消防学校の体力面で大事なのは、「最強になること」ではありません。
最低ラインを超えて、怪我をせずに継続できる身体を作ることです。
緊急消防援助隊でも救助隊でも、最後に強いのは“派手な才能”より、平時の準備を淡々と積める人です。入校前の今が、その差を作るタイミングです。
■① まず決める「最低ライン目標」|3つだけでOK
入校前の最低ラインは、次の3つを目安にしてください(年齢・体格で差はあります)。
- 腕立て伏せ:連続30回(できれば40回)
- 懸垂:連続3回(できれば8回)
- 1500m走:7分00秒以内(できれば6分30秒以内)
緊急消防援助隊の現場では、装備を着て“長く動ける人”が頼られます。
救助隊の現場では、引く・持ち上げる・身体を引き上げる力が効きます。
出世という意味でも、自己管理ができて怪我をしない人は信頼されやすいです。まずはこの3つを「数字で」握ってください。
■② 体力準備①:腕立ては「胸」より「仕事の姿勢」を作る
腕立ては回数よりも、フォームと再現性が重要です。
- 手は肩幅より少し広め、体は一直線
- 肘を開きすぎず、肩をすくめない
- 反動ではなく、毎回同じ深さで下ろす
消防の動作は、前腕・肩・体幹を固定して“押す・支える”が多いです。
腕立てが強い人は、ホース・資機材・防火衣での作業が安定します。
さらに、教官の目線でも「基本を崩さず反復できる人」は伸びます。腕立ては、その素直さが出る種目です。
■③ 体力準備②:懸垂は救助隊の基礎|「引く力」が現場を変える
懸垂は、救助隊の動きに直結します。引く力は、災害現場で“最後に残る武器”です。
- まずはネガティブ(ゆっくり降りる)からでOK
- 週2〜3回、少ない回数でも継続する
- 肩甲骨を寄せてから引く(首で引かない)
被災地派遣(LO)でも、瓦礫撤去や資機材運搬は「引く・持つ・支える」の連続です。
一瞬のパワーより、怪我なく回し続けられる上背部と握力が、現場では信用になります。
■④ 体力準備③:1500m走は「根性」より配分|最初に飛ばす人が落ちる
1500mは、根性勝負に見えて、実は配分と呼吸です。
- 最初の300mは抑える(飛ばさない)
- 400mごとに同じラップを刻む意識
- 苦しくなってから「腕振りを大きく」してフォーム維持
緊急消防援助隊の活動は、短距離ダッシュだけで終わりません。
移動・待機・再展開を繰り返しながら、最後にまた動く。
1500mが伸びる人は、疲労下でも判断が乱れにくい傾向があります。これは昇任や現場評価でも地味に効きます。
■⑤ 体力準備④:脚と体幹は「怪我予防の保険」|最優先は腰・膝・足首
消防学校で一番もったいないのは、怪我で離脱することです。
腰・膝・足首は、入校前に守り方を覚えておくと強いです。
- スクワットは軽めでフォーム重視(膝を内側に入れない)
- ランは週2〜3回、いきなり距離を増やさない
- 足首の可動域(アキレス腱周り)を毎日5分
元消防職員の感覚では、体力がある人でも「準備不足の関節」は簡単に壊れます。
出世する人は、派手な結果より“壊れない運用”が上手いです。ここは差がつきます。
■⑥ 体力準備⑤:柔軟・呼吸・回復が「伸びしろ」を作る
体力は鍛えるだけでは伸びません。回復が下手だと伸びが止まります。
- 入浴後に股関節・ふくらはぎ・背中を伸ばす
- 呼吸は「吐く」を長く(走りが安定する)
- 週1回は軽めの日を作る(疲労を抜く)
被災地派遣で感じたのは、強い人ほど「回復の設計」が上手いことです。
倒れない、寝不足でも崩れない、焦っても怪我しない。これが“現場で使える体力”です。
■⑦ 1週間の現実的メニュー例|「少なくても続く」が勝ち
入校前は、完璧なメニューより、続くメニューが強いです。
- 月:腕立て+体幹(15分)
- 火:1500m対策(ゆっくり20分ジョグ)
- 水:懸垂(ネガティブ含む)+ストレッチ
- 木:休み or 散歩(回復優先)
- 金:1500m(400m×3〜4本のインターバル)
- 土:スクワット軽め+体幹
- 日:完全休養(睡眠の貯金)
救助隊を目指すなら懸垂の比重を上げ、
緊急消防援助隊を意識するなら「走れる+壊れない」比重を上げてください。
■⑧ 入校前チェック|測って、記録して、上げる
不安を消す一番の方法は、数字で確認することです。
- 週1回だけ、腕立て・懸垂・1500mを測る
- 記録はメモでOK(体調も一言添える)
- 伸びない週があっても、焦らず継続する
教官達は上手です。しかし、センスがあるだけではありません。来る日も来る日も量をこなしてきたからです。
入校前の今にそれをやれた人は、入校後も伸びます。
■まとめ|最低ラインを超えて「怪我ゼロで入校」できれば勝ち
入校前の体力準備は、最強を目指すより「最低ラインを超えて、壊れずに継続できる身体」を作ることが最優先です。
腕立て・懸垂・1500m走の3つを数字で握り、脚と体幹で怪我を防ぎ、回復まで含めて整えれば、入校後の不安は確実に減ります。
結論:
入校前に勝負が決まるのは、才能ではなく「準備を継続できる自己管理」です。
元消防職員として現場を見てきた実感でも、緊急消防援助隊でも救助でも、最後に頼られるのは“壊れずに出続ける人”です。まずは最低ラインを超えて、怪我ゼロで入校できる身体を作ってください。
出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「身体活動・運動」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise

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