【元消防職員が解説】業務継続計画と受援計画が自治体を止めない|防災×業務継続

大規模災害が発生したとき、地方公共団体は災害対応の最前線に立つ一方で、住民生活を支える通常業務も止めることはできません。
そのために不可欠なのが「業務継続計画(BCP)」と「受援計画」です。


■① 業務継続計画と受援計画の役割

業務継続計画とは、災害時に優先すべき業務を明確にし、限られた人員・資源で行政機能を維持するための設計図です。

受援計画は、被災自治体が他の自治体や関係機関から人員・資機材の応援を円滑に受け入れるための準備です。

どちらか一方が欠けても、実際の災害対応は機能しません。


■② 令和6年度調査で分かった全体像

今回の調査では、業務継続計画については、都道府県・市町村ともに全団体が策定済みとなりました。

一方、受援計画は、
市町村では約8割にとどまっており、まだ整備途上の自治体が残っています。


■③ 業務継続計画の「重要6要素」

業務継続計画には、次の6つの要素を盛り込むことが重要とされています。

・首長不在時の代行順位と職員参集体制
・代替庁舎の特定
・電気・水・食料などの確保
・多様な通信手段の確保
・行政データのバックアップ
・非常時優先業務の整理

これら6要素すべてを定めている市町村は約5割にとどまっており、内容の充実が今後の課題です。


■④ 受援計画がないと起きる現実

災害時、応援職員が到着しても、

・どこに配置するのか
・誰が指揮を執るのか
・宿泊・食事はどうするのか

が決まっていなければ、支援は混乱します。

受援計画は「助けてもらう準備」であり、被災自治体側の責任でもあります。


■⑤ 消防庁が自治体に求めていること

消防庁は、調査結果を踏まえ、次の点を各自治体に求めています。

・業務継続計画の重要6要素の確実な整理
・地域防災計画等への受援規定の明記
・受援計画の策定と内容の具体化
・研修や訓練を通じた実効性の確認
・災害の教訓を踏まえた継続的な見直し

計画は「作って終わり」ではなく、「使える状態」にしておくことが重要です。


■⑥ 訓練で初めて見える計画の弱点

実際の災害対応では、想定通りに進まない場面が必ず出てきます。

・代替庁舎に行けない
・通信手段が一部使えない
・応援職員の到着が遅れる

こうした課題は、訓練を通じてしか見えてきません。


■⑦ まとめ:計画は自治体の「生命線」

業務継続計画は「自治体が止まらないための備え」。
受援計画は「助けを力に変えるための備え」。

どちらも、住民の命と生活を守るための基盤です。

災害時に機能する自治体であるために、
計画の策定、訓練、見直しを積み重ねることが、
地域防災力の底上げにつながります。

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