現在、全国的に降水量の少ない状態が続き、特に東日本太平洋側や西日本では記録的少雨となっている地域があります。
林内の乾燥が進み、強風が重なると、林野火災は一気に拡大します。
令和8年1月22日、消防庁・気象庁・林野庁が合同で注意喚起を実施しました。
これは単なる季節注意ではありません。「延焼拡大リスクが現実的に高い」状態を示す公式メッセージです。
元消防職員として林野火災対応に携わった経験から言えるのは、
林野火災は“出さないこと”が最大の対策だということです。
■①なぜ今、林野火災が危険なのか
林野火災の発生条件は主に3つです。
- 乾燥(少雨・低湿度)
- 強風
- 火種(人為的要因が多い)
今回の少雨は広範囲に及んでおり、落ち葉や下草が非常に燃えやすい状態です。
一度着火すると、風で火の粉が飛び、斜面を駆け上がり、想像以上の速度で拡大します。
被災地派遣(LO)で感じたのは、
「小さな火が、地形と風で怪物になる」という現実です。
■②林野火災の多くは“人為的原因”
林野火災の原因の多くは以下です。
- たき火の不始末
- 枯れ草焼き
- タバコのポイ捨て
- 火入れ作業の管理不足
自然発火よりも、人の行動が原因になるケースが圧倒的に多いのが特徴です。
つまり、予防は「制度」ではなく「行動」で決まります。
■③林野火災注意報・警報の意味を理解する
今回の通知でも強調されているのが、
- 林野火災注意報
- 林野火災警報
の的確な発令と周知です。
これは単なるお知らせではなく、
- 火気使用を極力控えるべき状態
- 火の取り扱いに最大警戒が必要な状態
を意味します。
防災士として強く伝えたいのは、
警報が出たら「火を使わない」という選択が基本ということです。
■④現場で見た“誤解されがちポイント”
林野火災で多かった誤解があります。
「山火事は山奥で起きる」
実際は違います。
住宅地に近い里山、農地の周辺、河川敷などで多発します。
LOとして連携に入った際も、
最初は「小規模だから大丈夫」という認識でした。
しかし風向きが変わった瞬間、延焼方向が住宅地側に変わりました。
林野火災は風で一瞬にして性質が変わる災害です。
■⑤自治体・消防が行うべき対策
通知内容の重要ポイントは以下です。
- 注意報・警報の的確な発令と周知
- 監視・広報パトロールの強化
- 入山者・ハイカーへの予防広報
- 市町村への周知徹底
消防組織法第37条に基づく助言として発出されています。
つまり、制度上も強く予防徹底を求めている状態です。
■⑥住民が今日できる具体的行動
林野火災を防ぐために、今すぐできることは明確です。
- 乾燥・強風時は火を使わない
- たき火は原則控える
- 草焼きは延期する
- タバコは必ず携帯灰皿を使用
- 火気使用後は完全消火を確認
- 山林近くでのバーベキューは再検討
判断基準は一つです。
「今、乾燥しているか?」
乾燥しているなら、やらない勇気が最強の防災です。
■⑦延焼拡大を防ぐ“初動の重要性”
林野火災は初動で止められるかどうかが勝負です。
小さい火の段階で通報があれば、
- 消防の到着が早い
- 延焼面積が最小で済む
- 住宅被害を防げる
元消防職員として強調します。
「迷ったら通報」
通報が早すぎて困ることはありません。
■⑧まとめ|林野火災は“出さない防災”の代表例
林野火災は、
- 一度拡大すると制御困難
- 消火に長時間・広範囲の資源を要する
- 住宅地へ波及すれば甚大被害
だからこそ重要なのは、
出火させないこと
今は少雨・乾燥が続く危険な状態です。
結論:
乾燥+強風の日は火を使わない。
このシンプルな行動が、地域を守ります。
防災は「備える」だけではなく、
「やらない選択をする」ことでもあります。
林野火災予防を、今一度徹底しましょう。
出典:消防庁・気象庁・林野庁「林野火災に注意してください(令和8年1月22日合同記者会見)」

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