介助中の地震は、「自分が動けない」だけでなく「相手も動けない」状況が同時に起きます。焦って抱え上げようとして転倒したり、車椅子ごと倒れてしまったり、周囲の落下物に巻き込まれるのが一番危険です。まずは“その場で命を守る”ことを最優先にして、揺れが収まってから安全な移動に切り替える。この順番だけで、事故の確率が大きく下がります。
■① まず守るのは「頭・首・呼吸」で、移動は後
揺れた瞬間に移動しようとすると、足元が不安定で転倒しやすくなります。介助者も要介助者も、まずは頭と首を守り、呼吸を確保します。できるだけ低い姿勢で、落下物から身を守れる形を作ります。移動は揺れが収まってからで十分です。
■② 車椅子・歩行介助中は「その場固定」が基本
車椅子利用中は、急に押し出さず、その場で停止してブレーキをかけます。歩行介助中は、無理に引っ張らず、いったんその場でしゃがみ込み、転倒しない形を作ります。揺れている最中に動くほど危険が増えるため、「止まる」が正解になります。
■③ 落下物から守る位置に「寄せる」だけで十分
抱え上げて運ぶのは危険です。できることは、机の下、壁際の頑丈な柱の近く、落下物が少ない場所へ“寄せる”ことです。わずか数十センチでも、頭上の危険が減る位置に寄せられれば成功です。大きく移動しなくていいと決めると、介助が安定します。
■④ 揺れが収まったら「ケガ確認→出口確保→避難判断」の順
揺れが収まった直後は、ガラス片や転倒でケガが起きやすい時間帯です。まずは本人と介助者のケガ確認をし、次に出口や通路に障害物がないかを確認します。その上で、建物の損傷、火災、津波の可能性などを見て避難判断に移ります。順番を固定すると混乱しません。
■⑤ エレベーターは使わず「待てる場所」を作る
介助が必要な方ほど、避難は時間がかかります。だからこそ、揺れが収まった直後に無理をしないことが重要です。エレベーターは使わず、まずは落下物が少なく安全な場所で待機して状況確認をします。安全が確保できたルートで、落ち着いて移動します。
■⑥ 声かけは「短く・肯定・次の一手」で安心が作れる
地震直後は恐怖で混乱しやすく、相手の緊張が介助の難易度を上げます。声かけは短く、「大丈夫」「ここで頭を守る」「揺れが止まったら動く」と次の一手まで伝えます。否定や説明の長さは逆効果になりやすいので、短く統一します。
■⑦ 介助者が倒れたら終わるので「自分の安全」も同時に守る
介助者がケガをすると、その後の避難が止まります。被災地の避難生活でも、介助する側が疲労やケガで動けなくなり、結果的に全員が苦しくなる場面を見ました。自分の足元、頭上、姿勢を守ることは、相手を守ることと同じです。無理な抱え上げをしない判断が、結果として一番安全です。
■⑧ 事前に決めるのは「地震時の定位置」と「守り方1パターン」
本番で新しい判断をしないために、介助場所ごとに“定位置”を決めます。寝室、廊下、トイレ、玄関、車椅子でよく通る場所。それぞれで「止まる位置」「頭を守る形」を1パターンに固定します。パターン化しておくと、介助中でも迷いません。
■まとめ|介助中の地震は「止まる・守る・寄せる」で事故を減らせる
介助中に地震が起きたら、最初にやるのは移動ではなく、頭・首・呼吸を守ることです。車椅子は停止してブレーキ、歩行介助はその場で転倒しない形を作ります。抱え上げずに危険の少ない位置へ“寄せる”だけで十分です。揺れが収まったらケガ確認、出口確保、避難判断の順で進め、エレベーターは使わず安全な待機を挟みます。声かけは短く、肯定し、次の一手まで。介助者自身の安全も同時に守ることが、結果として相手を守ります。
結論:
介助中に地震が起きたら「止まる・頭を守る・危険の少ない位置へ寄せる」を徹底し、揺れが収まってから避難判断に切り替えるのが最も安全です。
現場では、揺れている最中に無理に動こうとして転倒やケガにつながるケースが多いです。最初の60秒は“動かない勇気”が、命を守る介助になります。

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