【元消防職員が解説】中国・四国ブロック緊急消防援助隊合同訓練の検証ポイント|防災×広域応援

令和7年度中国・四国ブロック緊急消防援助隊合同訓練は、過去の大規模災害の教訓を踏まえ、「複合災害」を想定した実践的な内容で実施された。地震・風水害・火災が同時多発する状況下で、応受援体制、部隊運用、関係機関連携の実効性を検証する重要な訓練である。


■① 訓練の概要と目的

本訓練は、約80年前の鳥取大地震および令和5年の台風豪雨被害を踏まえ、鳥取県東部で発生し得る複合的災害を想定して実施された。
目的は、緊急消防援助隊の要請・出動手順の検証、活動技術の向上、警察・消防団・DMAT等を含めた連携強化、応受援体制の高度化である。


■② 実施日・場所・訓練想定

実施日は令和7年11月1日・2日の2日間。
鳥取市および倉吉市を主会場とし、地震の続発と長雨の影響下で震度6弱の本震が発生、大規模土砂災害・建物倒壊・火災が多発する状況を想定した。


■③ 災害対策本部運用訓練の成果と課題

地震発生後、県・消防局・航空部門に各種本部を設置し、被害分析と消防力評価に基づく応援要請・部隊調整を図上訓練で実施した。
一方で、防災情報システムが複数存在することによる重複入力、情報反映の遅延、内容不一致が課題として浮き彫りとなり、デジタルを活用した統合的情報共有体制の必要性が明確になった。


■④ 部隊進出訓練と受援体制の検証

応援部隊は各府県の計画に基づき被災地へ進出し、進出拠点・宿営地・燃料補給体制を確認した。
訓練では、受援計画に未記載の新設施設も活用され、有効性が確認されたことから、受援計画の定期的な更新の重要性が示された。


■⑤ 災害即応・部隊運用訓練の実践性

指揮支援部隊長の統制下、地震・土砂・風水害を想定した即応訓練を実施。
ドローンによる被害把握と映像共有、現地合同調整所の設置、複数県部隊の統合運用、水陸両用車など無償使用車両の検証、救急特別編成部隊による搬送訓練が行われた。
新設された安全管理部隊の導入により体制は強化された一方、部隊構成の複雑化への対応が課題として残った。


■⑥ 後方支援活動訓練で見えた現実的課題

拠点機能形成車や支援車を活用した後方支援訓練では、女性隊員の宿営環境や乾燥所の設置も検証された。
天候急変による気温低下を受け、簡易で機動性の高い暖房器具の配備や、悪条件下での長期防寒対策マニュアルの整備が今後の課題として整理された。


■⑦ 実災害に備えるための総括

本訓練は、応援活動調整本部・航空運用・新設部隊・関係機関連携を含む、実災害を強く意識した内容で実施された。
鳥取県における受援体制と部隊運用の課題が具体的に可視化され、今後の改善に直結する極めて有意義な訓練であった。
得られた成果と課題を踏まえ、緊急消防援助隊の応受援体制は、今後さらに進化していくことが求められる。

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