消防団は、入る前より「入った後」に悩む人が多い組織です。
現場で見てきた限り、その原因は個人の甘えではありません。
構造的にギャップが生まれやすい理由があります。
■① 入団前の説明が「理想寄り」になりやすい
入団説明では、
・地域貢献
・やりがい
・仲間意識
といった前向きな話が中心になります。
一方で、
・実際の出動頻度
・拘束時間
・負担の偏り
こうした話は、どうしても薄くなりがちです。
ここが最初のズレになります。
■② 「自分はどこまでやるのか」が曖昧なまま始まる
入団直後、多くの団員がこう思います。
「どこまで出ればいいのか分からない」
「断っていいのか判断できない」
役割・出動基準・期待値が共有されないと、
団員は自分で線引きをできません。
■③ ベテランと新人の“前提”が違う
ベテラン団員は、
・これまでの積み重ね
・暗黙の了解
で動いています。
新人団員は、
・何も知らない
・聞きづらい
この前提差が、
「なぜ分からないのか」
「なぜ気づかないのか」
という摩擦を生みます。
■④ 行事・訓練の意味が見えにくい
現場経験上、よく聞いた言葉があります。
「この訓練、何のためにやっているんですか?」
意味や位置づけを説明されない活動は、
負担にしか見えません。
目的が共有されないまま参加すると、
ギャップは一気に大きくなります。
■⑤ 出動できないと「申し訳なさ」が積み上がる
仕事・家庭・体調。
理由があって出られなくても、
「また出られなかった」
「自分だけ何もしていない」
この感覚が積み重なります。
制度上は問題なくても、心理的な負担は確実に残ります。
■⑥ 団の“当たり前”が外からは見えない
・連絡は突然
・決定は早い
・説明は省略されがち
団の中では当たり前でも、
新しい人には急すぎることが多い。
このスピード差が、
「ついていけない」という感覚を生みます。
■⑦ 現場で見た一番の原因
ギャップの正体は、
情報不足と役割の不明確さです。
やる気や覚悟の問題ではありません。
構造と運用の問題です。
■⑧ ギャップは「防げる」
現場で続いている分団には共通点があります。
・最初に負担の現実を伝える
・役割を明確にする
・出られない前提を共有する
これだけで、ギャップは大きく減ります。
■⑨ 結論
消防団のギャップは、
「個人の覚悟不足」ではなく、
「説明と設計の不足」から生まれます。
現実を知った上で続く団員ほど、
静かに、長く、確実に地域を守っています。
ギャップを埋めることが、
消防団を守る第一歩です。

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