災害対応は、救助や消火だけで終わりません。避難所が開設されると、体調悪化、持病、感染症、要配慮者支援、介護・福祉の課題が一気に表に出ます。現場では「情報がまとまらない」ことで支援が遅れ、同じ確認を何度も繰り返して疲弊が増えます。D24Hは、保健・医療・福祉の情報を集め、共有し、判断につなげるための支援システムです。
■①(D24Hとは何か)
D24Hは、災害時の保健・医療・福祉分野の情報収集・共有・可視化を支える仕組みです。避難所や施設の状況、要配慮者支援、健康課題などを一元的に扱い、支援の優先順位を決めやすくします。災害対応では「何が起きているか」が見えないほど、支援は遅れます。
■②(避難所で起きやすい“健康の二次災害”)
避難所では、命に直結する二次災害が起きやすくなります。
・脱水、低栄養、睡眠不足による体調悪化
・持病の薬切れや受診中断
・感染症の拡大
・介護が必要な人の負担増
私自身、災害現場に関わる中で感じるのは、発災直後を過ぎたあたりから「見えないリスク」が増えるということです。目に見える倒壊より、生活の継続が崩れる方が人を弱らせます。
■③(情報がまとまらないと支援が遅れる)
支援が遅れる典型は、情報がバラバラで集約できない状況です。
・避難所ごとに様式が違い、集計に時間がかかる
・同じ内容を別の担当へ何度も説明する
・どこが優先か判断できず、支援が分散する
D24Hの狙いは、こうした情報の分断を減らし、必要な支援を必要な場所へ早く届けることです。
■④(D24Hが役立つ場面:支援の優先順位を決める)
災害時の支援は、すべてに同時対応できません。だからこそ、優先順位が命を守ります。
・医療が必要な人が多い避難所
・要配慮者支援が逼迫している施設
・感染症疑いが出ている場所
こうした情報が早く共有できるほど、支援の質が上がります。現場は「不足しているもの」より「不足している場所」が見えると動きやすくなります。
■⑤(家庭にも関係するポイント:避難所で困らない準備)
D24Hのような仕組みがあっても、避難所がすぐ快適になるわけではありません。家庭側ができる現実的な備えは次の通りです。
・常用薬の情報(薬名・量・病名)を紙で持つ
・体調を守る最低限(飲水、簡易トイレ、保温、衛生)
・家族の健康情報を共有し、無理をしない判断を決める
避難所では、情報が出揃うまで時間がかかります。最初の数日を自力で守れる準備が、結果として支援の手を必要な人へ回します。
■⑥(現場目線で大事なこと:入力より“判断”につなげる)
情報システムは、入力して終わりでは意味がありません。重要なのは、集まった情報が「誰の判断」に使われるかです。
・何が最優先か
・どこに支援を集中させるか
・どのチームが動くか
災害対応は、判断が遅れるほど現場が疲弊します。だから、情報は“完璧”より“早く、使える形”が価値になります。
■⑦(被災地で強く感じること:支援は長期戦になる)
災害対応は、発災直後よりも、数日後からの生活局面で課題が増えます。避難所が長引くほど、健康・福祉の問題が積み上がります。私が被災地派遣・LOとして現場に入ったときも、支援の勝負は「継続できる仕組みがあるか」でした。短期の頑張りより、回る仕組みが人を守ります。
■⑧(今日できる最小行動:健康情報の“紙1枚”を作る)
今日やることを1つに絞るなら、家族の健康情報を紙1枚にまとめてください。
・持病、服薬、アレルギー
・緊急連絡先
・かかりつけ先
停電や通信障害があると、スマホの情報は使えない場面があります。紙があるだけで、避難先の手続きと支援のスピードが上がります。
■まとめ|D24Hは避難所の混乱を減らし、支援を必要な所へ届ける
D24Hは、災害時の保健・医療・福祉の情報を集約し、共有し、支援の優先順位を決めやすくする仕組みです。避難所では健康の二次災害が起きやすく、情報がまとまらないほど支援が遅れます。家庭側も、常用薬情報や健康情報を紙で持つなど、最初の数日を守る準備が重要です。
結論:
避難所の混乱を減らす鍵は、健康・福祉の情報を早く集めて“判断”につなげることです。
元消防職員として災害対応に関わってきた立場から言うと、支援が遅れる最大の原因は「現場の努力不足」ではなく「情報が分断されること」です。情報が整えば、支援は確実に届きやすくなります。
出典:https://www.mhlw.go.jp/content/001463038.pdf

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