【元消防職員が解説】防災×マンホールトイレ|設置手順と運用の実際

断水時でも使用できる災害用トイレとして、全国の自治体で整備が進んでいるのが「マンホールトイレ」です。

下水道マンホールを活用し、排泄物を直接下水道管へ流す仕組みで、設置から使用開始まで約20〜30分。基本は2人作業が推奨されています。

元消防職員として災害現場を経験してきた立場から、実際の設置・運用のポイントを整理します。


■① マンホールトイレとは何か

マンホールトイレは、

・下水道管に直結
・断水時でも使用可能
・臭気が比較的少ない
・長期運用が可能

という特徴があります。

仮設トイレと異なり、排泄物を貯め続けるのではなく、下水へ流せる点が大きな強みです。


■② 必要な道具

設置には以下が必要です。

・専用レンチ(蓋開閉用)
・受けプレートA・B
・便座台
・テントまたは囲い
・トイレットペーパー
・給水ホース(注水用)
・排水器具またはバキュームカー(状況により)

これらは管理者が保管しています。


■③ 設置手順

  1. 専用レンチでマンホール中央蓋を外す
  2. 受けプレートAを設置し、Bを重ねて固定
  3. 便座台を組み立て設置
  4. テントを張り、プライバシー確保

慣れていれば約20〜30分で完了します。


■④ 使用前の注水

使用前にはマンホール内へ注水します。

・給水ポンプで4〜5分程度
・1日1回、排水前に実施

これによりスムーズな排水が可能になります。


■⑤ 使用時の注意

・通常トイレ同様に使用
・トイレットペーパーは適量
・ウェットティッシュや生理用品は流さない

現場で多かったトラブルは「流してはいけないものを流す」ことによる詰まりです。


■⑥ 排水方法

1日1回、仕切弁を開放して下水道へ流します。

下水道が損傷している場合は、バキュームカーで吸引対応となります。


■⑦ 衛生管理の重要性

避難所では、

・取っ手や鍵の定期消毒
・男女別動線の確保
・手洗い動線の確保

が不可欠です。

トイレが不衛生になると、避難所全体の環境が一気に悪化します。


■⑧ 訓練がすべてを決める

元消防職員として強く感じるのは、

「訓練していない設備は使えない」

という事実です。

実際の災害では、
・蓋が開けられない
・部品の保管場所が分からない
・誰も手順を知らない

というケースが起きます。

設置訓練を事前に行うことが不可欠です。


■まとめ|マンホールトイレは“使えてこそ意味がある”

マンホールトイレは非常に有効な災害トイレです。

しかし、

設置できること
運用できること
衛生を保てること

が揃って初めて機能します。

結論:
整備するだけでなく、訓練して初めて“防災力”になる。

出典:内閣府「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」

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