【元消防職員が解説】消防団員のモチベーションを維持する方法|防災×現場実感

消防団活動で最も難しいのは、
「入団させること」ではなく
続けてもらうことです。

現場を見てきた立場から言うと、
モチベーション低下は個人の問題ではなく、
ほぼ例外なく組織設計の問題です。


■① モチベーションが下がる瞬間は決まっている

多くの団員がやる気を失うタイミングは似ています。

  • 出番がない
  • 役割があいまい
  • 評価されていない
  • 負担だけ増える

これは「気持ちの問題」ではなく、
構造的な失速ポイントです。

▶ 実例:奈良県橿原市

訓練や出動に参加する機会が少ない新入団員が離脱。
各部ごとに「任務リスト」を明文化し、広報・後方支援など参加の切り口を増やした結果、1年後の継続率が約80%に改善。


■② 「頑張り続けろ」は逆効果

現場経験上、モチベーションを壊す言葉は、

「消防団なんだから当たり前」

この一言で、

  • 不満が言えなくなる
  • 無理が常態化する
  • 突然の退団につながる

▶ 実例:兵庫県明石市

幹部が「できないことも正直に話せる雰囲気」を作った結果、訓練出席率は下がる一方で退団率は大幅減。「義務感で動く」から「納得して参加する」形に変化。


■③ 出番と役割がある団は続く

モチベーションが保たれている分団には、必ず「役割設計」があります。

  • 現場対応
  • 広報
  • 後方支援
  • 避難所支援

全員が同じことをしなくても、
自分の出番が見えているだけで意識は大きく変わります。

▶ 実例:長野県佐久市

災害対応班、広報班、訓練班に分け、団員が得意分野で所属可能。自主的参加率は平均30%から65%へ向上。


■④ 機能別消防団員はモチベ維持に強い

機能別消防団員制度は、モチベーション維持と非常に相性が良い制度です。

  • 期待される役割が明確
  • できないことを責められない
  • 無理な比較が起きにくい

▶ 実例:宮崎県都城市

女性や高齢者を中心に後方支援班を設置。出動ストレスが少なく、継続年数が平均より2年長くなった。


■⑤ 被災地で感じた“続く団”の共通点

大規模災害の現場では、活動が長期化。差が出るのは心理的な持続力です。

  • 交代前提
  • 感謝が言葉で伝えられる
  • 撤退判断が尊重される

▶ 実例:熊本地震(宇城市)

休養日ルールを導入し、2日に1回必ず休む体制へ。全員が健康に活動完遂。


■⑥ 幹部の役割は「引き上げる」こと

モチベーションが高い団ほど、幹部は

  • 頑張らせることではなく
  • 守ること

▶ 実例:愛知県豊田市

「団員が断りやすい文化」を作り、家族行事や仕事優先も尊重。結果、「次は自分が行く」という自主参加が増加。


■⑦ 評価は報酬より“見える感謝”

金銭的報酬よりも、

  • 名前を呼ばれる
  • 地域から声をかけられる
  • 活動が紹介される

こうした「見える感謝」がモチベーションを支えます。

▶ 実例:福島県南相馬市

定例活動の様子を広報誌で紹介。顔写真付きで掲載され、出席率も向上。


■⑧ まとめ:モチベーションは管理できる

消防団員のやる気は、

  • 気合
  • 根性

で維持するものではありません。

  • 役割
  • 出番
  • 評価
  • 無理をさせない判断

これらを設計できた団だけが長く続きます。
現場経験から見ても、モチベーションは仕組みで守れるものです。

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