大規模災害時、車で避難する人は少なくありません。
しかし、自動車避難は一歩間違えると深刻な渋滞を生み、命を守る行動が逆にリスクになることがあります。
被災地派遣の現場でも、渋滞が発生した地域ほど、救急車や支援車両の動きが制限され、状況が悪化する場面を見てきました。
その中でよく言われるのが「右折しない」という考え方です。
この記事では、車避難と渋滞予防の関係を現実的に整理します。
■① なぜ車避難で渋滞が起きるのか
災害時の渋滞は、単純に台数が多いだけではありません。
・同じ方向に一斉に動く
・信号が停止している
・交差点で右折待ちが発生する
・狭い道路に流れ込む
特に交差点での右折待ちは、流れを止める大きな要因になります。
通常時より判断が遅れるため、詰まりやすくなります。
■② 「右折しない」は流れを止めない工夫
「右折しない」という考え方は、交通を止めないための工夫です。
左折主体でルートを組むことで、交差点の滞留を減らせます。
・交差点での待ち時間が短くなる
・後続車の流れが止まりにくい
・混乱が広がりにくい
一人の行動が、全体の流れに影響します。
小さな工夫が、大きな差を生みます。
■③ 車避難が適切なケースとそうでないケース
すべての災害で車避難が適切とは限りません。
・津波からの高台避難
・高齢者や障害のある方の移動
・長距離移動が必要な場合
一方で、近距離なら徒歩の方が早いケースもあります。
被災地派遣でも、車にこだわって動けなくなった事例を見ました。
状況に応じた判断が重要です。
■④ 渋滞が生む二次的なリスク
渋滞は単なる不便ではありません。
・救急車が通れない
・ガソリン不足が起きる
・熱中症リスクが高まる
・トイレ問題が発生する
長時間動けない状況は、体力と精神力を奪います。
渋滞は“避難そのもののリスク”になります。
■⑤ 避難前に決めておくべきこと
渋滞を減らすために重要なのは、事前の判断です。
・徒歩か車かを決めておく
・主要道路を避けた複数ルートを確認
・右折を減らすルート設計
・家族間で合流場所を決めておく
現場で感じたのは、「迷い」が渋滞を拡大させるということです。
事前の合意が、混乱を減らします。
■⑥ ガソリンと時間の管理
車避難では燃料管理も重要です。
・常に半分以上を意識する
・渋滞を想定して余裕を持つ
・無理な移動を避ける
被災地派遣の際、燃料不足で移動できなくなる車両もありました。
燃料は安心材料でもあり、不安要素にもなります。
■⑦ 行政と住民の役割
行政は避難情報を出しますが、交通の細部までは制御できません。
だからこそ住民の協力が不可欠です。
・無理な割り込みをしない
・交差点で詰まらない
・救急車両を優先する
防災士として感じるのは、交通は“共助”の象徴だということです。
一人の配慮が、地域全体を守ります。
■⑧ 今日からできる最小行動
今日できることはシンプルです。
・自宅から避難先までの左折主体ルートを確認
・徒歩避難の所要時間を把握
・車に簡易トイレと水を積む
・燃料残量を習慣的に確認する
準備があるほど、焦りが減ります。
■まとめ|車避難は「流れを止めない」意識が命を守る
車避難は状況によって必要ですが、一斉移動は深刻な渋滞を生みます。
特に右折待ちは流れを止めやすく、避難全体を遅らせます。
徒歩との比較判断、複数ルート確認、燃料管理、そして「右折を減らす」意識が、地域全体の安全性を高めます。
結論:
車避難では「自分だけ早く」ではなく「流れを止めない」意識を持つことが、結果的に命を守る行動になる。
被災地派遣の現場で、渋滞が救助や支援を遅らせる現実を見てきました。
元消防職員として、交通の配慮は防災そのものだと強く感じています。

コメント