまで通れるのか、避難所に向かうルートは安全なのか、どこに要救助者が残っているのか。把握が遅れると、避難誘導も救助投入も「手探り」になり、二次災害リスクが上がります。
上空から安全に状況を見て、最短で必要な情報を集められること自体が、現場の負担を確実に減らします。


■⑦ 注意点:万能ではない(通信・気象・法令・安全管理)

ドローンは強力ですが、前提条件があります。
・通信が不安定だと映像伝送や遠隔操作が途切れる
・強風や視界不良では飛行制限が出る
・飛行には法令・運用ルール・安全管理が必須
・避難者の頭上飛行、障害物、電線、建物反射などリスク管理が要る
実証で有効性が示されても、現場投入には「誰が」「どの判断で」「どう安全に」飛ばすかの運用設計が欠かせません。


■⑧ 家庭・地域で活かす視点:ドローンを“見に行く役”にしない

住民側の備えとして大切なのは、ドローンに期待しすぎないことです。
ドローンは状況把握と誘導の補助であり、避難判断の主役は住民の行動です。
・ハザードマップで危険域を把握しておく
・避難開始のトリガー(警報、避難指示、雨量など)を家庭で決める
・夜間や停電に備え、ライト・靴・鍵・薬をまとめておく
ドローンの誘導が入る前に動ける状態を作っておくほど、命が守られます。


■まとめ|ドローンは「情報の空白」を埋め、避難と救助を早める

災害直後の最大の敵は、被害状況が分からない時間です。ドローンは、雨の中でも上空から映像・赤外線・スピーカーで状況把握と意思疎通を行い、避難誘導や捜索の初動を早める力があります。
結論:
ドローンは“安全に最短で現場を見て、必要な行動を早める”ための現実的な災害ツールです。
防災士として被災地対応を見てきた感覚でも、被害把握が早い地域ほど避難と救助が噛み合い、生活の崩れ方が小さくなります。ドローンはその差を作れる道具になり得ます。

出典:鹿児島読売テレビ「強い雨の中でもドローンから声が…」災害時にドローンをどう活用?姶良市で実証実験(2026年2月27日配信)

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