【元消防職員が解説】設営前30分が命を守る|準備8割の防災思考

キャンプ場に着いて、すぐにテントを広げていませんか?

プロはまず設営しません。
最初の30分は「観察の時間」です。

どこにペグを打つか。
どの向きに入口を作るか。
風はどこから抜けるか。

この判断一つで、一晩の快適さだけでなく安全性まで変わります。

これはキャンプの話に見えて、本質は防災です。


■① 設営前の30分は「自然との交渉」

私はこの時間を「自然との交渉」と呼びます。

風向き
地形の傾斜
水の流れ
人の動線

自然は言葉を発しませんが、条件を提示しています。
それを読み取り、人間側が適応する。

これは災害時と同じ構造です。


■② まず読むべきは「風」と「水」

設営で最優先するのは次の2つです。

・風の道
木々の傾きや地形の抜け方から、突風の通り道を予測する。

・水の行方
わずかな傾斜や窪地を見極め、雨水が溜まる場所を避ける。

能登半島地震の派遣時も、仮設環境での動線や風の流れを読むことが重要でした。
雨が降った時に水が溜まる場所を避けるだけで、夜間の転倒事故は減ります。

自然を読む力は、そのまま安全管理能力です。


■③ 人間の都合を優先すると失敗する

初心者は「景色が良い」「炊事場に近い」で場所を決めがちです。

しかし、防災の現場では“便利さ優先”が事故の原因になります。

・川の近くは景色が良いが増水リスクがある
・開けた場所は解放感があるが突風に弱い

自然条件を無視した判断は、どこかで無理が出ます。

設営とは「人間の都合を自然条件にアジャストする作業」です。


■④ 成功は準備8割、実行2割

テントのメンテナンスは済んでいるか。
ペグの種類は地盤に合っているか。
設営手順を頭で再現できるか。

私は元消防職員として強く言います。

準備不足は現場で取り戻せません。

被災地で感じたのは、落ち着いて動ける人は例外なく“準備が徹底している”ということでした。


■⑤ 想定外を乗り切る「手札」を持つ

自然は必ず想定外を出してきます。

・地面が想像以上に硬い
・石が埋まっている
・風向きが急に変わる

そんな時に重要なのが「手札」です。

・鍛造ペグに切り替える
・ガイロープを長めに張り直す
・陣幕で風を遮る

柔軟に手を変えられるかどうかが、安全を分けます。

これは災害対応でも同じです。
一つの方法に固執すると破綻します。


■⑥ 設営前の観察力は防災力になる

設営前に見るポイントは、防災そのものです。

・地盤は安定しているか
・倒木リスクはないか
・夜間の動線は安全か

LO業務で各地を回った経験上、危険は「設営前」にほぼ決まっています。
後から修正するのは手間もリスクも増えます。

最初の30分が命を守ります。


■⑦ 「読む力」は一朝一夕では育たない

地面の傾き
木の根の位置
風の抜け方

これらは教科書ではなく、失敗の積み重ねで覚えるものです。

だからこそ、キャンプは優れた防災訓練になります。
自然の条件を読む練習を、安全な環境で繰り返せるからです。


■⑧ 防災は“自然に勝つ”ことではない

設営の本質は、自然を制圧することではありません。

自然の条件を理解し、
人間側が柔軟に調整する。

これが防災の基本姿勢です。

被災地で何度も感じました。
強いのは「自然に逆らわない人」です。


■まとめ|最初の30分が一晩を決める

キャンプの成功は偶然ではありません。
準備と観察で決まります。

結論:
設営前30分の観察と準備が、家族の安全を守る最大の防災行動になる。

元消防職員として断言します。
危険は突然現れるのではなく、最初の判断でほぼ決まっています。

まず立ち止まり、読む。
その習慣こそが、家族の耐災害力を高めます。

出典:Yahoo!ニュース「キャンプの成功は『準備8割、実行2割』!プロが設営前の30分間で必ずチェックする3つの備え」(2026年2月6日)

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