【元消防職員が解説】火災予防分野の「対面講習規制の見直し」とは?|災害時に“資格が止まる”を防ぐ考え方

防火管理者や防災管理者、設備関係の講習など、火災予防分野は「講習で回っている」世界です。
ところが災害や感染症流行、会場確保の困難が重なると、対面だけに依存した仕組みは一気に止まります。

対面講習規制の見直しは、単なる利便性ではなく、非常時でも“必要な人が必要な資格・知識を維持できる”体制づくりとして重要です。


■① そもそも何が問題だったのか|対面前提は非常時に脆い

対面講習の最大の弱点は「集まれないと成立しない」ことです。

・会場が使えない(被災、停電、避難所転用)
・交通が止まり来られない
・人が集まるリスクが高い
・講習開催側の人員が確保できない

災害時ほど安全管理や予防が必要なのに、そのための講習が止まる。
この矛盾が、制度側の課題として浮き彫りになりました。


■② 規制見直しで何が変わり得る?|「受け方の選択肢」が増える

見直しの本質は、対面一択からの脱却です。

・オンライン講習の導入
・eラーニングの活用
・一部科目のオンライン化
・手続きのオンライン受付

すべてがオンラインになるわけではなくても、選択肢が増えるだけで止まりにくくなります。
防災は「一本足をやめる」だけで強くなります。


■③ 現場目線で重要なポイント|“形式”より“実効性”が落ちないこと

元消防職員として一番気になるのはここです。

・理解度の担保(聞いて終わりにしない)
・演習や確認の設計(やったつもりを防ぐ)
・本人確認(なりすまし防止)
・受講記録の管理(後で証明できる)

形式を変える目的は、楽にすることではありません。
火災予防の質を落とさずに、止まりにくくすることです。


■④ 被災地で見えた“講習が止まる”の影響|復旧の速度が落ちる

被災地派遣やLO調整の現場では、復旧の局面で「資格・知識の不足」が地味に効いてきます。

・仮設施設の安全管理
・ボランティアや支援拠点の火災予防
・避難所の暖房・発電機・調理の安全確保
・応急危険度判断や点検の段取り

講習が止まると、予防の人材供給が細ります。
その結果、二次災害のリスクが上がる。これは現場で実感しました。


■⑤ 受講者側のメリット|仕事と家庭の現実に合わせやすい

対面講習は、移動や日程調整の負担が大きいです。

・休日が潰れる
・移動時間が読めない
・遠方開催だと費用が増える

オンラインや受付のデジタル化が進むと、受講のハードルが下がり、結果として火災予防の裾野が広がります。
予防は“続く仕組み”が正義です。


■⑥ 開催側のメリット|会場依存が減り、災害時に復旧しやすい

講習運営の側も、対面依存だと被災時に再開が難しくなります。

・会場確保が不要または縮小
・講師の移動負担が減る
・受講者の分散が可能
・記録管理が統一しやすい

災害対応は「再開が早い体制」ほど強いです。
講習も同じで、復旧可能性が上がること自体が防災力になります。


■⑦ 注意点|オンライン化しても“現場の安全”が自動で上がるわけではない

オンラインは魔法ではありません。

・受講しただけで現場が変わらない
・実務の手順が現場で共有されない
・点検や訓練が形だけになる

制度が変わっても、現場が「運用」に落とし込めないと意味がありません。
講習で得た内容を、点検・訓練・掲示・チェックリストに変換するところまでが火災予防です。


■⑧ 今日できる最小行動|自分の自治体・団体の講習ルートを確認しておく

今日できる一番小さな行動はこれです。

・自分が受けるべき講習は何か整理する
・申込窓口がどこか確認する
・オンライン受付やオンライン講習の有無を確認する
・案内ページをブックマークする

非常時に「どこから申し込むか」で迷うと、手続きが止まります。
入口を固定するだけで、災害時の判断が軽くなります。


■まとめ|対面講習の見直しは“非常時でも火災予防を止めない”ための防災施策

火災予防分野の対面講習規制の見直しは、利便性向上だけでなく、災害や社会混乱が起きても講習・資格・予防体制を維持するための仕組みづくりです。
オンライン化やデジタル受付を取り入れつつ、理解度・本人確認・実務への落とし込みを担保することが重要です。

結論:
対面一択をやめて選択肢を増やすことは、火災予防の“止まりにくさ”を上げ、二次災害を減らす力になる。
被災地派遣で感じたのは、復旧の局面ほど予防が効くということです。講習が止まれば予防の人が育たず、現場は後手になります。だからこそ、非常時でも回る講習の仕組みは、命を守る基盤になります。

出典:総務省消防庁 https://www.fdma.go.jp/

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