車両火災は「車が燃えるだけ」と思われがちですが、実際は非常に危険です。燃料、オイル、樹脂、タイヤ、そして近年はハイブリッド・EVの高電圧系統が絡み、火勢が強く、再燃や爆発的燃焼のリスクもあります。さらに道路上で発生するため、二次災害(追突、巻き込み)を防ぐことが消火以上に重要になります。
■① 車両火災の特徴(建物火災と違う危険)
車両火災は、燃えるものが密集し、狭い空間で熱がこもりやすいのが特徴です。
・燃料・油脂類がある
・樹脂やゴムが多い
・煙が濃く有毒になりやすい
・熱が一気に上がりやすい
車種や状況によっては、フラッシュ的な燃え方をすることもあります。
■② 最優先は“交通の安全確保”(二次災害を止める)
道路上の火災では、消火より先にやるべきことがあります。
・後続車の停止、誘導
・路肩への退避確保
・発煙筒や三角表示板、ハザードで注意喚起
・夜間は特に視認性を確保
車両火災で怖いのは、燃えている車そのものより、追突や巻き込みで人が増えることです。
■③ 一般の人がやってよい初期対応(やらない方がいいこともある)
一般の人ができるのは、あくまで安全優先の初期対応です。
・すぐに119番通報
・乗員を安全な場所へ退避(風上・ガードレール外側など)
・車内に戻らない(荷物を取りに行かない)
一方で、やらない方がいいのは、
・ボンネットを全開にする
・無理な消火器操作で車に近づき続ける
です。酸素を入れると火勢が増すことがあります。
■④ 元消防職員として現場で重要だった“距離”の感覚
車両火災では、距離が命を守ります。
・タイヤやショック部品の破裂
・ガスダンパーの破断
・燃料系の損傷
・搭載物(スプレー缶、可燃物)の影響
これらがあるため、「近づけば近づくほど危ない」場面が多いです。消火器があっても、近づきすぎないことが大前提です。
■⑤ EV・ハイブリッド車で注意すべき点(高電圧・再燃)
近年はEVやハイブリッド車が増えています。高電圧系統が関係する場合、感電リスクや再燃リスクが課題になります。
一般の人は、
・無理に触らない
・水たまりや金属部の扱いに注意
・退避を優先
消防側も車種に応じた手順を選びます。車両火災は「同じ車でも同じ消し方ではない」時代になっています。
■⑥ 被災地派遣(LO)で見た「道路が止まると救命が遅れる」現実
被災地派遣(LO)の現場では、道路の寸断や交通障害が救急搬送の遅れに直結しました。平時でも車両火災で道路が塞がると、救急車や消防車が動けなくなります。車両火災は“現場だけの問題”ではなく、地域の救命動線を止める問題です。だからこそ、早い通報と交通の安全確保が重要になります。
■⑦ よくある誤解(消火器があれば安心ではない)
誤解①「消火器があれば全部消せる」
→初期の小規模なら有効ですが、火勢が強いと難しいです。
誤解②「ボンネットを開ければ消える」
→酸素が入って火勢が増すことがあります。
誤解③「近づいて確認した方がいい」
→破裂や有毒煙の危険があります。距離を取る方が安全です。
■⑧ 今日できる備え(車の防災として)
・消火器の携行を検討する(使い方を確認)
・三角表示板、懐中電灯、反射ベストを積む
・車両火災時の退避場所(ガードレール外側)を知る
・燃料臭や異音など異常の段階で点検する
車の備えは、災害時にも平時の事故にも効きます。
■まとめ|車両火災は“交通の安全確保”が消火以上に重要。距離と退避が命を守る
車両火災は燃料や樹脂、場合によっては高電圧系統が関わり、火勢が強く危険です。道路上で起きるため、二次災害防止として交通の安全確保が最優先になります。一般の人は、通報・退避・誘導を優先し、荷物を取りに戻らず、近づきすぎないことが重要です。車の備えとして、反射装備や表示板などを準備しておくと実戦で役立ちます。
結論:
車両火災は「消す」より「増やさない」。距離を取り、退避と交通安全を最優先にする。
元消防職員として、車両火災で怖いのは火そのもの以上に二次災害だと何度も感じました。早い通報と安全確保が、命と地域の救命動線を守ります。
出典:https://www.fdma.go.jp/

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