【防災士が解説】SaaS型クラウドシステムとは?災害時に“止まりにくい情報基盤”を作る考え方

災害対応では、情報が分断されるほど混乱が広がります。紙台帳、個別端末、庁舎内サーバーだけに依存していると、停電や浸水で一気に機能が止まることがあります。そこで重要になるのが、SaaS型クラウドシステムという「止まりにくい情報基盤」の考え方です。ここでは、SaaS型クラウドの基本と、災害対応での強みと限界を整理します。


■① SaaS型クラウドシステムとは何か

SaaS(Software as a Service)型クラウドシステムとは、ソフトウェアをインターネット経由で利用する仕組みです。
・庁舎内にサーバーを置かない
・遠隔地のデータセンターで運用される
・複数拠点から同時にアクセスできる
といった特徴があります。災害時に「建物が使えない」状況でも、ネット接続があれば情報にアクセスできる可能性があります。


■② なぜ災害時に強いのか(物理的被災から分離)

従来のオンプレミス型(庁舎内設置型)システムは、建物や設備の被災に影響を受けやすいです。SaaS型は、
・サーバーが遠隔地にある
・バックアップが分散されている
・複数拠点から利用可能
という構造により、物理的被災から分離しやすいのが強みです。情報が残ることは、災害後の復旧速度に直結します。


■③ 具体的に何が変わるのか(避難所・被害情報・物資管理)

SaaS型が活きる場面は、
・避難所の開設状況管理
・被害情報の集約
・物資の在庫・配送管理
・応援部隊の配置管理
などです。複数の担当者が同時に更新できるため、情報が“最新版”として共有されやすくなります。災害対応では「同じ情報を見ている」ことが重要です。


■④ 強み(拠点が止まっても情報は止まりにくい)

SaaS型の強みは、
・庁舎が被災しても別拠点からアクセスできる
・テレワークや臨時拠点でも利用可能
・自動バックアップが前提
という点です。情報の継続性は、災害対応の継続性そのものです。


■⑤ 限界もある(通信依存とサイバー対策)

一方で、SaaS型も万能ではありません。
・インターネット接続が必要
・通信障害時は利用が難しい
・サイバー攻撃対策が重要
つまり、クラウドだけに頼るのではなく、
・衛星通信
・ローカルバックアップ
・紙媒体の最低限の様式
など、複数の備えと組み合わせることが前提です。


■⑥ 被災地派遣(LO)で感じた「情報が残る」ことの重み

被災地派遣(LO)の現場では、「前日の記録が見られない」ことが混乱の原因になる場面を何度も見ました。誰がどこを担当し、何を優先したのかが共有されないと、同じ確認が繰り返されます。逆に、情報が残り、共有されていると、次の判断が速くなります。SaaS型の価値は、最新情報の共有だけでなく、「記録が消えない」ことにもあります。


■⑦ 住民にとっての意味(復旧の速さに表れる)

住民からはSaaS型クラウドは見えません。しかし、
・罹災証明の発行が速い
・支援情報の公開が早い
・避難所情報が更新される
といった形で影響します。情報基盤が止まりにくいほど、生活再建が前に進みやすくなります。


■⑧ 今日から考えたい視点(家庭も“データの分散”を)

自治体が情報を分散するように、家庭でも同じ発想が有効です。
・重要書類のデータ化
・クラウド保存とUSB等の併用
・連絡先を紙でも保管
災害では、モノだけでなく「情報」が失われると再建に時間がかかります。家庭の耐災害力は、情報の分散で高まります。


■まとめ|SaaS型クラウドは“止まりにくい情報基盤”。分散と併用が鍵

SaaS型クラウドシステムは、遠隔地のデータセンターを活用し、複数拠点から利用できる情報基盤です。物理的被災から分離しやすい強みがありますが、通信依存やサイバー対策の課題もあります。重要なのは、クラウド単独ではなく、通信やローカル対策と組み合わせることです。情報が残ることは、復旧の速さに直結します。

結論:
災害対応で最も怖いのは「情報が消えること」。SaaS型クラウドは、止まりにくい基盤を作る選択肢であり、分散と併用が耐災害力を高めます。
防災士として、被災地派遣(LO)の現場でも、情報が共有されているだけで判断が速くなる場面を見てきました。情報基盤の強さは、復旧の速さです。

出典:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/security/

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