「日本の社債に投資するETFが誕生」というニュースが話題になりました。
高格付け社債に分散投資できて、利回りは約1.8%台。国債より少し高い。
一見すると「低リスクでインカムが取れる、ちょうどいい商品」に見えます。
しかし結論から言うと、防災×お金=“耐災害力”の視点で見ると、今は慎重に判断すべき商品です。
利回りの差・コスト・元本リスクを冷静に比べないと、「安心だと思っていた資産」がいざという時に揺らぎます。
私は元消防職員・防災士として被災地派遣(LO)に入り、家計が不安定な家庭ほど避難判断が遅れ、精神的余裕がなくなる場面を見てきました。
防災は備蓄だけではありません。お金の安定=行動の安定です。
■① 今回の社債ETFの概要(シンプルに整理)
報道ベースで整理すると、特徴は次の通りです。
- 高格付け(A格以上)の日本社債に投資
- 約100銘柄以上へ分散
- 想定利回り:約1.8%台
- 平均年限:約4年台
- 信託報酬:年率0.165%(将来0.33%)
いわゆる「低リスク寄りの社債パッケージ」です。
■② 比較の本質:国債との差は約0.2〜0.3%前後
同じ年限帯の個人向け国債(5年固定)と比べると、
利回り差は約0.2〜0.3%程度。
ここで冷静に考えるべきは、
- その差のために元本変動リスクを取るか
- その差のために信託報酬を払うか
という点です。
■③ 防災目線での最重要ポイント:元本割れリスクは“心理的余裕”を削る
社債ETFは価格変動があります。
市場金利が上昇すれば価格は下がる可能性があります。
平時なら問題ありません。
しかし災害時や収入減少時に、
- 「今売ったら損かもしれない」
- 「含み損が出ている」
という心理状態は、判断力を鈍らせます。
被災地派遣(LO)でも感じましたが、
資産が安定している人ほど、避難・修繕・転居の判断が早い。
お金のボラティリティは、行動のボラティリティにつながります。
■④ 信託報酬の現実:追加リターンのかなりの部分を削る
仮に利回り差が0.27%で、信託報酬が0.165%なら、
実質的な差はかなり縮まります。
将来0.33%に上がれば、
利回り差を上回る可能性すらあります。
防災目線で重要なのは、
- シンプル
- コストが低い
- 仕組みが分かりやすい
ことです。
■⑤ では完全にナシか?条件付きで「様子見」
社債と国債の金利差がもっと広がれば話は変わります。
例えば、
- 金利差が1%以上ある
- 市場環境が安定している
- ポートフォリオの一部として使う
こういう条件なら、
インカム補完として検討余地は出ます。
しかし現状では、
「わざわざ取りに行くほどの差か?」というのが冷静な疑問です。
■⑥ 防災×資産運用の原則:壊れにくい設計が最優先
防災の思想で言うなら、
- 命を守る備え
- 生活を守る備え
- お金を守る備え
この3つは同列です。
お金の備えは、
- 現金(流動性)
- 国債(元本安定)
- 分散株式(長期成長)
という“壊れにくい骨格”をまず固めることが先です。
耐災害力とは、
価格が動かないことではなく、
動いても生活が壊れない構造のことです。
■⑦ ありがちな誤解:「低リスク=安全」
社債は株より低リスクですが、
- 企業リスク
- 金利変動リスク
- 流動性リスク
は存在します。
「低リスク=安全」ではなく、
「何に対して低いのか?」を理解することが重要です。
■⑧ 今日できる最小行動:自分の“お金の耐災害力”を確認する
投資判断より先に、まず確認すべきはこれです。
- 生活費6ヶ月分の現金はあるか
- 停電・断水時の備蓄はあるか
- 収入が止まっても3ヶ月耐えられるか
これが整っていない状態で利回りを追うのは、順番が逆です。
まとめ
結論:円建て高格付け社債ETFは一見魅力的に見えるが、国債との差は小さく、信託報酬と元本変動リスクを考えると現時点では慎重判断が妥当。防災目線では“壊れにくい資産構造”が最優先で、まずは現金・国債・分散投資の骨格を固めることが耐災害力を高める。
利回りよりも、
生活が壊れないこと。
これが、防災とお金をつなぐ最重要視点です。
出典
東京証券取引所「ETFの基礎知識」
https://www.jpx.co.jp/equities/products/etfs/

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