【元消防職員が解説】防災×乾燥機|油付きタオルが“火の気なし”で発火する理由と今日できる対策

「火を使っていないのに火災になる」
これは決して大げさではありません。乾燥機で乾かしたタオルを重ねて放置しただけで発火するケースがあります。原因は“油”と“熱”と“空気”。日常の家事に潜む盲点を、仕組みから具体策まで解説します。


■① なぜ“火の気なし”で燃えるのか

アロマオイル、ヘアオイル、サラダ油などに含まれる不飽和脂肪酸は、空気中の酸素と反応して熱を出します(酸化熱)。
乾燥機の高温がこの反応を促進し、タオルを重ねて放置すると内部に熱がこもり、温度が上昇。やがて自然発火に至ることがあります。

ポイントは「油+高温+蓄熱」です。


■② 乾燥機から出した“後”が危ない

実は、乾燥機の運転中だけでなく、取り出した後に重ね置きした状態が危険です。
熱が逃げず、酸化反応が続くことで温度が上がります。特に冬場は乾燥しており、燃えやすい環境が整っています。


■③ 現場で見た“想定外の出火”

私が現場にいた頃、洗濯物が原因の出火事案は少なくありませんでした。
「まさかタオルが燃えるとは思わなかった」という声がほとんどです。

被災地派遣でLOとして入った際も、避難所の裏で洗濯乾燥後の布類が焦げていた事例がありました。幸い大事には至りませんでしたが、“火を使っていない安心感”が油断を生むと痛感しました。


■④ 特に注意が必要なもの

・アロマオイルが付着したタオル
・ヘアオイル使用後のバスタオル
・調理油が付いた布巾
・天ぷら油を吸ったキッチンペーパー

これらは高温乾燥後、重ね置きしないことが重要です。


■⑤ 今日できる具体的対策

・油が付着した衣類は乾燥後すぐに広げる
・完全に冷めるまで重ねない
・可能なら自然乾燥を優先
・洗濯前に油汚れを十分に洗い落とす

「広げて冷ます」だけでもリスクは大きく下がります。


■⑥ よくある誤解

「うちはドラム式だから安全」
「最近の機種だから大丈夫」

機種の問題ではなく、油と酸素の化学反応が原因です。どの家庭でも起こり得ます。


■⑦ 防災視点で見る“家事火災”

住宅火災は、地震や台風だけでなく、日常の積み重ねで起こる災害です。
防災というと非常食や水を思い浮かべますが、「家の中の火災リスクを減らすこと」も立派な減災です。

家庭内火災を防ぐことは、地域全体の延焼リスクを下げることにもつながります。


■⑧ 迷ったらこの判断

油が付いたかもしれない。
少しでもそう思ったら、乾燥後は必ず広げて冷ます。

シンプルですが、これが最も効果的です。


■まとめ|“火を使っていない”は安全ではない

乾燥機後のタオル発火は、珍しい話ではありません。
油+高温+蓄熱がそろえば、火の気がなくても燃えます。

今日からできることは一つ。
油付き衣類は、乾燥後に重ねて放置しない。

防災は特別なことではなく、日常の選択の積み重ねです。
小さな注意が、大きな火災を防ぎます。

出典:独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)

コメント

タイトルとURLをコピーしました