夏になると、「これって熱中症かも」と思っても、救急車を呼ぶべきか、自宅で様子を見るべきかで迷う人は多いと思います。結論から言うと、意識がおかしい、自力で水が飲めない、症状が改善しない時は救急寄りで考える方が安全です。環境省の熱中症環境保健マニュアルでは、少しでも意識がおかしい場合、自力で水が飲めない場合、症状が改善しない場合には、中等症以上と判断し病院への搬送が必要だと示されています。
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/sg_pcm/R0603/ref03.pdf
一方で、涼しい場所へ移して冷やし、自分で水分・塩分を取れて、症状が早めに軽くなるなら、自宅対応で様子を見られる場面もあります。つまり大事なのは、「熱中症かどうか」より「自宅で安全に立て直せる状態か」です。この記事では、その判断基準を分かりやすく整理して解説します。
■① まず結論として、救急と自宅対応の分かれ目はどこか
結論から言うと、分かれ目は 意識・飲水・改善の3つ です。
環境省のマニュアルでは、暑い環境にいる時、または暑い環境にいた後の体調不良はすべて熱中症の可能性があるとされ、次のように整理されています。
・少しでも意識がおかしい
・自力で水が飲めない
・応急処置をしても症状が改善しない
このどれかがあれば、病院への搬送が必要です。
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/sg_pcm/R0603/ref03.pdf
元消防職員として感じるのは、迷って動きが遅れるのが一番危ないという点です。だから、熱中症かなと思ったら、「軽いか重いか」より先に、この3つを見る方が現実的です。
■② 自宅対応で様子を見やすいのはどんな状態か
自宅対応で様子を見やすいのは、意識がはっきりしていて、自分で飲めて、冷やすと少しずつ楽になる状態です。
環境省の応急処置リーフレットでは、まず涼しい場所へ移動し、衣服をゆるめ、体を冷やし、自分で水が飲めるなら水分・塩分を補給するよう示されています。
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/manual/heatillness_manual_ov_04.pdf
たとえば、めまい、立ちくらみ、足がつる、大量の汗、少し気分が悪い、といった初期症状で、休ませると改善していくなら、自宅対応で立て直せる場面があります。
■③ 逆に、救急を考えるべき危険サインは何か
救急を考えるべきなのは、意識や行動がおかしい時です。
消防庁は、意識がもうろうとしている、体温が極端に高い、意識がない、けいれんがある、自分で水が飲めない、強い脱力感で動けない場合は、ためらわず119番するよう案内しています。
https://www.fdma.go.jp/relocation/kyukyukikaku/oukyu/05kobetsu/02/05_02_24.html
つまり、
・返事が変
・ふらついて歩けない
・呼びかけへの反応が鈍い
・吐いて飲めない
・ぐったりして動けない
このあたりは、かなり救急寄りです。
■④ 「自分で水が飲めない」はなぜそんなに重要なのか
ここはかなり大事です。自力で飲めないなら、自宅での立て直しが難しいからです。
環境省のマニュアルでは、自力で水分摂取ができない場合は緊急で医療機関に搬送することが最優先とされています。
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/manual/heatillness_manual_2-3_2-4.pdf
元消防職員としても、熱中症対応で危ないのは「飲ませれば何とかなるだろう」と思い込むことです。飲めない時点で、かなり危険な状態と考えた方が安全です。
■⑤ 応急処置は何をすればいいのか
応急処置の基本は、涼しい場所・冷却・飲めるなら補給です。
環境省の応急処置リーフレットでは、
・涼しい場所へ移す
・衣服をゆるめる
・体を冷やす
・自分で飲めるなら水分・塩分補給
と示されています。
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/manual/heatillness_manual_ov_04.pdf
冷やす場所は、首、脇の下、足の付け根が基本です。環境省と消防庁の資料でも、この考え方が示されています。
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/manual/heatillness_manual_2-3_2-4.pdf
https://www.fdma.go.jp/relocation/kyukyukikaku/oukyu/05kobetsu/02/05_02_24.html
■⑥ 迷った時に相談できる先はあるのか
あります。♯7119 が使える地域なら、かなり役立ちます。
消防庁は、♯7119について、「救急車を呼んだほうがいいのか」「今すぐ病院に行ったほうがいいのか」迷った時に、医師・看護師・救急救命士から助言を受けられる相談窓口だと案内しています。必要に応じて119番通報への転送もあります。
https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/appropriate007.html
私なら、「救急車は大げさかも」と迷う時ほど、♯7119を使う方がよいと考えます。
■⑦ 特に救急寄りで考えた方がよい人はいるのか
います。高齢者、子ども、持病のある人です。
こうした人は、熱中症が進んでも本人がうまく訴えないことがあります。また、悪化も早いことがあります。だから、同じ症状でも「様子見」を短く考えた方が安全です。
元消防職員としても、弱い立場の人ほど「まだ大丈夫」と言いがちでした。だから、周囲が早めに判断する方が現実的です。
■⑧ 迷った時の判断基準
迷ったら、次の順番で見てください。
「意識ははっきりしているか」
「自分で水が飲めるか」
「冷やして少しずつ改善しているか」
「高齢者・子ども・持病のある人ではないか」
このどれかで危ないと感じたら、救急や受診寄りで考える方が安全です。
■まとめ
熱中症かなと思った時に、救急か自宅対応かを分けるポイントは、意識・飲水・改善です。環境省は、少しでも意識がおかしい、自力で水が飲めない、症状が改善しない場合は搬送が必要だと示しており、消防庁も意識障害、けいれん、飲めない、強い脱力感などがある時は119番を勧めています。迷う時は♯7119も使えます。
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/sg_pcm/R0603/ref03.pdf
https://www.fdma.go.jp/relocation/kyukyukikaku/oukyu/05kobetsu/02/05_02_24.html
https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/appropriate007.html
私なら、熱中症かなと思った時に一番大事なのは「軽いかどうかを悩み続けること」ではなく、「意識・飲水・改善」を見て、危なければ早く救急へ切り替えることだと伝えます。被災地でも現場でも、迷って遅れる方が危険でした。だからこそ、まず意識、次に飲めるか、その次に改善するか。この順番で見るのがおすすめです。
出典:https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/sg_pcm/R0603/ref03.pdf(環境省「熱中症環境保健マニュアル 各論」)

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