令和7年8月、大阪市中央区宗右衛門町で発生したビル火災は、都市部の雑居ビルが抱える
「見落とされがちな防火リスク」を改めて浮き彫りにしました。
大阪市消防局が公表した事故調査の中間報告では、急速な延焼拡大が重要な要因として指摘されています。
■① 延焼拡大の一因となった屋外広告物
中間報告で指摘されたのは、建築物の外壁に設置されていた屋外広告物です。
・高さ3mを超える屋外広告物
・建築基準法第64条に不適合
・不燃材料ではない素材が使用
これらが、火炎の上方延焼を助長した可能性があると分析されています。
屋外広告物は景観や集客の要素として重視されがちですが、
火災時には「延焼媒体」になり得る設備でもあります。
■② 建築基準法と屋外広告物の防火規制
建築基準法第64条では、
・外壁等に設置される工作物
・一定規模を超える広告物
について、不燃性や安全性を確保することが求められています。
しかし実務では、
・設置時の確認不足
・用途変更や広告更新時の未確認
・条例と建築基準法の認識のズレ
といった理由から、不適合状態のまま放置されるケースも少なくありません。
今回の火災は、そうした「制度と現場の隙間」を突いた形と言えます。
■③ 再発防止に求められる部局間連携
今回の通知で特に強調されているのが、部局間の連携です。
・建築主務部局
・屋外広告物条例所管部局
・消防部局
これらが個別に動くのではなく、
協議体制を構築し、情報を共有すること
が再発防止の鍵とされています。
屋外広告物の設置事業者に対しても、
・建築基準法への適合確認
・素材・構造の安全性
・定期的な点検と見直し
を丁寧に周知・指導する必要があります。
■④ 現場経験から見た「見えにくいリスク」
消防の現場では、
「広告は火元じゃないから大丈夫」
という認識が根強いことも事実です。
しかし実際の火災対応では、
・外壁伝いの急速延焼
・上階への炎の回り込み
・消火活動の阻害
といった形で、屋外広告物が被害拡大要因になる場面を何度も見てきました。
燃えにくい建物でも、
付帯物一つで安全性は大きく変わる
というのが現場の実感です。
■⑤ 防災の視点で見直す屋外広告物
今回の火災を教訓にすべき点は明確です。
・屋外広告物は「装飾」ではなく「建築物の一部」
・不燃性・設置基準の遵守は命に直結
・確認と連携を怠らない仕組みづくり
都市部ほど、建物は密集し、延焼リスクは高まります。
だからこそ、
平時の確認と制度運用こそが最大の防火対策
となります。
屋外広告物を含めた「建物全体」で防火安全を考えることが、
次の火災を防ぐ確かな一歩になります。

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