【元消防職員が解説】防災×リチウムイオン電池火災|右肩上がりに増える出火リスクと家庭でできる対策

モバイルバッテリー、スマートフォン、電動工具、コードレス掃除機。
私たちの生活は、リチウムイオン電池なしでは成り立たない時代になりました。

しかし今、その便利さの裏で「リチウムイオン電池火災」が急増しています。

消防庁の調査によると、リチウムイオン電池等から出火した火災は年々増加傾向にあります。
この記事では、最新の調査結果をもとに、なぜ増えているのか、どこが危険なのか、そして今日からできる対策を整理します。


■①調査の概要|全国で増え続ける火災件数

令和4年~令和7年(1~6月)に発生した、リチウムイオン電池および搭載製品からの出火火災が対象です。

火災件数の推移は次の通りです。

・令和4年:601件
・令和5年:739件
・令和6年:982件
・令和7年(1~6月):550件

明確な右肩上がりです。
このまま推移すれば、令和7年は過去最多となる可能性もあります。


■②製品別で多いのは何か?

出火件数が多い製品は次の通りです。

・モバイルバッテリー
・電動工具
・コードレス掃除機
・スマートフォン等の携帯電話機

つまり「身近な製品」ばかりです。
特別な機器ではありません。


■③出火原因は製品ごとに違う

重要なのは「原因が同じではない」ことです。

・モバイルバッテリー:外部衝撃・高温環境
・電動工具:非純正バッテリーの使用
・携帯電話機:落下などの衝撃・分解

特に現場で多いのは「落としたけど使い続ける」ケースです。

元消防職員として言えるのは、
“壊れかけ”のリチウム電池が最も危険です。


■④廃棄時の火災が増えている理由

もう一つ深刻なのが、廃棄時の出火です。

・ごみ収集車内で出火
・ごみ処理施設での火災

リチウムイオン電池が一般ごみに混入すると、圧縮時に破損し発火します。
これは近年、全国的に増加しています。

実際、塵芥車の火災は消火が非常に難しく、車両が全焼する事例もあります。


■⑤被災地で感じた「二次災害の怖さ」

被災地派遣(LO)で活動した際も感じましたが、
電源確保が困難な状況下での電池火災は、避難所環境を一気に悪化させます。

停電中にモバイルバッテリーが発火すると、

・避難所のパニック
・充電環境の喪失
・二次避難の発生

という連鎖が起きます。

電池火災は「小さいけど広がる災害」です。


■⑥家庭でできる5つの予防策

今日からできる対策は明確です。

① 落とした・膨らんだ電池は使用しない
② 非純正バッテリーは極力避ける
③ 高温環境(車内など)に放置しない
④ 分解・改造しない
⑤ 廃棄は自治体ルールに従い、絶対に一般ごみに出さない

これだけでリスクは大幅に減ります。


■⑦「安いから」で選ばない

現場で見た誤解のひとつは、

「充電できるなら問題ない」

という判断です。

内部が損傷していても、しばらくは普通に使えます。
しかし内部短絡は突然起きます。

リチウムイオン電池は「壊れてから燃える」のではなく、
「壊れていることに気づかないまま燃える」のです。


■⑧これからの防災は“電池管理”が鍵

災害時、私たちは電池に依存します。

・スマートフォン
・情報収集
・ライト
・通信

だからこそ、普段から「安全な電池管理」が重要です。

防災とは、特別な装備を買うことではなく、
日常製品のリスクを減らすことでもあります。


■まとめ|リチウム電池火災は“増えている現実”

リチウムイオン電池火災は、明確に増加しています。
特別な事故ではなく、誰の家庭でも起こり得ます。

結論:
落とした電池は使わない。非純正は避ける。廃棄は正しく。これが最強の予防策です。

元消防職員として強く伝えたいのは、
「電池火災は突然来る」ということです。

今日、家の中のモバイルバッテリーを一度確認してみてください。
膨らみ・傷・異常発熱があれば、迷わず使用をやめる。

それが、あなたの家族を守る一歩です。

出典:消防庁予防課「リチウムイオン電池等から出火した火災の調査結果(令和8年1月)」

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