消防団員確保が難しくなる中で、「事業所との連携」は避けて通れないテーマです。
ただし、現場を見てきた立場から言うと、事業所連携はやり方を間違えると逆効果になります。
実際にうまくいっている地域と、形だけで終わった地域には、はっきりした違いがあります。
■① 事業所連携は「人を出してもらう話」ではない
失敗しやすい出発点はこれです。
・団員を出してください
・協力してください
このお願い型アプローチは、ほぼ長続きしません。
うまくいっている地域では、
最初から「事業所側のメリット」を明確にしています。
■② 事業所にとっての現実的なメリットとは
現場感覚で言うと、事業所が評価するのは次の点です。
・災害時に自社従業員を守れる
・初動対応が早くなる
・地域からの信頼が高まる
「社会貢献」よりも、
事業継続・安全管理に直結する話の方が響きます。
これは建前ではなく、経営判断として自然です。
■③ 成功している連携は「機能別的な関わり」
事業所連携で成功しているケースの多くは、
・全訓練参加
・全出動対応
を求めていません。
実際には、
・平日日中の初動連絡
・後方支援
・避難所運営補助
など、事業所勤務と両立できる役割に限定しています。
これは機能別分団の考え方と非常に相性が良いです。
■④ 現場で見た失敗例「便利な人員扱い」
逆に失敗したケースでは、
・人が足りない時だけ呼ばれる
・役割が曖昧
・休日・夜間も当然のように要請される
結果として、
・会社から理解が得られない
・本人が板挟みになる
・短期間で退団
この流れは、何度も見てきました。
■⑤ 事業所と共有すべき3つの明文化事項
連携を成立させるには、最低限これを明文化します。
・出動条件(いつ・どんな時か)
・出動範囲(危険区域に入らない等)
・優先順位(会社業務が最優先か)
ここを曖昧にすると、
本人も事業所も不安になります。
■⑥ 消防団側が勘違いしやすいポイント
現場でよくある誤解があります。
・協力してもらっている
・ありがたい存在
これは事実ですが、
上下関係を作った瞬間に連携は壊れます。
事業所連携は、
・対等なパートナー
・役割分担
として扱う必要があります。
■⑦ 事業所連携は「人数確保策」ではない
大切なのはここです。
事業所連携は、
・団員数を増やすため
ではなく
・災害対応力を広げるため
の仕組みです。
数だけ増えても、
実働しなければ意味はありません。
■⑧ 現場からの結論
事業所と連携した消防団員確保がうまくいく条件は明確です。
・役割を限定する
・無理をさせない
・事業所側のメリットを正面から伝える
これができている地域では、
連携は「形」ではなく「力」になります。
消防団がこれからも地域に必要とされるために、
事業所連携は丁寧に設計すべき重要な選択肢です。

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