【元消防職員が解説】女性消防団員の寸劇が効く理由|津市「消防フェスタ」に学ぶ、防火・防災が広がる仕掛け

消防団の入団促進イベントで、女性消防団員が寸劇を披露し、防火・防災の大切さを伝えた――三重県津市消防本部の取り組みは、広報としてとても理にかなっています。約1,800人規模の観客に向けて、堅い話を“伝わる形”に変え、結果として防火・防災意識の向上と入団促進につなげた点がポイントです。
この記事では、寸劇という手段がなぜ効くのか、そして地域の防災力を底上げするために何ができるのかを整理します。


■① 寸劇による防火・防災教室とは何か

津市のイベントでは、女性消防団員が『火災無子(かさいなしこ)の防火・防災教室』と題した寸劇を披露し、防火・防災の広報と、女性消防団員の必要性をコミカルに伝えました。
体験ブースや展示と違い、寸劇は「見ているだけで学べる」のが強みです。家族連れや子どもでも、理解の入口に立てます。


■② なぜ“寸劇”が入団促進に効くのか

入団促進が難しい理由は、消防団の魅力が伝わる前に「大変そう」「自分には無理」と思われやすいからです。
寸劇は、参加のハードルを下げます。
・難しい言葉を減らせる
・笑いで緊張がほどける
・家族の同意が得やすい(家族で見て納得できる)
広報の目的は、正しさを押し付けることではなく、行動のきっかけを作ることです。寸劇は、その“最初の一歩”に強い手段です。


■③ 防火・防災の啓発として優れている点

寸劇の良さは、知識だけでなく「やりがちな失敗」まで自然に伝えられることです。
例えば火災予防なら、
・コンロ周りの油
・たこ足配線
・住宅用火災警報器の放置
など、生活の中の“うっかり”を題材にでき、観客が自分ごと化しやすくなります。
結果として「家に帰ってやること」が増えます。啓発は、行動に落ちた時点で勝ちです。


■④ 女性消防団員の必要性が伝わる理由

女性消防団員の価値は、単に人数の話ではありません。
・子どもや高齢者への声かけが届きやすい
・避難所運営や生活支援の視点が入りやすい
・地域の集まりに自然に入り、情報をつなげやすい
「地域の困りごと」に寄り添える人が増えるほど、災害時の被害は小さくなります。寸劇でその姿が見えると、「自分にも関われるかも」という感覚が生まれます。


■⑤(防災士から見た実際に多かった失敗)啓発が“正論だけ”になると、人は動かない

防火・防災の広報で多い失敗は、正しいことを並べたのに行動が変わらないことです。
・注意喚起はしたが、家で何をすればいいかが残らない
・情報が多すぎて「後でやろう」となって終わる
・怖さだけが残り、備えの入口に立てない
寸劇は、ここを突破しやすい。笑いとストーリーで「最小行動」を残せるからです。


■⑥ イベントで本当に狙うべき成果は「入団」だけではない

入団促進イベントの成果は、当日の申込者数だけで判断するとズレます。
本当の価値は、
・地域の防災意識が上がる
・消防団の存在が身近になる
・家族が“応援側”に回る
という土台づくりです。土台ができるほど、後から入団は増えやすくなります。急がず、着実に積むのが強いです。


■⑦(一次情報)被災地で感じたのは「知識」より「つながり」が命を守るという現実

被災地派遣やLOとして現場に入ると、物資や制度より先に効くのは、地域のつながりでした。
顔を知っている、声をかけられる、手伝いを頼める――その関係がある地域ほど、避難の混乱が小さく、支援が回りやすい。
消防団の入団促進イベントは、まさにその“つながり”を平時に作る場です。寸劇のような柔らかい広報は、初対面の壁を下げ、地域の関係人口を増やす力があります。


■⑧ 今日から真似できる「寸劇広報」の作り方

大掛かりにやる必要はありません。効果が出やすい型は次の通りです。
・テーマは1つ(火災警報器、たこ足、コンロ周り など)
・失敗例→気づき→今日やること、の順で終える
・最後に1行だけ「家でやる最小行動」を提示する
寸劇は完成度より継続です。年に1回でも続けば、地域の空気が変わっていきます。


■まとめ|寸劇は“防火・防災の入口”を広げ、消防団の理解者を増やす

津市の消防フェスタでの女性消防団員による寸劇は、防火・防災意識を高め、消防団への関心を自然に引き上げる有効な広報でした。正論の啓発では動きにくい層にも届き、家族単位で「家に帰ってやること」を残せるのが強みです。入団促進の成果は当日だけでなく、地域のつながりと理解者が増えることで、後から効いてきます。

結論:
寸劇は、防火・防災を“自分ごと”に変え、地域の理解者を増やす最強の広報手段の一つです。
元消防職員としての実感でも、災害時に最後に効くのは、平時からの関係と行動の積み重ねでした。寸劇は、その土台を作るための現実的な一手になります。

出典:津市公式ウェブサイト「女性消防団員の活動」
https://www.info.city.tsu.mie.jp/kurashi/bousai_kyuukyuu_shoubou/1003213/1003296/1003303/1003305.html

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