【元消防職員が解説】消防団員確保に成功した自治体の共通点|実例と現場の声から学ぶ5つの条件

消防団員の確保が難しいと言われる一方で、
団員数を維持、あるいは回復させている自治体が実際に存在します。

現場を見てきた立場から断言できるのは、
成功している自治体には「再現性のある共通点」があるということです。
精神論ではなく、運用設計の差です。


■① 入団前に「現実」をすべて説明している

【実例:千葉県野田市】

野田市では入団説明会で
・夜間出動の平均回数
・年間訓練時間
・忙しくなる時期
を数値で提示しています。

「月に夜間出動は平均◯回」「訓練は年間◯時間程度」と
あらかじめ示すことで、
「聞いていなかった」という理由の早期退団が大きく減りました。

現場経験上、
入団後トラブルの多くは活動内容そのものではなく
情報不足が原因です。


■② 全員を同じ働かせ方にしない

【実例:島根県出雲市】

出雲市では団員を
・フル出動型
・限定参加型
・後方支援型
に分けて運用しています。

若手社会人は後方支援中心、
時間に余裕のある層は前線対応と役割を明確化。

「全員同じでなければならない」という発想を捨てたことで、
団員の定着率が大きく改善しました。

現場では
「できないことがある団員」を排除するより、
できる形を用意する方が圧倒的に強いと実感します。


■③ 行事・訓練を減らす「決断」ができている

【実例:千葉県富津市】

富津市では
・目的が曖昧な行事を半減
・訓練を90分以内の実践型に再設計

これにより訓練参加率が大幅に向上しました。

現場感として、
「忙しいから来られない」のではなく
「意味が見えないから来ない」ケースが非常に多い。

回数より納得感。
この視点を持てるかが分かれ目です。


■④ 団幹部が「守る側」に回っている

【実例:福岡市】

福岡市消防団では
幹部が事前に家庭事情や仕事状況を把握し、
無理な出動を止める判断を徹底しています。

「出られないなら出なくていい」
この一言が言える幹部がいる団は、
結果的に離脱が少なくなります。

現場で見てきましたが、
団員は“頑張れ”では残りません。
守られている実感で残ります。


■⑤ 団員が評価されていることが「見える」

【実例:東京都新宿区】

新宿区では
・区報誌で団員を紹介
・子どもからの感謝メッセージを共有

報酬ではなく、
「地域に認められている」という実感を
意図的に可視化しています。

現場経験上、
この積み重ねは想像以上に効きます。


■⑥ 失敗する自治体に共通するパターン

現場で多かった失敗例は、

・「昔からこうだから」と変えない
・辞める人を責める
・根性論で押す

若手や女性が辞めると
「覚悟が足りない」と言った瞬間、
組織は確実に弱体化します。


■⑦ 若者・女性を“特別扱いしない”

【実例:和歌山県那智勝浦町】

那智勝浦町では
年齢や性別で役割を決めず、
適性と希望で配置。

結果として
女性団員が前線・指揮補助で活躍し、
団員数が増加しました。

「配慮」は必要ですが、
「区別」は不要です。


■⑧ 「入ってよかった」と言える空気がある

【実例:静岡県掛川市】

掛川市では
意見箱の設置と
ミスを責めない運用を徹底。

アンケートで
「入団してよかった」と答える割合が非常に高く、
口コミ入団が増えています。

最終的に団員が残るかどうかは、
制度ではなく空気で決まります。


■⑨ 消防団は制度より「運用」で差が出る

消防団制度は全国ほぼ同じです。

差が出るのは
・人への向き合い方
・無理をさせない判断
・役割設計

同じ法律の下でも、
続く団と崩れる団が生まれる理由はここです。


■⑩ まとめ:団員確保は「集め方」ではなく「続け方」

団員確保に成功している自治体は、
募集テクニックより
続けられる設計をしています。

・無理をさせない
・役割を明確にする
・感謝が伝わる

これは理想論ではなく、
現場で実証されている事実です。

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