【元消防職員が解説】灯油にガソリン混入の危険|家庭でできる確認ポイント

冬の暮らしを支える灯油。
しかし、もしそこにガソリンが混入していたら――その危険性は一気に高まります。

岐阜県大垣市で、ガソリン混入の可能性がある灯油を使用したファンヒーターが火元とみられる火災が発生しました。購入者は約1600人と報じられています。

灯油は身近な燃料ですが、「いつも通り」が前提で使われています。
だからこそ、異常に気づく感覚が命を守ります。


■① 灯油とガソリンは何が違うのか

どちらも石油製品ですが、性質は大きく異なります。

・ガソリン:揮発性が高い
・灯油:比較的揮発しにくい

ガソリンは常温でも蒸気が広がりやすく、わずかな火花でも引火する可能性があります。
一方、灯油はゆっくり安定して燃える前提で、家庭用暖房機器は設計されています。

わずかなガソリン混入でも、燃焼が急激になり制御不能になる恐れがあります。


■② なぜ混入が危険なのか

家庭用ファンヒーターやストーブは、灯油の燃焼特性に合わせて作られています。

そこに揮発性の高いガソリンが混ざると、

・異常燃焼
・爆発的燃焼
・引火
・機器内部の損傷

が起こる可能性があります。

元消防職員として言えるのは、
「異常燃焼は予兆が少ない」ということです。
気づいたときには炎が大きくなっていることがあります。


■③ 家庭でできる確認ポイント

難しい知識は必要ありません。

・給油直後に異臭がないか
・色が通常の灯油と違わないか
・いつもより揮発臭が強くないか
・点火時に異常な炎や音がないか

違和感があれば、絶対に使用しないこと。

被災地派遣(LO)では、「ちょっと変だと思ったけど使った」というケースが二次災害につながることを何度も見ました。


■④ 保管方法の見直し

混入リスクは販売段階だけではありません。

・専用ポリタンクを使用する
・容器を清潔に保つ
・ガソリン用容器と絶対に混用しない
・直射日光を避ける

燃料は「目に見えない危険」を含みます。
容器の使い分けは基本中の基本です。


■⑤ 異常を感じたらどうするか

少しでも異常を感じた場合は、

・機器の使用を中止
・換気を確保
・販売店または消防へ相談

ガソリン混入が疑われる場合は、絶対に再点火しないでください。

火は「確認のため」に点けるものではありません。


■⑥ 冬場にリスクが高まる理由

冬は灯油需要が急増します。

・配送の増加
・給油作業の増加
・保管量の増加

人的ミスや設備トラブルのリスクも比例して高まります。
これは防災の観点で言う「繁忙期リスク」です。


■⑦ 見落とされがちな燃料リスク

灯油は“生活インフラ”の一部です。

日常化しているからこそ、

・確認を省略する
・匂いに慣れる
・容器を使い回す

こうした油断が起きます。

防災士として感じるのは、
最大の敵は「慣れ」です。


■⑧ 今日できる最小行動

・給油時に必ず匂いと色を確認する
・ポリタンクに用途を明記する
・異常時は使用しないと家族で共有する

自律型防災とは、「違和感を見逃さないこと」。


■まとめ|燃料は“いつも通り”を疑う

灯油とガソリンは似て非なるもの。
わずかな混入でも火災リスクは急上昇します。

結論:
燃料は「いつも通り」を疑うこと。違和感を見逃さない行動が火災を防ぎます。

被災地では、火災が起きると消火資源も限られ、被害は一気に拡大します。
家庭での確認が、地域全体の安全につながります。

【出典】
毎日新聞「ガソリン混入の灯油で火災か 岐阜・大垣」2026年2月16日報道

コメント

タイトルとURLをコピーしました