操法大会は、消防団の伝統的な行事の一つです。
一方で、団員が離れていく分団を見ていくと、操法大会が大きな分岐点になっているケースが少なくありません。
現場で関わってきた立場から、なぜ負担になりやすいのかを整理します。
■① 本来の目的が見えにくくなっている
操法大会の目的は、
・基本動作の習熟
・安全意識の向上
・統率の確認
にあります。
しかし現場では、
「勝つための大会」
「点数を取るための訓練」
にすり替わっている分団も多く見てきました。
目的がずれると、
訓練は成長ではなく苦行になります。
■② 訓練量が生活を圧迫しやすい
操法大会の最大の負担は、
訓練頻度と時間です。
・平日夜の連続訓練
・休日の長時間拘束
・大会前の集中期間
これが仕事・家庭と正面衝突します。
消防職員として見ても、
「操法の時期だけ家に帰れない」
という団員は珍しくありませんでした。
■③ 負担が一部団員に集中する
操法は、どうしても
・選手
・指導担当
・経験者
に負担が集まります。
特に真面目な団員ほど、
「自分がやらないと回らない」
と抱え込み、疲弊します。
この集中構造を放置すると、
操法が退団の引き金になります。
■④ ミスが許されない空気が重くなる
操法大会では、
ミスが点数に直結します。
その結果、
・怒号
・過剰な指導
・ピリピリした空気
が生まれやすくなります。
現場でも、
操法期間中だけ雰囲気が悪くなる分団を多く見てきました。
この空気は、若手や新入団員ほど強いストレスになります。
■⑤ 災害対応との関連性が実感しにくい
団員が疑問を持ちやすいのが、
「これが実災害にどう役立つのか」
という点です。
操法の動きが、
実際の災害現場と結び付けて説明されないと、
意味を見失います。
意味を感じられない努力は、
長く続きません。
■⑥ 見直しが進まない「聖域化」
操法大会は、
「伝統」「格式」「当たり前」
として扱われやすい行事です。
そのため、
・やめる
・縮小する
・頻度を下げる
といった議論がしにくくなります。
現場では、
この聖域化が最も大きな足かせになっていました。
■⑦ 負担を減らす現実的な工夫
続いている分団では、
操法の扱い方を工夫しています。
・全団員参加を前提にしない
・隔年・ローテーション制
・基礎動作確認に目的を絞る
・成績より安全・連携を評価する
「やる・やらない」ではなく、
「どうやるか」を変えています。
■⑧ 結論
操法大会が負担になるのは、
団員の意欲不足ではありません。
・目的がずれている
・生活への配慮が足りない
・負担が集中している
この状態で続ければ、
人が離れるのは当然です。
操法は、団を強くする手段であって、
団を壊す原因になってはいけません。
続く消防団ほど、操法との付き合い方を冷静に見直しています。

コメント