救急車は「いつでも同じように動いている」と思われがちですが、実際には時間帯で出動の波があります。特に昼間は、活動人口が増え、交通量も多く、外出先での急病や事故が重なるため、救急出動が集中しやすい時間帯です。そこで自治体によって導入・検討が進んでいるのが「デイタイム救急隊」です。これは昼間帯の需要増に合わせて救急体制を強化し、現場到着の遅れを減らす運用の工夫です。
■① デイタイム救急隊とは何か
デイタイム救急隊とは、昼間帯(主に日中のピーク時間)に救急需要が増えることを踏まえ、救急出動体制を増強するために編成される臨時的・時間帯特化型の救急隊です。常設の救急隊に加え、昼間だけ追加配置することで、出動集中時の対応力を上げます。
■② 昼間に救急が増える主な理由
昼間帯に救急要請が増える背景には、次の要因があります。
・外出者が増え、路上や職場での急病が増える
・交通事故が増える
・熱中症など環境要因の影響が出やすい
・医療機関受診や施設内事故が起きやすい
「人が動く時間に救急は増える」というのが基本です。
■③ デイタイム救急隊が必要になる状況(遅れが命取りになる)
救急は、ピーク時に出動が重なると“空車(出動中で出せない)”が増えます。その結果、現場到着が遅れ、重症患者の予後に影響する可能性が高まります。特に、
・心停止
・脳卒中
・重度外傷
では、数分の遅れが結果を左右します。デイタイム救急隊は、この遅れを減らすための現実的な対策です。
■④ 元消防職員として現場で痛感した「出動集中」の厳しさ
救急現場では、要請が重なる瞬間があります。例えば猛暑日、交通量の多い日、イベント開催日。出動が連続すると隊員の疲労が蓄積し、車両も戻れない。現場の感覚として、ピーク時に“あと1隊”があるだけで、地域の安心感は大きく変わります。デイタイム救急隊は、限られた資源で最大効果を狙う運用として合理性があります。
■⑤ 被災地派遣(LO)で見た「医療逼迫」と救急の波
被災地派遣(LO)の現場では、医療機関が混雑し、搬送先が決まらない状況が起きます。そうなると救急車が現場に戻れず、地域の救急余力が急に落ちます。平時のデイタイム救急隊とは状況が違いますが、「需要の波に合わせて運用を変える」という発想は共通です。救急は常に一定ではなく、波を前提に設計することが重要だと痛感しました。
■⑥ デイタイム救急隊の運用で大事な視点(増やすだけではない)
救急体制は、単に隊を増やすだけでは最適になりません。重要なのは、
・ピーク時間をデータで把握する
・出動エリアの偏りを分析する
・搬送時間(病院受入れ)も含めて改善する
という全体最適です。現場到着だけでなく、「戻ってこられるか」までが運用の勝負です。
■⑦ 市民側でできる“救急の波を減らす”行動
救急需要の一部は、予防で減らせます。
・熱中症:暑い日は外出計画を変える、こまめな水分補給
・転倒:段差対策、夜間の照明
・急変:持病の薬を切らさない、早めの受診
救急は最後の砦です。地域全体で“波を小さくする”行動が、救急体制を守ります。
■⑧ 今日できる最小の備え(救急車を呼ぶ前に迷わない)
救急要請で迷う人は多いです。今日できる最小の備えは、
・家族で「救急車を呼ぶ基準」を共有する
・自治体の救急相談窓口(#7119等)をメモする
・持病がある人は医療情報を紙でまとめる
迷いを減らすことが、早い通報につながります。
■まとめ|デイタイム救急隊は“昼間の救急需要増”に合わせて地域の遅れを減らす仕組み
デイタイム救急隊は、昼間帯に集中しやすい救急需要に対応するため、救急体制を時間帯特化で増強する運用の工夫です。出動集中は現場到着の遅れを生み、重症患者の予後に影響します。需要の波を前提に体制を設計し、市民側も予防と相談窓口活用で救急の波を小さくすることが重要です。
結論:
救急は“波がある”前提で守る時代。昼間のピークに備えたデイタイム救急隊は、遅れを減らす現実的な解決策です。
元消防職員として、ピーク時にあと1隊あるだけで地域の安心が変わる現実を見てきました。運用の工夫が、命を守る時間を生みます。
出典:https://www.fdma.go.jp/

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