「火事=炎が怖い」と思われがちですが、実際の火災現場で最も多く命を奪っているのは煙です。統計では、火災による死因の約4割が煙による窒息とされています。現場を知る立場から、なぜ煙が危険なのか、そして生き残るために何をすべきかを整理します。
■① なぜ煙はここまで危険なのか
煙は、炎よりもはるかに速く広がります。数分で部屋全体を覆い、天井付近から床方向へと降りてきます。視界を奪い、方向感覚を失わせ、逃げ道そのものを見えなくするのが煙の恐ろしさです。
■② 煙は「見えない殺し屋」
煙には有毒ガスが含まれており、吸い込むと短時間で意識障害を起こします。黒煙が充満した室内では、数メートル先すら見えません。消防隊が空気呼吸器を着けても、熱と刺激で強い苦痛を感じるほどです。
■③ 火災で生き残るための6つの基本対策
火災から命を守るには、次の6つが重要です。
■④ 出火を防ぐという最初の防災
タバコの不始末、コンロ周りの整理、電気配線の劣化確認など、日常の小さな注意が出火防止につながります。火災対策は、火を出さないことが最優先です。
■⑤ 最重要は「早期発見」
家庭火災対策で最も効果が高いのは、住宅用火災警報器です。
放火など、完全に防げない火災もあるからこそ、「いち早く気づく」ことが生存率を大きく左右します。未設置の家庭は今すぐ設置、設置済みでも定期点検と交換が必要です。
■⑥ 延焼拡大と初期消火を抑える
燃えやすい物を置かない、防火扉を閉める、消火器を使えるようにしておく。火災の初期段階で対応できれば、煙の発生自体を抑えられる可能性があります。
■⑦ 早期避難と助け合い
火災時は「消す」より「逃げる」判断が重要になる場面もあります。避難経路を事前に確認し、家族や近隣と助け合える関係を作っておくことが、生存率を高めます。
■⑧ 煙に遭遇してしまったときの行動
もし煙に包まれたら、次の行動を徹底してください。
・姿勢を低く保つ(煙は上に溜まる)
・ハンカチやタオルで口と鼻を覆う(濡れていればなお良い)
・壁や手すりを頼りに移動する
・煙が入るドアは閉める
・やむを得ない場合は窓からの脱出も検討する
■⑨ やらなくていい火災防災の思い込み
「自分の家は大丈夫」「火事は他人事」という考えは危険です。火災は予告なく起こり、逃げる時間はほんの数分しかありません。
■⑩ 今日できる最小の一歩
今すぐ、自宅に住宅用火災警報器があるか確認してください。
そして、夜中に警報が鳴ったらどう逃げるかを一度イメージしてみてください。それだけでも、火災から生き残る確率は確実に上がります。

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