【元消防職員が解説】民間企業との連携が命を守る|生コンクリート工業組合との合同訓練の意味

ニュース解説(能登・熊本など)

火災現場で最も重要なものは何か。

それは「水利」です。

どれだけ消防車があっても、水が確保できなければ消火は続きません。
特に山間部や水利が限られる地域では、安定した水の確保が大きな課題になります。

島根県雲南消防本部・飯南消防署が実施した、生コンクリート工業組合との合同訓練は、まさにその課題に向き合う取り組みです。


■① なぜ民間企業との連携が重要なのか

平成29年に締結された「災害時における消防水等の供給支援に関する協定」に基づき、生コンクリート工業組合と合同訓練が実施されました。

生コンクリート工場には、大量の水を運搬できるミキサー車があります。

災害時、この車両が「移動式水源」として活用できれば、水利確保が困難な地域でも消火活動を継続できます。

これは行政単独では実現できない仕組みです。
民間との協定があって初めて可能になります。


■② ミキサー車の構造を理解する意味

訓練では、ミキサー車の構造説明と、簡易防火水槽への補水訓練が行われました。

実災害では「知っているかどうか」が結果を左右します。

・どこから放水できるのか
・どのくらいの水量が確保できるのか
・安全に接続する方法は何か

机上の協定だけでは意味がありません。
実際に触れ、動かし、確認することが重要です。


■③ 水利確保困難地域での意味

山間部や郊外では、消火栓や防火水槽が十分でない場所もあります。

そのような地域で火災が発生した場合、

・水の搬送
・給水ルートの確保
・継続的な補給体制

が必要になります。

ミキサー車から簡易防火水槽へ補水できれば、現場での活動時間を延ばすことができます。

これは大規模火災時にも有効な手段です。


■④ 実災害を想定した流れの確認

訓練では、消防活動支援の要請から実施までの一連の流れも確認されました。

誰が要請し、
どこに連絡し、
どのルートで出動するのか。

この流れを事前に整理しておくことで、実災害時の混乱を防ぎます。

災害対応で最も怖いのは「連携の遅れ」です。


■⑤ 現場で感じた“水の重み”

元消防職員として多くの火災現場に立ちましたが、
水が途切れた瞬間の緊張感は忘れられません。

放水が止まるということは、延焼リスクが一気に高まるということです。

だからこそ、水利確保は戦術の根幹です。

今回のような合同訓練は、「いざ」という時の安心材料になります。


■⑥ 協定は締結して終わりではない

行政と民間の協定は、書類を交わしただけでは機能しません。

実際に訓練を行い、

・課題を洗い出し
・安全確認を行い
・改善を重ねる

この積み重ねがあって初めて「使える協定」になります。

継続こそが連携の質を高めます。


■⑦ 住民サービス向上につながる理由

こうした訓練は、単に消防技術の向上だけではありません。

結果として、

・消火時間の短縮
・延焼防止
・被害軽減

につながります。

住民から見えにくい部分ですが、裏側では多くの準備が行われています。


■⑧ 地域全体で守るという発想

災害対応は消防だけの仕事ではありません。

企業、自治体、地域住民が連携することで、
初めて強い防災体制が構築されます。

今回の訓練は、その象徴的な取り組みです。

平時から顔の見える関係を築いておくことが、
非常時の強さにつながります。


■まとめ|水を守ることは命を守ること

生コンクリート工業組合との合同訓練は、水利確保困難地域における消火活動の強化を目的とした重要な取り組みです。

協定に基づく連携確認、ミキサー車からの補水訓練、活動手順の整理。
これらはすべて、実災害での被害軽減につながります。

結論:
民間との連携強化は、継続した消火活動を可能にする“命を守る備え”です。

元消防職員として断言できます。
火災現場で最後にものを言うのは「水」と「連携」です。
その準備を平時にどれだけ積み重ねられるかが、地域の安全を左右します。

【出典】
島根県雲南消防本部 公表資料

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