【防災士が解説】TMATとは?被災地の医療を止めない「災害急性期医療チーム」8つの役割

大規模災害が起きると、最初に必要になるのは救命救助です。
しかし、その直後から「外傷」「持病悪化」「薬不足」「透析」「高齢者の体調悪化」など、医療の需要が一気に増えます。
一方で、病院側は停電・断水・人員不足・資機材不足で機能が落ちることがあり、被災地の医療は簡単に崩れます。
この“急性期の医療崩壊”を防ぐために動くのが、TMATです。


■① TMATとは?

TMATは、災害発生直後から急性期を中心に、被災地の医療機関や救護所等で診療・医療支援を行い、地域の医療提供体制を維持するために活動する医療チームです。
被災地の「足りない医療」を埋め、医療の連続性を守る役割を担います。


■② なぜ必要?|災害直後は“患者が増えるのに病院が弱る”

災害直後に医療が逼迫する理由は明確です。

  • ケガ人が増える(転倒、落下、切創、挟まれ)
  • 避難生活で持病が悪化する(高血圧、糖尿病、喘息など)
  • 薬がなくなる(常用薬、インスリン、吸入薬)
  • 透析や在宅医療が止まりやすい
  • 病院が停電・断水・通信断で機能低下する
  • 医療スタッフも被災し、出勤できないことがある

このギャップを埋めるのが急性期医療チームです。


■③ TMATが動く主な現場|病院・救護所・避難所

TMATの活動場所は、救急現場だけではありません。

  • 被災した病院の支援(外来・病棟・救急の補助)
  • 救護所での診療支援
  • 避難所での健康相談・初期対応
  • 施設(高齢者施設等)の健康管理支援
  • 医療搬送が必要な人のトリアージ補助

「医療機関が回る状態」を作ることが中心になります。


■④ 何をする?|診療だけでなく“医療の仕組み”を立て直す

急性期は、診療と同じくらい“運用”が重要です。

  • 診療支援(外傷、感染症疑い、持病悪化など)
  • 患者の重症度判断と振り分け(トリアージ補助)
  • 医薬品・資機材の不足把握と調整
  • 医療機関の機能低下の補完(人員配置、導線整理)
  • 情報共有(受診者数、症状傾向、必要支援の報告)
  • 搬送調整(広域搬送、転院調整)
  • 保健・福祉との連携(要配慮者の把握)
  • 継続支援から地域医療への引き継ぎ

■⑤(一次情報)被災地では「病院が動いているか」が住民の不安を左右する

被災地派遣(LO)で現場を見ていると、住民の不安は「情報」と「医療」で大きく変わります。
特に、薬が切れた人、持病がある人、高齢者を抱える家族は、「診てもらえる場所があるか」で精神的な余裕が全く違います。

防災士として感じるのは、医療チームの存在は治療だけでなく、“避難生活の安心”そのものを支えているということです。
医療が回っていると、避難所の空気も少し落ち着きます。


■⑥ 誤解されがちポイント|「救急だけ」ではない

急性期医療チームというと、救急車対応のイメージが強いですが、現場では違います。

  • 薬の継続
  • 生活不活発病の予防
  • 脱水・低栄養の早期対応
  • 感染症の兆候把握
  • 避難所の健康リスクの整理

“重症化させない”ことが、結果的に救命につながります。


■⑦ 家庭でできる備え|「医療の備え」は薬が核

家庭側でできる備えは、現実的に次が最重要です。

  • お薬手帳(コピーでも可)
  • 常用薬の予備(可能な範囲で)
  • 持病に関する情報(診療科、病院名、薬名)
  • 眼鏡・補聴器など生活に必須の器具
  • 血圧計など必要な人は簡易チェック手段

医療側が動けても、本人情報がないと対応が遅れます。


■⑧ 今日できる最小行動|「自分の医療情報カード」を作る

今日できる最小行動として、次をスマホメモと紙の両方に残してください。

  • 氏名・生年月日
  • 持病・アレルギー
  • 服薬内容(薬名が分からなければ写真でも可)
  • かかりつけ医療機関
  • 緊急連絡先

災害時は説明できない場面があるので、先に作っておくのが強いです。


■まとめ|TMATは急性期の医療を支え、医療崩壊を防ぐ

TMATは、災害発生直後から急性期を中心に、被災地の医療機関や救護所等で医療支援を行い、地域の医療提供体制を維持するために活動する医療チームです。
救命だけでなく、持病・薬・避難所の健康管理まで含めて、地域の医療を止めない役割を担います。

結論:
災害時の医療は「救急」だけでなく、「薬と継続」で支えられます。
防災士として被災地を見てきた実感でも、医療が回る地域ほど避難所の不安が減り、二次被害が抑えられます。

出典:厚生労働省「災害時の保健医療体制」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saigai_iryou.html

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