【防災士が解説】生活保護制度とは?災害時に「最後の支え」を知っておくことが不安の減災になる

災害が起きると、家や仕事、健康、家計が同時に揺らぎます。貯金が尽きる、住まいを失う、収入が途切れる。こうした時に「助けを求める先が分からない」ことが、不安を一気に大きくします。生活保護制度は、困窮したときの最後のセーフティネットです。平時から制度の目的と基本を知っておくことは、恥でも甘えでもなく、“不安の減災”になります。


■① 生活保護制度とは何か

生活保護制度は、資産や能力などを活用しても生活に困窮する場合に、国が定める最低限度の生活を保障し、自立を支援する制度です。生活費だけでなく、医療、住居など生活に必要な扶助があり、「生活を立て直すための制度」として位置づけられています。


■② 災害時に生活が崩れるパターン(誰にでも起こり得る)

災害は“弱い人だけ”を襲うわけではありません。次のような重なりで、生活は崩れます。
・住居の損壊で家賃や修繕費が増える
・通勤や営業ができず収入が減る
・家族の介護や育児で働けない
・医療費が増える
・避難生活で心身が消耗する
「少しの余裕」が一気に消えるのが災害の怖さです。


■③ 生活保護=“一生抜けられない”ではない

誤解が多いのがここです。生活保護は永続を前提にした制度ではなく、生活が回復するまでの支援でもあります。
・収入状況の変化
・就労や健康の回復
・住まいの確保
などに合わせて、支援の形は変わります。「制度を知っている」ことは、追い込まれたときに選択肢を増やします。


■④ どんな支援が含まれるのか(生活費だけではない)

生活保護は生活費のイメージが強いですが、生活の基盤に関わる支援があります。
・生活扶助(食費など)
・住宅扶助(家賃など)
・医療扶助(医療費)
・介護扶助
・教育扶助
・出産扶助
・生業扶助(仕事に必要な支援)
・葬祭扶助
生活を立て直すための構造になっています。


■⑤ 被災地派遣(LO)で見た「制度が分からず孤立する人」

被災地派遣(LO)の現場で感じたのは、困っているのに「相談していい場所が分からない」「迷惑をかけたくない」と抱え込んでしまう人がいることでした。制度そのものより、情報にたどり着けないことが問題になります。災害時は体力だけでなく心も削れます。だからこそ、支援制度を“知っている”ことが、孤立を防ぐ力になります。


■⑥ よくある誤解(不安を増やさないために)

誤解①「生活保護はズルい」
→制度は困窮を放置しないための社会の仕組みです。災害時の支えにもなります。

誤解②「資産が少しでもあったら無理」
→状況により扱いは変わります。まず相談して整理することが重要です。

誤解③「相談したらすぐ保護になる」
→申請・調査・判断の流れがあります。急ぎの支援制度も含めて案内されます。


■⑦ 相談の第一歩(どこに行けばいいか)

困ったときの基本は、住民票のある自治体の福祉窓口(福祉事務所)への相談です。災害時は、避難所や市町村窓口で支援制度の案内が出ることもあります。
・家計が回らない
・家賃が払えない
・医療費が不安
こうした段階で早めに相談すると、選択肢が広がります。


■⑧ 今日できる最小の備え(制度を“平時に”知る)

・自治体の福祉窓口の場所と連絡先を控える
・家計が崩れた時の優先順位(住居・医療・食)を家族で共有
・支援制度を「最後の保険」として知っておく
制度は、追い込まれてから調べると遅いことがあります。知識は不安を減らします。


■まとめ|生活保護制度は“最後の支え”。知っておくことが不安の減災になる

生活保護制度は、生活に困窮した人の最低限度の生活を保障し、自立を支援する制度です。災害時は住居・収入・健康が同時に揺らぎ、誰でも困窮に近づく可能性があります。制度を知り、早めに相談できる状態を作っておくことは、恥ではなく不安を減らす備えです。

結論:
支援制度を知ることは、防災の一部。生活保護は“最後の支え”として、選択肢を増やしてくれる。
防災士として、被災地派遣(LO)で「制度が分からず孤立する」ことが回復を遅らせる現実を見ました。困る前に知っておく。それだけで、災害後の生活は崩れにくくなります。

出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/

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