令和8年の新春を迎えるにあたり、全国で消防防災に携わる方々が果たしてきた役割の重さを、改めて振り返る必要があります。日々の火災対応、救急活動、災害対応の積み重ねが、地域の「当たり前の安全」を支えてきました。
■① 災害が常態化する時代に入った日本
近年、日本各地で林野火災、大雨災害、台風被害、大規模火災が相次いで発生しています。災害は「例外」ではなく、「いつ起きてもおかしくない前提条件」へと変わりました。被害の規模や頻度が増す中で、消防の役割は確実に重くなっています。
■② 消防現場を支えた総力対応の現実
災害現場では、被災地の消防本部や消防団に加え、県内外からの消防応援隊、緊急消防援助隊が連携し、最前線で活動してきました。現場では時間・人手・情報のすべてが不足する中で、「まず命を守る」という判断が繰り返されています。
■③ 救急出動の過去最多が示す構造的課題
救急出動件数、搬送人員が過去最多を更新し、猛暑による熱中症搬送も記録的な水準となりました。これは一時的な現象ではなく、高齢化、気候変動、社会構造の変化が重なった結果です。消防の負担は今後も軽くなることはありません。
■④ 想定される巨大災害と消防の責任
南海トラフ地震、首都直下地震など、発生が危惧される巨大災害に対し、消防は「最後の砦」としての役割を担います。被害をゼロにはできなくても、被害を最小化し、回復を早める力が求められています。
■⑤ 緊急消防援助隊の進化と備え
創設30年を迎えた緊急消防援助隊は、大規模災害対応の中核です。情報収集・映像送信を担う消防庁ヘリコプターの増強、全国合同訓練、受援体制の強化、救助技術の高度化など、実戦を見据えた進化が続いています。
■⑥ 消防団の危機と地域防災の持続性
消防団員の減少は、地域防災の根幹を揺るがす課題です。装備や資機材の充実だけでなく、女性や若者を含む多様な担い手を確保するための制度設計や広報が不可欠となっています。地域に根ざした防災力は、一朝一夕では育ちません。
■⑦ DX・新技術が支える次世代の消防
消防分野におけるDXや新技術は、現場の「人に頼りきる構造」を支える重要な手段です。ドローン活用、マイナ救急の全国展開、研究開発の加速は、限られた人員で最大の効果を出すための現実的な選択肢です。
■⑧ 国民保護と避難体制の現実的強化
災害だけでなく、有事も想定した国民保護体制の整備が進められています。シェルター整備、住民避難訓練、Jアラートの更新など、「使える避難」を前提とした備えが求められています。
■⑨ 私たちにできる支え方
消防防災は、現場だけで完結するものではありません。住民一人ひとりが、災害時に「過度に頼らない備え」を持つことで、現場の負担は確実に軽減されます。自分の命を守る行動が、結果として地域全体を守ることにつながります。
■⑩ 新しい年に向けた防災の視点
令和8年を迎える今、防災は「特別な行動」ではなく「日常の設計」として捉える段階に入っています。消防の努力に依存しすぎない社会をつくることが、これからの防災の本質です。

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