公務員でも防災発信はできるのか。
結論から言うと、発信自体が即アウトではありません。
一番危ないのは、「防災のためだから大丈夫」と思い込んで、兼業・守秘義務・信用失墜の線を越えることです。
地方公務員法では、任命権者の許可なく、報酬を得て事業や事務に従事すること、自ら営利企業を営むこと、営利企業の役員等を兼ねることが制限されています。
つまり、防災発信も、無料の個人発信なのか、収益化された継続事業なのかで判断が変わります。
この記事では、公務員の防災発信が「できる」「危ない」「許可が要る」に分かれる現実的な判断基準を整理します。
■① 一番危ないのは「防災だから公益で全部OK」と考えること
防災は公益性が高いテーマです。
それ自体は間違いありません。
ですが、公務員の副業・発信は、テーマが公益的かどうかだけで決まりません。
見るべきなのは、次の点です。
・報酬が発生するか
・継続的な事業になっているか
・公務に支障が出ないか
・職務上知り得た非公表情報を使っていないか
・職名や立場の使い方が適切か
つまり、防災発信は「良い内容かどうか」より、どういう形でやるかで違反リスクが変わります。
■② 基本の結論|無料の個人発信と、収益化された継続発信は分けて考える
私が最初に切る判断基準はこれです。
無料で、個人として、一般的な防災啓発を行う発信
と
報酬・広告・アフィリエイト・有料販売を伴う継続発信
は分けて考えるべきです。
地方公務員法38条では、任命権者の許可なく、報酬を得て事業または事務に従事することなどが制限されています。
そのため、広告収入、アフィリエイト、原稿料、講演料、コンサル料などが絡むと、「ただの発信」ではなく兼業の検討対象になりやすいです。 oai_citation:1‡e-Gov 法令検索
■③ 違反リスクが低めなのは「非収益・一般論・勤務外・個人名義」の発信
公務員の防災発信で、比較的リスクを下げやすいのは次のような形です。
・勤務時間外に行う
・無報酬で行う
・一般公開情報だけを使う
・個人として発信する
・所属組織の公式見解と誤解されない形にする
・個別行政判断や内部情報に踏み込まない
ここで大切なのは、職務そのものを外で売らないことです。
たとえば、公務で扱った未公表情報、内部資料、住民情報、訓練計画、災害対応の非公表部分などを使うのはかなり危険です。
地方公務員法には守秘義務もあります。 oai_citation:2‡e-Gov 法令検索
■④ 一発アウトに近づきやすいのは「収益化」「肩書利用」「非公表情報」
私が特に危ないと見るのは、次のようなケースです。
・広告収入やアフィリエイトを継続的に得る
・有料記事、有料会員、有料講座を行う
・講演や監修を報酬付きで受ける
・公務員としての立場を営業に使う
・所属自治体の信用を背負うような表現をする
・非公表情報や内部事情を材料にする
地方公務員法38条の兼業規制に加え、同法には信用失墜行為の禁止や職務専念義務、守秘義務もあります。
つまり、防災発信であっても、収益・継続性・公務との近さが強くなるほど、違反リスクは上がります。 oai_citation:3‡e-Gov 法令検索
■⑤ 判断の分かれ目は「防災発信」ではなく「事業になっているか」
ここはかなり本質です。
公務員の防災発信が問題になるかどうかは、テーマ名では決まりません。
それが事業になっているかで見た方が現実的です。
たとえば、
Xで一般的な備えを無料投稿するのと、
防災ブログで広告収入を得るのでは、
同じ「防災発信」でも扱いが違います。
静岡県の公式ページでも、一般職の地方公務員は地方公務員法38条により、例外的に任命権者の許可を受ければ営利企業等に従事できると案内されています。
つまり、許可なしで当然に何でもできるわけではなく、まず許可の土俵に乗るかを見ないといけないということです。 oai_citation:4‡静岡県公式サイト
■⑥ 「社会貢献だから大丈夫」ではなく「許可が要るか」で先に切る
防災発信は社会貢献性が高いです。
でも、社会貢献性があることと、兼業規制の対象外であることは同じではありません。
私は、このテーマで迷ったらまずこう切ります。
報酬があるか。
継続して事業化しているか。
公務の信用や非公表情報に触れていないか。
このどれかが強いなら、
「これは良いことだから大丈夫」ではなく、
任命権者に確認・申請が必要な可能性が高い
と見ます。
■⑦ 現実的な安全ラインは「一般論の無償発信」まで
公務員でも防災発信をしたい人は多いと思います。
その時の現実的な安全ラインとして、私はまず次をすすめます。
・一般的な防災知識の無償発信
・公表済みの公的資料をもとにした解説
・勤務外の実施
・個人としての発信
・所属先の公式見解と誤解されない表示
・収益化しない
そこから先、
広告、アフィリエイト、講演料、監修料、コンサル、教材販売に広がるなら、
法38条許可や自治体内規の確認を先にする。
これが一番事故が少ないです。
■⑧ 結論|公務員の防災発信は「できるか」より「どこから危ないか」で見る
公務員でも防災発信はできるのか。
私の答えはこうです。
無償の一般的な防災啓発はやりやすい。 収益化・継続事業化・肩書利用・非公表情報利用は危ない。 迷ったら「防災テーマか」ではなく「兼業・守秘義務・信用失墜の線を越えるか」で見る。
この基準なら、大きく外しにくいです。
■まとめ
公務員の防災発信は、発信そのものが直ちに違反になるわけではありません。
ただし、地方公務員法38条では、任命権者の許可なく、報酬を得て事業や事務に従事すること、自ら営利企業を営むことなどが制限されています。
また、守秘義務や信用失墜行為の禁止などの服務規律もかかります。
そのため、無償・一般論・勤務外・個人名義の発信は比較的安全側ですが、収益化、継続事業化、肩書利用、非公表情報利用は危険です。
大切なのは、「防災だから大丈夫」ではなく、「これは兼業・守秘義務・信用失墜の線を越えていないか」で判断することです。
私なら、このテーマは“発信していいか”ではなく“どこから危ないか”で見ます。現場経験や専門性は価値がありますが、公務員はその価値の使い方を間違えると一気に危険になります。だから防災発信は、まず無償の一般論から始め、収益や継続事業の気配が出た時点で必ず確認を入れる方が安全です。

コメント