災害現場では「やったかどうか」よりも、「振り返れたかどうか」が次の命を左右します。
その振り返りを体系化したのが、シミュレーション教育における“デブリーフィング”です。
医療・救急・防災分野で注目されるSimBegin™プログラムをきっかけに、いま改めて学ぶ価値があります。
■① なぜ防災にシミュレーション教育が必要か|“経験不足”を補う唯一の方法
大規模災害は頻繁に起こるものではありません。
だからこそ「本番で初めて経験する」状態が最も危険です。
シミュレーション教育は、安全な環境で失敗し、そこから学ぶための仕組み。
災害対応においては、判断・連携・役割理解を体験的に磨くことができます。
■② デブリーフィングとは何か|振り返りが学習効果を決める
デブリーフィングとは、演習後に行う“構造化された振り返り”です。
単なる反省会ではありません。
・何が起きたか
・なぜその判断をしたか
・他に選択肢はあったか
・次回どうするか
この対話が、行動を「知識」に変えます。
■③ SimBegin™の特徴|理論と実践をつなぐブレンド型教育
SimBegin™は、ノルウェーのSAFERシミュレーションセンターとレールダルメディカルが共同開発したプログラムです。
Level1では
モジュール1:シミュレーション方法論(eラーニング)
モジュール2:COREデブリーフィング(オンライン)
モジュール3:対面実践セッション
理論から実践まで一貫して学ぶ構成になっています。
■④ 防災現場とデブリーフィングの共通点|正解より「学び続ける力」
私が被災地派遣(LO)として活動した際、痛感したのは
「完璧な初動」は存在しないということです。
情報不足、資機材不足、想定外の事態。
大切なのは、活動後に冷静に振り返り、次に活かせるかどうかでした。
実際、多くの組織で見られた失敗は
“振り返りを曖昧にしてしまうこと”。
責任追及ではなく、学習として振り返る文化がある組織ほど、回復力が高いと感じました。
■⑤ 医療・教育分野だけでない|自治体・防災組織にも応用可能
シミュレーション教育は医療だけのものではありません。
・避難所運営訓練
・災害対策本部の机上演習
・ドローン活用演習
・地域防災リーダー育成
どれも、デブリーフィングがあるかどうかで成果が変わります。
■⑥ ファシリテータ不足が課題|教える人を育てる意義
多くの組織で共通する課題は「教えられる人が少ない」ことです。
シミュレーション教育を継続するには、
現場で振り返りを導ける人材の育成が不可欠です。
SimBegin™は、その“担い手”を育てることを目的としています。
■⑦ 学びを組織文化にする|単発研修で終わらせない
一度の講習で終わらせるのではなく、
組織内で繰り返し実践できる仕組みを作ること。
これは防災でも同じです。
「やった」で終わらず、「次につなげる」文化が組織の耐災害力を高めます。
■⑧ 防災における“振り返る力”の重要性|自律型組織へ
災害対応はマニュアル通りに進みません。
だからこそ、自律的に学び、修正できる組織が強い。
デブリーフィングは、その基礎体力を養う技術です。
防災と教育は、実は深くつながっています。
■まとめ|防災×シミュレーション教育は「次の命」を守る投資
✔ 経験不足を補う手段がシミュレーション
✔ 成果を決めるのはデブリーフィング
✔ 組織の回復力は振り返り文化で決まる
✔ ファシリテータ育成は防災力強化につながる
結論:
災害対応力は、経験の量ではなく“振り返る質”で決まります。
元消防職員として現場に立ってきた実感として、
一番差が出るのは「学び続けられる組織かどうか」です。
防災も医療も教育も、最後にものを言うのは“振り返る力”です。
出典:Laerdal Medical「SimBegin™ Program Information」

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