消防団員の確保が難しくなる中で、
近年あらためて注目されているのが機能別消防団員制度です。
現場を見てきた立場から言うと、
この制度は「人を増やす魔法」ではありません。
使い方を間違えると、逆に不満と分断を生む制度でもあります。
■① 機能別消防団員制度とは何か
- すべての訓練・出動に参加しなくてよい
- 特定の任務に限定して活動する
- 本団(基本団員)を補完する立ち位置
本来は、
- 広報
- 後方支援
- 避難所支援
- 情報収集
など、災害時に確実に必要だが人手が足りない分野を担うための制度です。
▶ 実例:石川県輪島市
能登半島地震後、後方支援班として女性や高齢者も無理なく参画。活動人員は約1.3倍に拡大。
■② 成功している地域の共通点
- 役割が最初から明確
- 出動範囲が限定
- 「やらないこと」が決まっている
▶ 実例:長野県安曇野市
水防・広報・避難誘導を分け、訓練は年2回のみ。継続率90%以上。
■③ よくある失敗パターン
- 人手不足のときだけ呼ばれる
- 結局フル出動を求められる
- 役割が曖昧なまま放置
▶ 実例:匿名自治体A市
広報要員が火災出動を求められ、1年で約半数退団。制度趣旨の徹底が不可欠。
■④ 「全員同じ」はもう限界
- 全員同じ訓練・出動を求めるのは困難
- 常時出動できる人、限定的な人、後方支援を分けるのが現実的
▶ 実例:福井県鯖江市
昼間出動困難な会社員を情報班登録。SNSやアプリで通報連携を担当。企業協力率も上昇。
■⑤ 本団との関係で重要な考え方
- 本団の下請けや補欠ではない
- 同じ消防団の一員として役割が違うだけ
▶ 実例:宮崎県日向市
合同訓練で役割理解を共有。信頼関係が強化され、助け合いが促進。
■⑥ 指揮命令系統と安全管理は最優先
- 誰の指示で動くか
- どこまで危険区域に入らないか
- 撤退判断は誰が行うか
▶ 実例:熊本地震時
避難所で複数組織が同時行動、指揮不明のままエリア進入。無線チャンネル共有で再発防止。
■⑦ 「無理をさせない」ことが制度成功の条件
- 覚悟・根性・使命感で回す制度ではない
- 無理をさせず、できる範囲を守り、続けられる設計が重要
▶ 実例:北海道北見市
大型雪害で除雪支援班を機能別で運用。安全と継続性を両立させた成功例。
■⑧ まとめ
機能別消防団員制度は、
- 「人数を増やす」魔法ではなく
- 「制度を正しく設計・運用する」ことが最重要
これにより、地域防災力を維持しつつ、負担を分散し、長期的な活動継続が可能になります。

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