国の事前防災や災害対応の司令塔となる「防災庁」が、今秋の発足に向けて準備を進めています。
復興庁が蓄積してきた経験やノウハウを生かし、平時から復旧・復興までを一体で考える体制づくりが進んでいます。ここでは、防災庁設置の意味と、私たちの生活にどう関係するのかを整理します。
■① 防災庁とは何をする組織か
防災庁は、事前防災と災害対応の司令塔となる組織です。
首相をトップとし、防災相を配置。各府省庁に説明を求めたり、勧告を行う権限を持つとされています。
これまで分散していた防災機能を、より強い統括体制で動かすことが狙いです。
■② 「事前復興」という考え方
今回の大きな柱が「事前復興」です。
災害が起きてから復興計画を作るのではなく、平時から復興の目標や手順を検討しておく取り組みです。
被災地派遣で感じたのは、復旧は早いほど生活の崩れが小さいということ。
計画が事前に共有されているかどうかで、現場の混乱は大きく変わります。
■③ 復興庁の経験をどう生かすか
復興庁は、これまで大規模災害後の復旧・復興に携わってきました。
その知見を、防災庁にどう移すかが重要です。
災害は「発生直後」よりも「その後の生活再建」が長期戦になります。
防災と復興を切り離さず、一本の線で考える発想は現場感覚としても理にかなっています。
■④ 体制強化の規模
現在約220人の内閣府防災部門を強化し、352人体制でスタート予定。
関連予算も増額されています。
組織が強くなること自体が目的ではなく、「初動が速くなるか」「縦割りが減るか」が評価軸になります。
■⑤ 地方機関の設置
27年度以降、地方機関として「防災局」も設置予定とされています。
中央だけでなく、地方に拠点を持つことで、地域特性に応じた対応が期待されます。
豪雨、地震、津波、火山など、日本は地域ごとにリスクが違います。
地方拠点の役割は大きいはずです。
■⑥ 現場から見た“司令塔”の重要性
元消防職員として大規模災害を経験してきましたが、
最も混乱するのは「指揮系統が複雑な時」です。
誰が決めるのか
どの情報が正しいのか
どこに資源を集中するのか
司令塔が明確であればあるほど、現場は動きやすい。
防災庁は、その整理役としての機能が問われます。
■⑦ 期待と課題
期待されるのは、
・事前防災の強化
・復旧と復興のスピード向上
・省庁横断の調整力
一方で、組織を作るだけでは成果は出ません。
運用が現場目線で回るかどうかが鍵です。
防災士として感じるのは、制度よりも「現場との接続」が重要だということです。
■⑧ 私たちにできること
国の体制強化は大切ですが、
最終的に命を守るのは個人と地域の行動です。
・ハザードマップ確認
・家庭内の避難ルール
・備蓄の見直し
・地域とのつながり
防災庁ができても、個人の備えは変わりません。
■まとめ|防災と復興を一本で考える時代へ
防災庁の発足は、災害対応を「事後対応」から「事前準備」へと強化する動きです。
復興の経験を生かし、平時から復興までを一体で設計することが目指されています。
結論:
防災庁の真価は、災害発生前にどれだけ準備を整えられるかで決まります。
被災地派遣の経験でも、準備が共有されている地域ほど回復が早い。
国の動きと並行して、私たち一人一人も「事前防災」を積み重ねていくことが重要です。
出典:時事通信「復興の経験『最大限生かす』 防災庁、今秋発足へ」(2026年2月27日配信)

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