【元消防職員が解説】消火器の正しい使い方|初期消火で命を守る行動

火災は「小さいうちに消す」ことが最も重要です。

しかし現場では、
「消火器があったのに、使い方を知らなかった」
というケースが少なくありません。

私は元消防職員として、
初期消火に成功した家庭と、失敗した家庭の両方を見てきました。

その差は、
“知っているかどうか”です。

ここでは、実践的な消火器の使い方を分かりやすく解説します。


■① 消火器は“現場近く”で操作しない

消火器は、火元の近くまで運んでから操作します。

目安はおおよそ 7〜8メートル まで近づいてから。

運搬中に誤射すると、
現場に到着した時には薬剤が空になることもあります。

✔ 片手で無理なら両手で抱える
✔ 障害物にぶつけない
✔ 安全な場所から操作する

落ち着いて運ぶことが重要です。


■② 正しい操作手順

  1. 黄色の安全ピンを抜く
  2. ホースを外し、先端を持つ
  3. 火元に向ける
  4. レバーを強く握る

ホースは先端を持つこと。

途中を持つと圧力で暴れ、
狙いが定まりません。

放射時は、

✔ 火の“根元”を狙う
✔ 手前からほうきで掃くように
✔ 必ず風上から

室内では、出入口を背にして逃げ道を確保します。


■③ 初期消火の限界を知る

消火器で消せる目安は、

炎が天井に届くまで。

天井に燃え移ったら、
即避難してください。

マンションでは、
ドアを閉めて空気を遮断することも重要です。

そして必ず、
大声で周囲に知らせてください。

一人で抱え込まず、
協力して対応することが命を守ります。


■④ 天ぷら油火災の対応

住宅火災の代表例が、
天ぷら油火災です。

✔ 4〜5メートル離れて放射
✔ 徐々に近づく
✔ 油の飛散に注意

近づきすぎると、
薬剤の勢いで油が飛び散り、
やけどの危険があります。

粉末消火器は冷却効果が弱く、
再燃の恐れがあります。

薬剤は最後まで使い切り、
消火後もフタで空気を遮断してください。

強化液消火器は、
油火災に特に有効です。


■⑤ 消火器がない場合

✔ 鍋のフタを被せる
✔ 濡らしたシーツを覆う

その後、ガス栓を閉めます。

絶対に水をかけてはいけません。

油が飛び散り、
炎が一気に拡大します。

現場でも、水をかけて大火災に発展した事例を見てきました。


■⑥ 点検を怠らない

使用期限は過ぎていませんか?

✔ 安全ピンは付いているか
✔ キャップは緩んでいないか
✔ サビ・変形はないか
✔ ホースにヒビはないか
✔ 圧力ゲージは規定内か

被災地派遣や火災現場では、
「いざ使えなかった消火器」を何度も見ました。

異常がある場合は絶対に使用せず、
販売店やメーカーへ相談してください。


■⑦ 設置場所のポイント

見やすく、取り出しやすい場所に置きましょう。

✔ 玄関
✔ 階段近く
✔ 居間・寝室の目につく場所
✔ 台所入口

湿気の多い風呂場・洗面所は避けます。


■まとめ|知識があなたの命を守る

消火器は、
「置いてある」だけでは意味がありません。

✔ 使い方を知る
✔ 限界を知る
✔ 定期点検する

火災は防げる災害です。

小さいうちに消す。
無理なら逃げる。

この判断を軽くするために、
今日、家族と一度確認してみてください。

命を守る行動は、
準備から始まります。


【出典】
総務省消防庁「住宅防火対策について」
https://www.fdma.go.jp/

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